41、意外な共通点
モモと二人でまだお茶会室で泣いてるモモを眺めながらお茶をしていると、コンコンとノックの音がした。
モモはぴたっと泣きやみ、何故か私の後ろに隠れてしまった。
そうするとドアの向こうから聞き覚えのありすぎる声が聞こえてきた。
「ローズ?レイスに呼ばれて来たのだけれど、入っても大丈夫?」
「ライル?レイスってばライルを呼びに行っていたの?ライル、少し待って下さい」
「あばばば、ライルって、あのライルですか!?ローゼマリー様どうしましょう!?これ以上レイス様みたいなのが増えるのは私嫌です!」
「ライルはゲーム上ではヒロインを見ただけで恋に落ちるキャラじゃなかったでしょう?それに今のあなたならノーマですら避けて通ってるから安心しなさい。開けるわよ」
「あっ」
モモの遠慮がちな静止を振り切ってドアを開けた。
ドアの前には私と同じく学園の制服をきた13歳のライルが部屋の前に立っていた。
その後ろに若干ばつの悪そうなレイスも立っている。
「お待たせしてごめんなさい、どうしたの?」
「レイスが、ローズが部屋で女の子を泣かせてるから早急に来てくれと頼まれたのだけど…」
とライルが言いながら後ろにいるレイスを眉尻を下げながら少し申し訳なさそうに見た。
「レ・イ・ス??」
「部屋から泣き声が聞こえてきたから…!というかあの子はどこに行ったんだ?」
私がレイスに威圧をかけるとレイスは焦りながら私の後ろを探し出した。
私も、え?と思って後ろを振り向くとモモがいなくなっていた。
「あれ?今真後ろにいたはずなんだけれど」
と私もモモを探しはじめたらライルにとんとんと肩を叩かれた。
ライルが指を指した先のソファの後ろから、はみ出したピンクの髪が揺れていた。
私はそこまで歩いてかかんでモモに声をかけた。
「何やってるの?」
「わっ!ローゼマリー様、しーっ!!しーっ!!」
モモは人差し指を口に当てながら慌てていたけれど、往生際が悪すぎる…。
ライルとレイスもモモの事を確認できたらしくライルがレイスに話しかけていた。
「レイス、この子の事?」
「そうだ!ローズに酷い事されなかったか?泣き声が部屋から聞こえてきて…」
「全然大丈夫です!逆になんでいるんですか…!私関わらないで下さいって…言ったのに…」
またモモは涙目と涙声になってきていた。
「すまない!どうしても気になって…」
レイスはモモの前でおろおろし出した。
ライルが私の方を指でとんとんと叩いてこっそり喋りかけてきた。
『なんかレイス、俺の運命の人がなんとか言ってたんだけど、どういう事?』
『この子がレイスにとっての運命の人みたい』
と私もヒソヒソ声で答えた。
ライルにとってもそうなるはずの子なんだけれど。
『へ~、レイスにもやっと春が巡ってきたんだねぇ』
と何故かうんうんと満足そうにライルは頷いていた。
私は複雑な笑みを浮かべてしまった。
ライルとそんな会話をしているとレイスに話しかけられて、助けを求めているモモと目が合った。
私に助けを請いたいが隣にライルがいるから近づくに近づけないといった様子だ。
「まぁ一方的すぎるのでちょっと、いってきます」
とひとつため息をついてからライルから離れて、レイスとモモのところへ行くとあからさまにパァアと表情が変わったモモが私の後ろに助かったと言わんばかりに隠れてしまった。
「レイス!しつこい!本人が嫌だって言ったら引く姿勢をちょっとは見せなさい!」
レイスはむっとしたが、モモ自身が怯えているのでぐっと言い返すのに詰まってしまったようだ。
そうするとライルが割って入ってきた。
「まぁまぁ。2人でこの部屋を使っていたんでしょ?良かったら私達も混ぜてくれない?」
私は全然良いけれど、モモはそれを聞くと苦虫をかみつぶしたような顔になった。
ぶんぶんと首を振っている。
ライルは少し悲しそうな顔をして首を傾げてしまった。
「じゃあ、レイスは一番遠い席にくくりつけておくから。それでも駄目?」
「え?」
ライルの酷い提案にレイスが驚いた顔をしてライルの事を見た。
それを聞いたモモもライルを見て「ひえっ」と顔を青くしていた。
「モモ、どうなの?」
「え、いや、そんな酷い事しなくても…」
私が促すと断固拒否だったモモから返答がきた。
「じゃあ決定だね。私達の分も早速用意してもらおうか。ローズとモモ嬢も新しくお菓子とりかえてもらおう?」
ライルはモモやレイスが何か言う前に、さっさとこの場を取り仕切ってしまった。
良い笑顔でモモに言ってるところに少々の腹黒さを感じる。
その後、給仕の人に入ってもらってライルとレイスの分のお茶とお菓子を用意してもらい、4人でのお茶会の様相になった。
相変わらずモモは私にひっついていて、まさかの攻略対象2人を目の前にしてびくびくしていた。
ライルは余裕そうにお茶を口にし始めて、レイスはモモの事をちらちらと気にしながらお菓子を食べ始めていた。
「レイスってそんなに怖い事したの?この怯え方は尋常じゃないよね」
「俺は何もしてない!…と思う」
「まぁまずは自己紹介からかな?私はライル・マグノリア。公爵子息でローズの婚約者だよ、よろしく」
「俺はレイス・スルファム。伯爵子息で騎士見習いをやっている。その…怖い思いをさせたならすまない。ただ、その…その目を隠すのはもったいないと思う…。君はとても綺麗だから」
「私はさっき自己紹介を済ませたから良いわね」
「わ…わたしは…モモ…です。一応、子爵家の娘です…」
「家名は?」
ライルに問われてぐっとモモは言葉に詰まった。
「トドエフスキー家ですって」
「ローゼマリー様!!」
「誰もわからないんだから堂々としていればいいでしょう」
「モモ・トドエフスキーか…。良い名だ」とレイスが色ぼけて言ったので「ぶふっ」と吹きだしてしまった。
そうすると、うわぁっと「酷いです…!!」と言ってモモが両手で顔を覆ってしまった。
「ごめんごめん、これはレイスが悪いでしょ」
「???」レイスはよくわからないという顔をしていた。
「トドエフスキー家の土地っていうと、ジークの故郷なんじゃない?」
と驚きの情報をライルが言った。
「えっ!?そうなの!?」「ジークさんを知っているんですか!?」
と私とモモの言葉がかぶった。
お互いに顔を見合わせた。
「ジークは私の家庭教師よ」
「!?私もジークさんに家庭教師をしてもらって、この学園へ来たんです!」
「………………。」
お互いに2人して無言になってしまった。
「相変わらず何考えてるのかわからない眼鏡だと思ったけど、ここで繋がってたなんて…」
「私、ルネさんていう平民の方のツテで家庭教師をしてもらう事になったのに、大貴族と繋がってるなんてジークさん一言も私に…。あ、だから父様がOKしたのって…」
2人でぶつぶつ合点がいったというように言っていると目の前の2人は首を傾げていた。
ジークは変わらず。
軽いですが何気にヒロインとライルが初めて会う回。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。




