第一話 ~ハズレ職業~
はじめまして。こちらの作品を読んでいただき、ありがとうございます!
「ハズレ」と呼ばれた少年が、誰にも知られていない力を手にし、少しずつ世界を変えていく物語です。
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それでは、第1話をお楽しみください。
人生は、生まれた時では決まらない。
__十五歳で授かる《職業》で決まる。
それが、この世界の常識だった。
王国西部、フィルド村。
村の中央に建つ白い石造りの教会には、朝早くから十五歳を迎えた少年少女たちが集まっていた。
「今年は勇者が出るかもな!」
「うちの息子は剣士になるに決まってる!」
親たちの期待に満ちた声が飛び交う。
その輪の少し外で、一人の少年が静かに空を見上げていた。
黒髪に黒い瞳。
どこにでもいそうな少年__レイン・アルト。
(どんな職業でもいい。)
(家族を楽にできるなら。)
父は数年前に病で倒れ、母は一人で畑を耕している。
妹はまだ九歳。
レインは家族のために強くなりたかった。
「レイン!」
振り返ると、幼なじみのエリシアが手を振っていた。
肩まで伸びた金色の髪が朝日に揺れる。
「緊張してる?」
「少しだけ。」
「私は騎士になるって決めてるんだから!」
そう言って胸を張る。
昔から剣の才能だけは村一番だった。
「君なら本当になれそうだ。」
「ふふっ。その時は守ってあげる。」
そんな何気ない会話に、レインの緊張も少し和らいだ。
やがて教会の鐘が鳴る。
「これより職業授与の儀を始めます。」
神官の厳かな声が響く。
一人ずつ祭壇へ進み、水晶玉へ手を置いていく。
「《鍛冶師》!」
「《神官》!」
「《弓使い》!」
歓声が上がる。
実用的な職業が出るたび、家族は涙を流して喜んでいた。
そして__
「エリシア。」
「はい!」
水晶が眩しく輝く。
教会中が息をのんだ。
『職業:《聖騎士》』
「おおおおおっ!」
「Aランクだ!」
「天才だ!」
歓声に包まれる。
エリシアは驚きながらも、真っ先にレインを見た。
その笑顔は「次はあなたの番だよ」と言っているようだった。
「最後、レイン・アルト。」
静まり返る教会。
レインは祭壇へ向かう。
ゆっくりと水晶へ手を伸ばした。
(頼む……!)
白い光が広がる。
一秒。
二秒。
三秒。
やがて光が収まり、文字が浮かび上がる。
『職業:《鑑定士》』
一瞬、静寂が流れた。
「……鑑定士?」
「聞いたことはあるが……。」
「物の値段を見るだけの職業だろ。」
「ハズレじゃないか。」
小さな笑い声が広がる。
神官も困ったような表情を浮かべた。
「職業ランク……F。」
その一言が、教会の空気を決定づけた。
「レイン……。」
エリシアが心配そうに近づこうとする。
だが村人たちは、もう興味を失っていた。
「残念だったな。」
「期待して損した。」
「鑑定士じゃ魔物も倒せない。」
胸が締めつけられる。
だが、それ以上に悔しかったのは__
母の申し訳なさそうな顔だった。
「ごめんね……。」
「母さん?」
「あなたに期待をかけすぎちゃった。」
「違う!」
レインは慌てて首を振る。
「俺は大丈夫だから。」
本当は、大丈夫なんかじゃない。
夢も、未来も、全部崩れ落ちたような気がした。
その時だった。
視界の端に、小さな文字が浮かぶ。
《条件を達成しました。》
「……え?」
誰にも聞こえていない。
文字だけが、確かにそこにあった。
《固有能力を確認。》
《世界権限を照合中……》
《適合者を確認。》
《ユニークスキル【世界改変】を解放します。》
レインの鼓動が跳ねる。
(なんだ……これ。)
次の瞬間、目の前の水晶に見たこともない情報が映し出された。
名称:職業授与の水晶
状態:正常
改変可能:YES
そして、その下に一行だけ、新しい文字が浮かぶ。
《情報を書き換えますか?》
レインは息を呑んだ。
誰もまだ、この異変に気付いていない。
だが、この瞬間__。
世界の常識が、静かに崩れ始めた。
第2話「追放」へ続く・・・
第1話を読んでいただき、本当にありがとうございました!
今回は主人公・レインが《鑑定士》というハズレ職業を授かり、物語の始まりとなる「世界改変」の片鱗が現れるところまでを書きました。
次回はいよいよ「追放」。絶望の中でレインが初めて能力を使うことになります。
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これからレインの冒険を、ぜひ見守っていただけると嬉しいです。




