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幕間 ピスの思い

 幕間です。一人称です。どうぞ。

 私、ピスセータ・グスドルはいつものように最下層と言っても一階しか無いのですがそこでゆっくり紅茶を飲んでいました。


 いつものようにというのは言い過ぎでしょうか。セリアさん以来の来客に多少の驚きを胸に抱いていましたがそこは年相応の思考で乗り切ります。


 彼、アオトさんは常人のステータスよりも遥かに強いステータスを持っていました。ですが私のダンジョンの魔物はそう簡単にやられる強さではありません。案の定、アオトさんは右腕を食われて倒れ伏してしまいました。


 出会ったのが私のダンジョンボスの竜。私のもうこれで終わりでしょう、と考えました。ですがそれは楽観的過ぎた思考だったようなのです。


 アオトさんの周りに落ちていた石。それをよく観察すると何なのかがはっきりと分かりました。


 神生命石。それが周りに沢山落ちていたのです。昔、それは私が人間だった頃よりも昔に消滅したと言われていた貴重中の貴重な代物でした。


 この人の悪運の強さはどれ程のものなのか。私とあろう者が一瞬戦慄して仕舞った程です。


 それからはセリアさんに呼び出され、精神の崩壊を超え、この最後の部屋まで来ました。本当に大したものです。


 ステータスでは圧倒的に劣っているのに竜にその命を喰われることはありませんでした。


 恐らく、この少年はもっと強くなります。


 今までに確信した中でも上位に入る程の自信あります。こんな運任せな生と死の淵を歩く少年をいつもの私ならば見る価値もないと判断し、放っておいたでしょう。彼でなければ今日の私もそう考えていた筈です。


 私は命を粗末にする者が何より嫌いですから。


 見知らぬ地で無闇に動き回る者、弱いくせに動き回る者。全て嫌いです。それならばそのまま立ち止まって観察をしなさいと思います。


 ですがやはりそれは私の個人的な考えです。動かなければ死ぬのは明らか。待つか行くかの一本道です。そんな中、私の判断は負け、彼は勝ちました。


 だからこそ私はアオトさんとセリアさんに能力を授けました。はっきり言って大サービスです。


 二人が訓練と称した殺し合い(戦闘)に出かける度に成長するその背を私は眺める事しかできません。


 最後の旅立ちのときの彼と彼女の背中を見ましたか?


 強く、気高い背でした。運命に立ち向かうその姿を見ていて私が伝えておかねばならないことを忘れる程に。


 彼は私より更に強くなります。きっと。


 そして彼女も彼を支えれるように強くなります。きっと。


 彼はこれから沢山の仲間ができると思います。きっと。


 その仲間も互いに高め合い、二人に近づく程に強くなります。きっと。


 彼等は諦めません。どんな困難だろうとも乗り越えてみせます。きっと。


 私とした事が恐らく、という仮定で物事を進めてしまいました。これもきっと(・・・)彼等の背が全てを任せられる程に逞しいからでしょう。


「《再生》」


 試練を乗り越えたアオトの右腕は元に戻す価値があるでしょう。このスキルを与えるのも良かったでしょうがそれはまた次の機会にするとしましょうか。


 私はあなた方に付いて行く事ができません。それなのに頼み事をするなど不祥事というものでしょう。いくら愚痴を言われようとも構いません。ですが私の思いは必ずや果たしてください。


 日本人(・・・)としての私の意地の道を照らしてください。


「また会うのを楽しみにしています。アオト。セリア」


 次に会う時は必ず私を連れ出してくださいね。

 これにてピスの話は一時終了。次の幕間はレンです。次回もお楽しみに。


 試験週間と三章開幕が重なりそうなのでずれるかもしれません。すみません。


 感想、ご指摘お待ちしております。

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