表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

歯科医師過剰及び来院患者数減少の問題


 駒岐県 歯科医師会会長

 学校法人 駒岐歯科大学 副理事長

 一岩 現伸







 今日、歯科大学の人気は低下しています。

 その原因の根底には、歯科医師の過剰があることは間違いないでしょう。


 いまや、国内にはコンビニを遥かに上回る数の歯科医院がひしめいてます。

 近く、その数は国内十万軒の仏閣の数を上回ると予測されています。


 お寺よりも歯科医院が多いことが健常だと言えるでしょうか?

 これは異常です。

 道ですれ違うのが、袈裟より白衣が多いことが正しいはずもありません。




 特にここ、駒岐県では、歯科医院の集中率が高く、都心の十倍以上の密度の歯科医院が登録されているとのデータを、厚生労働省関東甲信越医政課が公表しています。

 駒岐県の駅前には、歯科医院ばかりが続く通りが何本も存在するという町さえ存在するのです。


 これが引き起こす、一人の歯科医師あたりの患者数の低下は著しく、駒岐県の歯科医師は、甚だしいストレス下で操業することを余儀なくされています。

 患者を奪い合っての、歯科医同士の訴訟や戦闘の件数も増加の傾向を見せています。





 これから歯科医師になろうとしている若い世代にとって、この現状は歯科医師になろうという魅力を減じさせています。歯科医院が過剰なために、歯科の将来を担う若い世代の歯科医師を確保することができなくなっているのです。


 駒岐歯科大学の生徒数は、深刻な定員割れを起こしています。

 極めて高額な授業料を六年間支払い、超難関の国家試験をパスして、奴隷のような研修医課程を終えたところで、満足な収入面を期待することすらできないのです。

 誰が、こんな仕事に就きたがるでしょう。


 この不均等を是正するためには、どうにかして、歯科医師一人当たりの患者数を増やさなければなりません。


 一つのパイをあまりに多くの人間が食べようとしているのが問題なのです。

 これを解決するには、食べる人間を減らすーーつまり、歯科医師の定員を削減する、

あるいは、パイそのものを大きくするーーつまり、患者の数を増やす、その二つの方法しかありません。


 前者の試みは、初めから困難が予想されました。

 多額の投資を行って、歯科医師になった人々は、やすやすと歯科医師免許を手放すはずがないからです。

 それでも、強制的に歯科医師の数を削減するべく、二年前、県の厚生福祉関連筋が、暗殺チームを組織して送り込みました。

 患者に偽装した暗殺者が、歯科医師に最も近づける場所、診療椅子の上で歯科医師を始末しようとしたのです。

 暗殺後、プラスチック爆弾で歯科医院を爆破。医療機器からの出火で歯科医院は全焼。そういう筋書きでした。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ