第64回
僕はいつものおもちゃのある部屋に案内された。いつものように甘いお菓子とジュース、テレビゲームが用意されていた。トイレもあるし、お風呂も冷蔵庫も、なんだってある。僕は普段ここで生活しているのだ。
「よく頑張ったね、シュンくん。さぁ、今日はいっぱい遊んでいいからね」
「うん……」
そういって僕をこの部屋に連れてきてくれた男の人は、部屋に新しいゲームソフトを運んでくれた。最新の戦隊モノの変身グッズや合体ロボなどのおもちゃも置いており、その年代の少年にとってはとんでもなく夢のような部屋だろう。
と言われても、先ほどのガスの実験で疲労困憊だった僕はとてもじゃないが遊ぶ元気なんてない。近くにあるベッドに倒れこんで、気を失ったように眠りについた。
そこからひたすら目の前は暗闇。夢の中でまた夢を見ているのだろうか?
「眠ったのかい?」
「……」
少年の僕は答えない。そっとその男は横たわって目を閉じた僕にシーツをかけた。
「もう少しだから。ごめんね、でも君たちのおかげで、いつかたくさんの人が救われる、もう少しの辛抱だよ」
僕らの受けている実験は、始めのうちは、僕らが持つ病気の治療だと言われていた。だが、治療と言われているわりに、こういった研究者が油断して、治療でないことをほのめかす言葉をかけてしまうこともあり、僕とアキちゃんはこれが治療なんかではなく、何かの実験だということが分かってしまったのだ。
しかも、それに気付いたのは、僕がハマっていた戦隊モノで無関係の町の人が悪の秘密結社にさらわれて、人体実験の道具にされてしまう話を見たアキちゃんが泣き出してしまったことがきっかけだった。
眠ったことを確認した研究者は、静かに部屋のドアを閉めた。




