46話 りなおしの人生だか何だか知らないが、くそくらえだ
(ああ、なんだ)
自分の人生はここでやっぱり終わるのか。
徐々に近づいてくる梁を見つめてぼんやりとそんなことを思った。
「ウルバスさん!」
「ウルバス!」
首ががくん、と後ろにそれるぐらいに強く両腕を引っ張られた。
「はえっ⁉」
右手をレオハルトに。
左手をアリに引っ張られ、ウルバスは前のめりに倒れこむ。
床に突っ伏すのを寸前で支えてくれたのはレオハルトだ。
背後から轟音が響いてきた。
梁が落ちた。
それだけじゃない。
炎の流れが変わる。
「逃げるぞ!」
レオハルトが耳元で怒鳴る。
ウルバスは反射的に顔を起こした。
「ぼ、ぼくを置いて行って!」
あの夢をなぞっているのなら。
自分とレオハルトは、ここで死ぬ。
だけど。
もし、自分だけ残れば?
レオハルトがアリだけ連れて逃げれば?
ここで選択を変えれば、レオハルトは……。
そこまで考えたウルバスは、左頬に強烈な痛みを感じてよろめく。
熱を持った床に倒れなかったのは「レオハルトさま⁉」と叫んで支えてくれたアリのおかげだった。
「今度ふざけたこと言ってみろ」
ぐい、と。
胸倉をつかんで引き寄せられる。
すぐ間近にレオハルトの顔があった。
「殺すぞ」
ウルバスはその顔をあっけに取られて見つめる。
「お前を死なせんし、おれも死なん! そう言っただろ! 何回も言わせるな!」
噛みつかれんばかり言われ、その勢いに飲まれるようにウルバスはうなずいた。
同時に、突き飛ばすようにして解放された。
「わかったら、自分で立て! おれはアリを担ぐ!」
「ひゃあ⁉」
語尾に重なるのはアリの悲鳴だ。
見ると、荷物のように右肩に担がれている。
「行くぞ!」
レオハルトが、どんとウルバスの背中を叩いた。
「やり直しの人生だかなんだか知らないが、くそくらえだ!」
「違いない」
ウルバスは笑ながら、レオハルトの背を追った。




