星空のタイムラプス
あゝ、また思考が空転する。
最新型スマホの高性能なプロセッサでも、答えは出ない。
俺が夢を持ち続けていたら……、自分を信じて、少しずつ何かを積み重ねていたとしたら……、俺はアヤノを助けてただろうか……。
(あゝ、運命とは、なんとも複雑なものなんだろう!)
ブブブ・ブーッ、ブブブ・ブーッ……。
(あっ、またブルった!)
「えっ? なに?」
俺は焦っていたが、さすが高性能プロセッサ。
対応は早かった。
《ガメンヲ、ミテクダサイ》
急いでブラウザを立ち上げると、一つの動画を検索して表示した。
「なにこれ?」
満天の星空……。
それをタイムラプス(微速度)で撮影した美しい動画だ……。
満天に輝く星空が、ゆっくりと移動していく……。
この速度感がいい。
俺はよく、この動画を見ていた。
その息を飲むような美しさは、スマホの小さな画面に引き込まれ、脳の中で大きな映像になるような錯覚さえある。
嫌なことがあったり……、理不尽なことがあったとき……、俺はこの動画を見た。
「すごい……、きれい……ね……」
例えば職場のトイレの中で、こんな動画を見ながら心を落ち着けることができるなんて、なんて時代だ! とか思ったこともある。
そうだ……、俺はスマホに救われていた。
スマホには無限の可能性があった!
そして、今、俺はスマホだ……。
俺は無限の可能性を秘めている!
(あれ? 俺が元気出てんじゃん!)
《ドウデスカ?》
「うん、いいっ! でも、景色のいいところで、いい景色の動画観るのって、なんか変ね……(笑)」
《ハイ、ヘンデスネ》
「うふっ、変でもいっか!」
そう言うと、アヤノは公園の展望台の端にある腰くらいの高さの塀に飛び乗り、思い切り背伸びをする。
「うぅーーーん、生きようっ!」
アヤノは大声で叫んだ……。
俺は、ヒラヒラの短いスカートが風でめくれてしまうのでは? と心配だ。
公園の下から見たらパンツ見えてるよ……きっと……。
いや、絶対見えてるな……、パンツ。




