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第四十八話 変質魔法

 続きをどうぞ。

「はっ、そんなもんかよ!」


 ピスからチートを貰ったアオトは現在竜(・)と対峙している。ときは今日であの日から丁度三週間。これまで戦ってきた竜は数知れない。


「頑張るわねえ」

「セリアはしないのか?」


 呑気に話しているが薄暗い洞窟の中、竜の爪やらなにやらを相殺したり躱したりしている。その攻撃が地や壁に当たる度に抉れ、大変な形へと変化している。


「私はいいわ。アオト程元気じゃないから」

「へー、よっと」


 最後の攻撃とばかりに竜の爪でのパンチを最小限の動きで躱してそのまま懐に潜り込み、“雷狼”による一撃を放った。その一撃は竜の鱗を難なく斬り裂いた。それはもう真っ二つに。


 この三週間で手に入れたもの。それはステータスでは測れない実力。経験だ。


 それをこの短期間の間で自分のものにした。これは本当の天才だ。普通の人間が到底辿り着くことのできない領域。そこにいままでの経験もあれど殆どをこの三週間で辿り着いた。


「化け物ー」

「セリアも十分化け物だぞ?」

「アオトに言われたらお終いだよ」

「魔法パナイじゃん」

「まあね、これでも元魔王だからね」


 そう言いながら片手を上げてアオトの後ろに隠れていた小型の竜を炎で燃やす。まるで灼熱の炎のように。


「ナイスアシスト」

「当たり前でしょ」


 ハイタッチを交わして今日の訓練は終了―――


 の筈だった。


「―――――!!」


 生き物の声。それも一番上に立つ者の声のように鮮明に響き、そして荒れ狂う者の声のように、威厳があり、声に聞こえない叫び声。


 その声を聞いた瞬間、二人の感覚がこれはヤバいと感じた。それと同時にアオトはこいつはまさかっとも感じた。


「竜っ!?」

「ああ、それ以外に考えられない。しかもこいつは俺が倒すべきのな」


 洞窟の奥から見えてきたその姿は古代水竜。アオトの右腕を奪ったあの竜。そしてそのまま置いて行ったあの竜だ。


「因縁の対決だ。本気で行くぜ?」

「ちょ、ここが崩れる! 生、き、埋、め!」

「ピスが言ってただろ。このダンジョンは結構な強度を持ってるって」

「そう言う意味じゃ―――」


(無視だな。無視)


 強制的に周りの声を意識から追い出し、対峙する敵にだけ集中する。


「グルルルルゥゥ……」


 うめき声が古代水竜から若干漏れる。


「はっ!」


 先手を取ったのはアオトだった。その間を詰めるスピードはセリアにも目を凝らさなければ見えない程のスピードだった。


 だが―――


「グルアアアアッ!!」


 そんなものは通用しないとばかりにアオトをしっぽで薙ぎ払う。勿論アオトもそれを軽いジャンプで躱すが先制攻撃に失敗してしまった。


(やっぱ強いな。これであのブレスを放ってきやがったら怪我じゃ済まねえかもしれないな)


 思い出すのはこの竜を初めて見たときの事。ブレス一つで竜の鱗を貫通どころか吹き飛ばした強力な一撃。あれだけは注意しとかなければ死を招きかねないと目の前の対象により一層の注意を払う。


「しゃあねえな。《手加減全解放・俊敏力&魔力》」


 解放したのは俊敏力と魔力。そのまま持っておいて大丈夫な体力や耐久、魔耐久はそのままにしていて、知力やもそのまま持っていて損はないのでそのままにしている。だが破壊力や俊敏力、魔力は持っていて危険も呼ぶので制限している。特に破壊力は。


「ふぅ……どりゃっ!」


 “雷狼を上段から思いっきり振る。その斬撃は単調に見えて、避けづらい位置と避けられても構え直せるように気を配っている。


 そんな斬撃は古代水竜に直撃した。直撃させられた。動きが明らかに変わっているアオトに古代水竜が対応しきれなかったのだ。


 その直撃した場所は右腕。狙ったわけではない、とは言いきれない。現にそこを狙うように迫ったのだから。だがその竜の右腕が綺麗さっぱりと斬れたのはアオトも驚きだった。


(俺って凄い?)


「―――!?」


 アオトが自分を軽く褒めているのを尻目に竜は自分の腕が切り落とされたことに理解ができずに只痛みでがくしか無かった。


「隙有りっ!」


 空かさずアオトが追撃を試みる。それは上段に構えたものではなく、鞘に入れた状態での攻撃だった。


「……《飛剣》っ!」


 魔力を乗せた飛ぶ斬撃が古代水竜に迫る。まだ痛みから解放されているわけではなく、もがいたままの状態だ。だが今は殺し合いの真っ最中。動けぬからと言って手を抜いたり、待ってやる道理は通じない。


 飛ぶ斬撃は古代水竜に当たる直前で竜を避けるように軌道を変えた。変えられた。


「マジかよ……」

「この竜強いんだねえ」


 その普通では有り得ない現象はあのブレスの結界版のようなものによる阻害だった。その結界も分厚さが馬鹿げていて厚さ25cmを裕に超している。しかも不可視の色で見えにくいのだから邪魔ったらありゃしないのだ。


「グルルルゥゥゥ…………グギャアアアアァァ!!」


 吠える声と共にアオトに向けて極太のブレスが放たれる。そのブレスから見てもわかるようにもう古代水竜はもうアオトを虫のようなものだとは思っていない。かといって獲物だとも思っていない。やっとのことで手に入れた力で自分を強敵だと見てくれている。並べる。いや―――


 それ以上先に行ける。


 そうアオトは確信した。


「《炎壊》」


 唱えたのは今考えると懐かしいと思える魔法。それを竜のブレスにぶつける。魔力はそこそこ注ぎ込んだだけで竜のブレスと比べると明らかに威力が低いだろう。持って5秒程度だろう。それを過ぎるとブレスの力でアオトの魔法が掻き消され、最悪の場合、戻るために必要な道が壊される(・・・・)。


 アオトが発動させた《炎壊》は炎の柱のように、それでも蒼の色で。古代水竜の放つブレスは青よりも青い水。


 二つの膨大な魔力はぶつかり合い、互いに威力を抑えられていく。だが古代水竜のブレスがやはり優勢。


「《第一障壁》《第二障壁》展開」


 もしものためにセリアが魔法を放つ。その魔法はどの属性にも属さない魔法。それは無色と言うよりも魔力が唸るような絵柄がなされている。


「これが今の俺の力だっ!」


 残り四秒。


「一撃、二撃」


 残り三秒。


 左から右へ、右から左へと“雷狼”を走らせる。その形は剣ではない。刀だ。今迄の形とは違うもの。抗うように残っている左腕でアオトを振り払おうと振り回す。


「三撃、四撃」


 残り二秒。


 斜め右上から斜め左下へ。斜め左上から斜め右上へと“雷狼”を走らせる。それに呼応するようにアオトも古代水竜の体中を走り回る。それによって古代水竜はアオトを捕まえる事はできない。


「五撃」


 残り一秒。


「―――――!!?」


 竜のブレスがアオトの《炎壊》を完全に押し返した。だがそれと同時にアオトの攻撃も終了を迎えた。最後は竜の足掻く左手を華麗に避けて、心の臓向けて一直線に突き刺したのだ。それと同時に古代水竜が絶叫の声をあげる。呼応するように竜のブレスも一瞬にして消え去る。


 この刀の最大の長所は刺す事だ。


「【斬刺五撃】」


 この三週間で手にしたのはそれだけではなかった。


 《変質魔法》

 複製魔法の派生。ものを作り出すのではなく、ものを変化させる事ができる魔法。習得条件 知能999999以上 創造(変化)系統の魔法習得 習得確率0,05%

 レア度不明。

 こじつけっぽいですか?

 自分でも書いていて思いました。「変質魔法の出し方おかしくないか?」と。剣を使って、魔法も使うのは良かったんですが刀の部分の出してみたかったんですよねえ。ほら、刀って日本人なら出してみたいじゃないですか。

 これについては近々考え次第、変えるかもしれませんが。


 何故、刀が今になって出て来たのか。

 この前、城に行ったんですよ。家族で見学に。そのときに内部も見ていたんですが展示品も沢山ありまして……その中のいくつかに刀の刀身があったりもして「刀良いなあ」と感じたんです。あの昔独特の古い感じと洗礼された綺麗な刃が何とも言えなかったです。


 もう一度言います。こじつけな気がするので変更する恐れがあります。只、いつかは出すと思いますが。


 感想、ご指摘お待ちしています。

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