56 遺跡都市崩壊
巨大兵器の暴走は、地下都市全体を揺るがしていた。
ドォォン!!
魔導砲の一撃が研究塔の近くの建物を吹き飛ばす。
石の壁が崩れ、瓦礫が雨のように降り注ぐ。
ミラが叫んだ。
「都市が壊れてる!」
巨大兵器は広場を進みながら、次々に攻撃を放っていた。
王国軍も帝国軍も関係ない。
すべてを敵と判断している。
ガルドが舌打ちする。
「完全に暴走してるな!」
グランは周囲の建物を見た。
壁に大きな亀裂が走っている。
天井から砂と石が落ち始めていた。
「……まずい」
アルトが振り返る。
「どうしました?」
グランは低く言った。
「この都市、地下空間だ」
アルトの顔が青くなる。
「まさか……」
その瞬間――
ゴゴゴゴ……
大きな振動が走った。
遠くの塔が崩れ落ちる。
巨大な石柱が折れ、天井がきしみ始める。
ミラが震える声で言う。
「崩れる……」
アルトは都市の構造を思い出していた。
巨大空洞。
人工支柱。
魔力補強。
しかし今、その多くが破壊されている。
アルトは叫んだ。
「都市構造が崩壊します!」
ガルドが言う。
「つまり?」
アルトは答えた。
「ここはもう持ちません!」
その時――
塔からAIの声が響いた。
「警告」
「都市構造損傷」
「崩壊確率 八七%」
ミラが叫ぶ。
「八七!?」
AIは続ける。
「避難推奨」
アルトは歯を食いしばった。
「でも……」
彼は研究塔を見上げた。
古代文明の記録。
ここにはまだ、無数の資料が残っている。
このまま失われれば、
文明の真実も消える。
アルトは決断した。
「記録を回収します!」
ガルドが驚く。
「今から!?」
アルトは頷いた。
「全部は無理です」
「でも、重要な記録だけでも!」
ミラが笑った。
「そうこなくちゃ」
グランも頷く。
「時間は?」
アルトは都市を見た。
崩れる塔。
暴れる巨大兵器。
「……数分」
ガルドが剣を構えた。
「よし」
「急ごう」
アルトたちは研究塔へ走った。
内部ではAI装置がまだ動いている。
アルトは急いで記録装置を操作した。
水晶記録媒体。
古代データ。
文明の記録。
アルトは数個の記録結晶を取り出す。
AIが静かに言う。
「記録保存確認」
「文明記録……継承」
アルトは小さく言った。
「必ず伝えます」
AIは答えた。
「任務完了」
その瞬間――
ドォォン!!
巨大な爆発。
都市中央の建物が崩れた。
グランが叫ぶ。
「もう限界だ!」
アルトは結晶を袋に入れる。
「脱出します!」
四人は都市の通路を全力で走った。
後ろでは巨大兵器がまだ暴れている。
しかしその兵器すら、
崩壊する都市の中に飲み込まれていった。
ゴゴゴゴゴ……
天井が崩れる。
巨大な岩が落ちる。
ミラが叫ぶ。
「出口見えた!」
遠くに、迷宮への通路が見えた。
ガルドが振り返る。
地下都市。
かつて栄えた文明の街。
それが今、崩れ落ちていく。
アルトも振り返った。
そして静かに言った。
「さようなら……古代都市」
次の瞬間。
巨大な崩落が起こった。
ドォォォォン!!!
地下都市は、完全に崩壊した。




