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バーン4
彼は、最後まで優しくしてくれてた。
気がする。
気づくと、鍛えられた広い胸板がすぐ目の前にあってびっくりした。横たわるバーンの腕にそっと体を包まれている。
先ほどまでのことが断片的に脳裏をよぎって顔が熱くなった。思わずくるりと体を反転させると、背中から抱きしめられた。
「嫌だったか?」
少し心配げな声に、首を横に振る。
「…恥ずかしかっただけです」
少し拗ねたような口調になってしまった。
バーンは喉の奥で笑うと、抱きしめる腕の力を強めた。
「よかった」
耳元で囁かれた嬉しそうなその声に、なんだか満たされた気分になって、私まで嬉しくなってしまった。口元が自然とニヤけてしまう。
この気持ちを伝えたくて、振り返ってキスをした。