逃げられる
「ここが、城」
転移が終わると城に着いていた
城門?かな
なんか馬車とか通る橋の前に立っていた
ぼーと、城を見ていた私の手首を離し、彼は言った
「俺に会ったことは誰にも言うな」
「えっ、ちょっと待ちなさいよ!」
伸ばした手は何も掴めず、
彼は転移した
彼を探すように城に背を向けた
「す、すごい」
城のあるここは浮いていた
ここだけでひとつの島のように
離れた所にここと同じように浮く島がみえる
町だ
たくさんの町が浮いている
「姫!姫!」
後ろから声が聞こえる
「あっ、結奈」
振り返ると結奈が城門から走ってきていた
「ご無事ですか」
きっちりと結い上げていた髪はぼさぼさだ
「あ、うん、元気。あれ?どうしてこんなに早く会えたの?」
「姫の魂を占い、ここに現れることがわかっていたからです」
「占いって」
そんな確証もない
ん?魔法だからあり?
「魂の根付きから間もなく転移を成功させるとはさすが姫でございます」
「いやいや、私じゃなくて」
あいつが連れてきてくれたんだけどなぁ・・・
自分の手柄ではない
「姫、」
「ん?ちょっと!」
目の前に結奈がひざまずいた
長いスカートが地面についてしまうことなんておかまいなしに
教会で懺悔でもするかのように両手を合わせ
「・・・姫、説明もなくリリスの実を」
ってマジ懺悔かよ!
「ストップストップ!もーその話はいいの!解決したから!私の勘違いだった!ごめん。私のためだったんだよね?死なないようにしてくれたんだ。謝るのは私の方だから。それに、ありがとう。今、私が生きてるのは結奈のおかげだよ」
うわぁー、ちょっと恥ずいかも
「姫、」
「さぁーて、お城にも来たことだし。お姫さま扱いしてよね?」
結奈を立ち上がらせて、ちょっと生意気に言ってみた
それに対して結奈が
「はい!」
なんて、かわいい笑顔で答えるもんだから
余計恥ずかしくなった
で、
さっきから結奈の後ろにいるのは誰よ?
結奈以上の美人さんだよ
世界一の美女並みの美貌とスタイルだね
「えーと、結奈?後ろにいる、その、ゴージャス美女は?」
「も、申し訳ございません」
・・・なんだろう、ちょっと結奈のキャラ壊れてる?
働く女オーラはどこに消えた
なんだ、その笑みは
こわいんだけど
「長姫様でございます」
「へぇー」
ちょうひめって
ひめ?
あれ?ってことは
「凛々子様のお姉さまでございます」
になるよねー
姫だもんねー
「まじか」