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⓪-1 白
1937年の冬、ドイツ中部。
白銀の雪原で、朱色の髪の少女が膝から崩れ落ちた。
北へ北へと歩き続けたが、終着点があるわけではない。
手足の感覚が無いのは、手足が無いからだろうか。
視界に映るのは、全て雪なのだろうか。
疑問は全て、一色に染まっていった。
血が口から溢れた瞬間、少女は顔から雪へと吸い込まれた。
——もっと遠くへ逃げなくては。誰も来られないような、遥か遠くへ。
猛吹雪は、その願いすら掻き消していった。
ぼんやりと、過去の光景が浮かんだ。
窓一つない、コンクリートの世界だ。
アルビノの少年が、瞳から血を流していた。
少年は微笑むと、少女を力強く抱きしめた。
『生きて』
少年のか細い声が聞こえたような気がした。
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