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第五十五話 不思議なギルド職員

 まず、投稿遅れてすみません。そして遅くなりましたが明けましておめでとうございます。

 とりあえず投稿しておきましたのでどうぞ。

「ではこちらがギルドカードになりますぅ。説明は必要ですか?」

「お願いします」


 硬直と仰天を何度も繰り返していたギルド職員だがそこはプロの見せ所。二人の顔を交互に見た後に咳払い一つで元の表情と雰囲気を取り戻した。


「正面玄関から入って右側のこちらが受付になっております。更に奥へと行ったあちらでは素材の買い取りが可能ですぅ。真ん中にあるのが依頼の掲示板になりますぅ。特別な物でない限りは掲示しておりますぅ。一番奥には食堂となっておりますので是非食べてみてください。美味しいのでオススメですよぉ? 次はアオトさんとセリアさんはFランクからのスタートとなりますぅ。ランクはF E D C B A S SSの八段構成になっておりまして現在SSランクの方は存在しません。依頼は難易度Dランク以上の受ける事ができませんのでご了承を。ランクを上げるには一定数以上のクエスト成功、Dランクからは試験に合格が必須となりますぅ。逆に失敗すると罰金と一定数以上で降格になりますぅ」


(なるほど。実力だけじゃランクを上げれないのは信用も冒険者じゃ立派なステータスになるってことかな?)


「ありがとね……えーと」

「ローゼです。アオトさん!」


 困っていたのはセリアなのだがアオトの方へとカウンター越しに顔を近づけて「覚えて」と言わんばかりの表情ですり寄った。


 肌と肌が近づき合って互いに熱を感じ取れそうだ。


「あの……ローゼさん?」

「ローゼで良いですよぉ」

「ローゼさん!」


 怒りの爆発。それの発生場所はセリア。それはもう思いっきり叫んだのでギルド内の皆から注目を受けてしまった。


「す、すみません」

「アオトも地味に嬉しそうにしないっ!」

「……ごめん」

「もうっ……許さないからねっ!」


 そっぽを向いてしまったセリア。


 腕を組んでプンプン怒っている本当の理由に未だ気づいていないアオト。この男はもはやヘタレの域に達しているのではないだろうか。


「ごめんって」

「ぷいっ」

「……あのぉ」


 話しかけてきたローゼにアオトは申し訳なさを、セリアは若干の怒りを含んだ表情を向けた。


「今日は依頼を受けるのですかぁ?」

「いえ、依頼は明日からにしようかな、と」

「そうですかぁ……明日は機嫌を直してきてくださいねぇ、セリアさん」

「わかってるわよっ!」




 ―――――――――――――――――




 アオト視点。


 俺が今日は鼻の下を伸ばしてばかり居るとセリアが不機嫌になってきた。


 悪いとは思うよ? でもさ、男としてこれを肯定してしまったらどうなんだよってのか俺の言い分だ。それにそれが獣人なら尚更でしょ。


 あれ? 俺って日本じゃこんな奴だったっけ?


 今日の俺はいつもと比べてどう考えてもおかしいような感じがする。浮かれてるのかな。


 で、ローゼさんが顔を今まさに近づけてきて……って近い近い!


「あの……ローゼさん?」

「ローゼで良いですよぉ」


 ええっ。ちょっと。もう顔当たりそうなんだけどっ! 鼻の先とかもう擦りそうだし。ローゼさんの熱とかもう今まさに感じれるんだけど……。


 嬉しい。すげえ嬉しい。けど多分……。


「ローゼさん!」


 ですよね。やっぱそうなりますよね。よく分かんないけどセリアは俺が他の女性と仲良くしてたら怒るもんね。


 なんなの? そう言う病気なの?


 パートナーが女性と仲良くしてたら怒りますよ病?


 なわけないか。


「アオトも地味に嬉しそうにしないっ!」


 なっ!? どうしてこの完璧な無表情から感情を読み取れたんだ?


 単純そうな顔をしてたからか。もっと表情に出さないように気を付け……じゃなくて浮かれ過ぎには気を付けよう。なんか本当にごめんなさい……。




 ―――――――――――――――




 セリア視点。


 ……今凄く怒ってますよ? 誰にかって言わせますか? 察してほしいんですけど……勿論アオトよ。


 あのいつもは普通にしてるのに獣人の女性達に沢山会ってあんなに嬉しそうに……。


 バカバカバカ。なんなの? 別に良いけど。どこかでもやもやするのよ!


 挙げ句の果てにローゼさんが顔を近づけた瞬間にその嬉しそうな顔は何よっ!


 しかも素直に謝っちゃって。もー、むしゃくしゃする! 別にアオトのことが好きなわけじゃないんだからっ! どうなってもしらないっ!!




 ――――――――――――――




 ローゼ視点。


 あらあら。こんなに怒っちゃってぇ。私もおふざけが過ぎたかなぁ。


 でもアオト君は顔が若干赤くなってるし、ここでいい印象を受けとくのは必要よねぇ。セリアさんにはいい印象を受けれてないかもしれないけど……。印象に残らないよりかはましよねぇ。


 だってこの私にも彼等の未来(・・)可能性(・・・)が見えないんだものねぇ。


 久々に面白い新人が来たわねぇ。私も心が本気で踊るわぁ。




 ―――――――――――――――――




 怒っているセリアとそれを宥めようとするアオトがギルドを去る背後でそんな気持ちを抱き、見守る視線に二人は気づく事はなかった。

 今回の話はどうでしたでしょうか。小説の出来が下がるようでしたら改正も考えております。気になった事がありましたら感想の方で呟いてください。


 感想、ご指摘お待ちしております。


 理由を活動報告の方に簡単に載せました。興味がある方は見てくだされ……。300000PV突破しました。ありがとうございますっ!

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