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悪役令嬢、頑張ります。  作者: 影干し
第一章 気づいたら侯爵令嬢
14/64

13、予想通り


 私は帰りの馬車の中で大変困っていた。


「ローズ、何を話してたんだ!?気に入ったなんてエリー達が言っていたけど本当は気に入らなくて黙ってしまったのなら父様に話しなさい!」


「ユリウス様!何を仰っているのですかあなたは、もう…。あなたが決めた婚約のお話なのにローズが困ってしまうでしょう!それにあの可愛らしい二人を見て何も思わなかったのですか?とってもお似合いでしたでしょう?」


 お父様が目を閉じて耳を塞いで首をブンブン振っている。

 お父様…。お父様…!

 いろいろ思い出した後なのでなんとも複雑な気分で見てしまう。


「…お父様。」


 私が静かな声色で呼ぶと、お父様もお母様も少しだけ驚いた様子でこちらを見た。


「お父様、あまりにも甘やしすぎるのは逆に私のためにならないと言っているでしょう。私を何でも自分の思い通りに進むと思う愚かな大人にしてしまうおつもりなのですか?」


「…はい。…何か怒ってる?ローズ」


 お父様は固まってしまって、かなり戸惑った様子だ。お母様も何が起こったのかと私とお父様を見ている。

 ゲーム上の私があんな性格になったのは、両親の甘やかしが原因だった。

 よく考えてみたら、何にも染まってない子どもをあんな環境下に置いておいたら、そりゃそうなる。

 私が何より許せないのは私がローゼマリーに産まれてこなかったらシュナイザーに辛い想いをさせてしまったという事だ。


「ろ、ローズ?ユリウス様は困ったお方ですけれど、人として間違ったと思う事は私はしてこなかったと思いますよ?それにローズは自分の思い通りにならないと気が済まないような子ではないでしょう?」


 お母様は相変わらず真面目だ。

 なんだか思い出したゲームの知識が多過ぎて特にずっと接してきた二人には感情がごちゃごちゃしてしまう。


「あー…ごめんなさい、お父様お母様。私、今頭がぐちゃぐちゃしているのです。…とにかく早くシュナイザーに会いたいのです…。」


 お父様とお母様は二人とも顔を見合わせてから私を見た。


「ローズ、あなた二人でいる時もシュナイザーの事を気にしていたの?…それでも父様に当たるのは感心しませんよ。」


 お母様は眉を顰めて私を見る。だめですよ、とお父様を叱る時のお母様だ。


「やはりこの婚約話は断ろう!そうしよう!ローズがこんな事を言い出すなんて良くない話なんだ!」


「どんな理屈ですか!?落ち着いて下さいませ!ユリウス様、若干焦点が合わなくなるぐらいショックでも駄目なものは駄目ですからね。」


 お母様は特大のため息を吐きながらお父様をなだめていた。


「…この婚約話はお受け致します。」


 そうしないと話が進まないし、悪役令嬢としてのポジションがどこだかわからなくなってしまう。

 お母様は「まぁ!」と華やいだ声を上げた隣でお父様が固まってしまった。

 なんだかさすがにぶれないお父様にぐちゃぐちゃした気持ちが溶かされて可哀そうになってきた。


「あなたたち、とても良い感じだったものね。マグノリア公爵夫妻なら私達も知らない方達では無いから安心よ。」


「え?お母様たちはマグノリア公爵夫妻とお知り合いだったのですか?」


「あら、ローズったら、あの時、聞いてなかったの?父様がその時も大変だったでしょう。あなたたちがこれから通う事になる学園で昔、母様たちはマグノリア公爵夫妻とは顔見知りだったの。ユリウス様ったらマグノリア公爵にかなり無茶を言っていて、とても焦ったわ。」


「…だからマグノリア家に決めたんだ。もしかしてローズが嫌だと言えば、それなりに無理が通るから…。」


 なんだか私の方をお父様がちらちらと様子を見ながら言っている。

 また怒られると思っているのだろうか。…はぁ。本当にしょうがないお父様ですね。

 そんなに娘が可愛いですか。私もお父様が大好きだから、おあいこだけど。


「お父様、急に怒ったような事を言って申し訳ありません。お父様が私の事をいっぱい愛してくれているのは知っています。」


 傷心のお父様を慰めるように懐に入って抱き着いた。傷心にした原因私だけど。

 おずおずと伸ばされた腕が、ギュッと、いつものように力強く返してくれる。


「シュナイザーと同じ我が儘が言えるなら、ローズに本当はお嫁に行って欲しくなんかないよ。この婚約だって、まだ幼いんだ。年頃になってお前がないがしろにされたらどうする。」


 ドキッとした。お父様、正解!

 けどそれでも構わないんです。今からうまくやってく方法考えなくちゃ。


「お父様、私きっとライルと仲良くやっていけますわ。」


 バッと私を離して肩を掴まれた。


「マグノリア公爵子息と呼びなさい!」


「無茶言わないで下さいませ!」


 やっぱり帰りのお父様はかなり面倒くさかった。



 家に着くと早くシュナイザーの顔が見たくて馬車を駆け下りていった。


「シュナイザー!シュナイザーはどこ!?」


「お帰りなさいませ、お嬢様。坊ちゃまは泣き疲れて自分のお部屋で寝てしまいました。」


「わかったわ、ありがとう!」


 と言いながらその足でシュナイザーの部屋へ走っていく。

 部屋の前について、起こさないように部屋の扉をそっと開けた。

 中にはシュナイザーがまぶたを少し赤くして眠っていた。

 …シュナイザー…。

 ゲームでは私はシュナイザーのところを学園で無視していた。

 家のシーンでは当り散らす事もあった。諦める事が得意になってしまうような子だった。

 今は私の事が大好きなシュナイザーになってしまって、あなたはどう変わってしまうんだろうか。


「…シュナイザー……ごめんね…。」


 お父様の髪の色と似ている金と茶色の間のような髪の毛を撫でた。

 今は閉じている瞳の色はお母様に似て翡翠のような色をしている。

 すぅ…すぅ…と規則的な寝息を立てて眠るシュナイザーを見て考えていた。

 シュナイザーのルートでは私はシュナイザーの性格を位置づける存在なだけで、実際にシュナイザーのルートではっきり関わるような事はしていない。

 今の私はシュナイザーのルートだけは本気で邪魔する気満々だけれど、これもまたゲームとは違うだろう。どうなっちゃうんだろう。


「先の事を知ってしまった弊害だなぁ…。」


 どうしてもゲームと比べて考えちゃうよ。

 そんな事を考えてる内に自分も眠くなってそのまま寝てしまった。

 いつの間にかお父様がそのままシュナイザーと一緒のベッドに横にしてくれた。


「シュナイザーの方が婚約者よりも優先なんだなぁ。」という嬉しそうな声と「あなたよりも優先されてるかもしれませんわね。」という声が聞こえた気がした。

マグノリア公爵とお父様は友人関係にあります。

二人で喧々囂々してたのですが全く主人公の頭に入ってきませんでした。


夜に更新する前に眠すぎて力尽きてしまいました。

話はあまり進みませんでしたね。きっとグダグダしながら進みそう。


閲覧、ブクマ、評価ありがとうございます。

ランキングに100位以内に載ったら凄いなーと思っていたのにずっと予想外で嬉しい誤算です。

いつもありがとうございます。

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