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第65回

     ◆◇◆


 そして数時間経った。僕は目を開けた。時計は夜中の23時。研究者もみな帰宅する時間だ。僕は少しだけ外の様子をガラス越しに覗く。異常なし。ドアにはいつもどおり外側からオートロックがかかっている。パスワード式の電子ロック。パスワードは2回間違えると、朝まで開かないそうだ。


「ねえねえ、いる?」


 そして僕は、ケータイ電話で、ある番号にかけた。


「もう寝ようとしたところでスヨ、なんですかシュンさん?」


 電話越しに聞こえてくる合成音声。いかにも機械がしゃべっているようなお姉さんの声が、電話から聞こえてくる。


「また前みたいなの、やってくれない?」

「ああ、セキュリティ解除でスカ、いいですケド、まぁ」

「まぁ?」

「この間は、急に一部の停電で、監視カメラも電源が落ちちゃったで済みましたけど、同じようなことを二度も起こすと、さすがに私が疑われちゃいまスヨ」

「大丈夫、今日は最後の日だから」

「最後の日?まさか本気だったんでスカ」


 そういいながらその電話越しの合成音声は、いとも簡単に研究所全体のセキュリティを解除した。


「ありがとう」


「パスワード、パスワード……」


 僕はベッドと敷布団の間から4つに折られている、汚れた紙を取り出す。その紙に鉛筆で書かれた数字を、自分独自の法則に従い、順番に壁にある数字が書かれたボタンを押していく。


ピーッ

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