26 新しい仲間加入
古代都市の内部を進むにつれ、通路は複雑になっていった。
崩れた壁。
入り組んだ階段。
いくつもの分岐。
ミラが地図を見ながらため息をつく。
「ねえアルト」
「これ、完全に迷宮じゃない?」
アルトも困った顔をする。
「都市構造が複雑すぎます」
「普通の遺跡とは規模が違う……」
ガルドが腕を組む。
「しかも地下だ」
「道を間違えたら戻れなくなる」
その時だった。
遠くから――
ガン! ガン!
金属を叩く音が聞こえた。
ミラが目を丸くする。
「え?」
「誰かいる?」
ガルドはすぐに剣を抜く。
「警戒しろ」
アルトたちは音のする方へ進んだ。
曲がりくねった通路を抜けると、広い空間に出る。
そこには――
小さな人影がいた。
岩壁に向かって、ツルハシを振っている。
ガン! ガン!
短い体。
太い腕。
大きな髭。
ミラが小声で言う。
「……ドワーフ?」
ツルハシの音が止まった。
その人物が振り向く。
分厚いゴーグルを額に上げ、こちらを見る。
「おや?」
低く太い声だった。
「人間?」
ガルドが剣を少し下げる。
「お前こそ何者だ」
その男は肩をすくめた。
「見りゃ分かるだろ」
「技術屋だ」
彼はツルハシを担ぐ。
「名前はグラン」
「ドワーフの技術者だ」
アルトが一歩前に出る。
「技術者……?」
グランはにやりと笑う。
「地質学と古代構造物の専門家だ」
ミラが目を輝かせる。
「すご」
「めっちゃピッタリじゃん」
グランはアルトたちを観察した。
「お前ら、遺跡探索だろ?」
アルトは頷く。
「はい」
「古代文明の都市を調査しています」
グランは大きく笑った。
「やっぱりな」
彼は足元の岩を叩く。
「この都市、面白いぞ」
アルトが聞き返す。
「面白い?」
グランは壁を指差した。
「この岩盤」
「都市の外壁と一体化してる」
エリシアが驚く。
「どういうこと?」
グランは説明した。
「普通の遺跡は後から建てる」
「だがこの都市は違う」
彼は通路の天井を見上げる。
「山の内部を削って作ってる」
ミラが口を開ける。
「つまり……」
グランは頷いた。
「地下都市だ」
アルトは興奮していた。
「やはり……!」
グランは腕を組む。
「だがな」
「この構造、かなり複雑だ」
彼は周囲を見渡す。
「下手に進むと崩れる場所もある」
ガルドが言う。
「詳しいのか?」
グランは胸を叩く。
「ドワーフだからな」
「地下構造は専門だ」
ミラがアルトに耳打ちする。
「ねえ」
「この人、仲間にした方がよくない?」
アルトも同じことを考えていた。
彼はグランに向き直る。
「お願いがあります」
グランが眉を上げる。
「なんだ?」
アルトは真剣に言った。
「一緒に遺跡を調査しませんか?」
グランは少し考えた。
そして――
ニヤリと笑う。
「いいだろう」
「この都市、まだまだ面白そうだ」
ミラが拳を握る。
「やった!」
ガルドも頷いた。
「頼もしいな」
グランはツルハシを肩に担ぐ。
「案内してやる」
「この地下都市の歩き方をな」
こうしてアルトたちの調査隊に――
ドワーフの技術者グランが加わった。




