第三十六話 奈落
感謝、感謝、感謝、感謝。本当に感謝! 1000%の感謝です(作者も意味があまりわからない……)。理由は後書きで……。
続きをどうぞ!
あの魔物の群れを倒した後に休憩をとったアオト達は体力と魔力がある程度回復次第、攻略を再開した。
「アオト、調子は大丈夫か?」
話しかけてきたのはダレンだ。剣の腕前は一流で頭も切れるし、顔が最高級に整っているときたものだ。それに加えて誰にでも優しく接するその姿は男なら憧れ、女なら惚れてしまう程であろう。
そんな彼がアオトに声をかけたのはなにも仲間はずれのようなものになっているから、と言うわけではなく二人とも仲が良いからだ。それを見た他の人が「なんであんな役立たずが」と愚痴を言ってしまうのは良く聞く話だ。始まりは訓練場で……。と多々の今の関係へと続く仮定があるのだがそんなものは今はあまり必要と言ったものではないだろう。
「俺?」
「ああ、アオトはあまり自分から声をかけないから僕からかけないとね」
「気遣ってくれたのは感謝するよ。でも今はなんてことないさ」
本当は声に出してもっと感謝したいのだが周りの視線がある中でこれ以上の会話は得策ではないと考え、ダレンから離れようとするが呼び止められ離れる事に失敗する。
「そんな事ばっかり言ってちゃいけないよ」
「どういう意味ですか?」
「アオトは精神的に強い方だからまだ大丈夫だけどダンジョンと言うのは魔力が外の世界よりも密度が高くてね」
「ああ、その辺は知ってる」
もう良いか? と言った心境でダレンを見る。
(……俺よりでかい)
自分の背は然程低くないにしてもダレンが高いのでそう感じてしまう。
「それは下に行く程高くなる」
「それも知ってる」
「……人の話は最後まで聞こうね、ア オ ト?」
いつもは静かでクールな印象を受けるダレンが冷酷なオーラを出した事に周りは冷や汗をかきながらアオトに罵声を心の中で送ったり、目を合わさないように前を向いていた。
「分かったからオーラ出すのは止めろ」
そう言うとダレンの背後に現れていたオーラがだんだんと消えていく。
「本当?」
「本当」
「じゃあ続きだね。魔力の密度が高くなると魔物が増えるのともう一つハプニングが起こる」
「そんなのか?」
「頭痛だよ。と言ってもステータスが高い人には効果がないんだけどね。ステータスが低い人が一気に階層を駆け下りると頭痛が走り、気を失うケースもあるんだよ?」
「でも俺はどうもなってないぞ?」
「それはアオトも勇者に含まれてるって事じゃないのか」
「頭痛を起こさないチートなんて要らねえ」
そんなチートなんて認めないと心で誓うがそもそもチートってどこまでがチートなのだろうか。
「それもそうだな」
「ほっとけ」
「はいはい」
「ダレンさん、前に魔物の反応があります」
「分かった、今行く。アオトも体調には気をつけろよ」
「さっさと行ってこい」
アオトの反応をもらうとダレンは最後尾から最前列まで駆けていった。去り際に「厳しい反応だなー。そういう所が気に入ってるんだけど」と言う呟きがアオトや近くの勇者メンバーが耳にしたがきっと気のせいとアオトは冷や汗を拭くことになった。
(ドMの友達なんて要らねえからな)
手遅れのような気もするが気にしてはいけない事なのかもしれない。
時間の流れと言うのは速いもので今まさに崖の傍に勇者達は居る。勿論アオトも居るしコトノも居る。序でにダレンも居る。
「ここに落ちるなよ。ここに落ちたものは今まで聞いた事はないが落ちたら100%死ぬぞ」
そんな事は誰もが分かったいるとは思うがダレンも注意を促さないわけにはいかない。そんな中……。
「ダレンさん」
「どうかしましたか、先生」
話しかけてきたのはアオトのクラスの先生ではなく数学を教えている。ここでは先生Aと言っておこう。
「ここの大体の深さは分かっていないんですか?」
「正確には殆ど分かっていないのですが五百mは裕に超えています」
「そんなに……」
それを聞いた先生Aの顔は青ざめていく。理由は生徒をこんな所に連れてくるなんて、って感じだ。その中にアオトは入っていないが。
「では皆さん、少し戻った辺りで休憩を挟みましょうか」
「えっ、進まないんですか?」
疑問を口にしたのは二年の一人だ。
「ええ、これから先は更に魔物の強さが跳ね上がります。休憩を今の内にとっておいた方が得策です」
「そうですか……」
そういって皆の中に戻っていく二年を見て皆も隊列を組みながら後退を開始する。その途中で―――
「アオト、ちょっとこっち来いや」
「ん?」
「来いって言ってんだよ」
「ああ、分かった」
その後アオトとシンマ、シンマの取り巻きが隊列から抜けたのを知ったのは感覚にして当分先になる。
「げほっげほっ」
「おら、もっと苦しめよ!」
「ぐっ」
「そろそろ体力も限界か?」
「……そ、そんなわけ……ねえだろ」
意地を張っているがアオトはステータスで一般並み。それに比べてシンマ達は誰もがステータスで新入り騎士並みの力を持っているのだ。そんな奴らが何人もの束で攻撃をくらい続けていたら気を失うのも時間の問題。更には死の危険に陥るのも時間の問題だ。
「へっ、意地はりやがって……そう言う所が気にくわねえんだよっ!」
主にシンマからの猛攻撃。それを受けたアオトは気を失わないように意識を保つのさえ困難な状態へと陥っていた。いつものリンチではここまでのダメージはくらわなかった。それはレベルアップによる補正が大きいからだろうか。
「そろそろ本当にくたばったか?」
「だから……そんな……わけねえだろ……って」
「そうか? 俺のこの力でお前はもう死にかけだと思うんだけどなー」
「ふっ……お前の……力だと? ……面白い事を……言うな。貰った……力だろ」
「このくそがあっ!!」
それからもじっくりと攻撃をくらい、アオトは意識を一度手放した。
「お? 気い失ったか」
「叩けば気が付くんじゃねえ?」
シンマの声に反応したのはシュンキだ。
「それもそうか。オラッ!」
「うっ、ぐはっ」
「おはような? アオト君」
「まだ、終わってなかった……のかよ。はあ、はあ」
「次はちょっとした余興を思いついてな」
そう言われたときアオトの背中を冷たい風が吹いたような気がして次に嫌な気配が全身を襲った。それは魔法やスキルによるものではない。もっと脳に直接送り込まれるような人の本能のようなものだった。
「なあに、心配するな。動かなきゃ落ちねえよ」
そう言って次にアオトの体を襲ったのはまるで金縛りのような感覚。そしてアオトの体はだんだんと中に浮かんでいく。ゆっくり、ゆっくりと。それに抵抗するかのようにアオトは体を動かそうとするが拘束魔法のせいで上手く体を動かせない。それに加えてシンマの念力魔法の効果でアオトは下が地面ではなく、暗闇の所へと運ばれた。
(さっきの感覚と言い、死ぬかもな。心残りは……コトノだけだな。後はダレンともっと仲良くなりたかった事かな)
「アオトー、謝罪するか? お前が土下座して俺の靴を舐めると言うならこっちに戻してやっても良いぞ?」
「シンマさん、もうあいつ動けませんぜ? それでもやらせようとする所、流石シンマさん」
「てかシンマさん。あいつに靴舐められたら自分ならもうその靴履けないと思いますが」
順にシンマ、リュウセイ、シュンキだ。
「それもそうだなあ。このまま放っとくか?」
「死にますぜ、絶対」
「死んでもなんとも思わないですがねえ」
そんな一人の命が関わっていると言うに呑気な話し声と共に笑い声まで聞こえてきた。そんな中だった。
「ダレンさん、こっちです!」
「本当なのか、コトノさん!?」
なんと他の人からアオトとシンマ達の事を聞いたコトノがダレンと一緒に現場へと向かった。そこで見たのは焦る三人と浮かんだまま仰向けに倒れているアオトだった。
「「アオト!」」
「ちっ、面倒くせえ、落とすぞこいつ」
「ちょっ、シンマ! アオトから離れて!」
「俺が退いたらこいつ落ちるぞ?」
その声は落ち着いていてまだ自分たちの方が立場が上だと思っているのを連想させる。
「くっ」
「そうだなあ、どうやってこいつを―――!?」
そのときだった。他の勇者メンバーも面倒そうにしながらも駆けつけたのだ。それを見たシンマ達は驚き、そして―――
「アオトーーー!!」
精神状態が不安定になりアオトとは“奈落”の淵へと落ちていった。そして崖の上にはアオトの名を叫びながら今にも崖を飛び降りようとするコトノを取り押さえながらも苦痛の表情を思わせる顔で崖を見下ろすダレンの姿があった。
本当に感謝ですよー。皆さんが読んでくださったおかげで100000PV突破しました! そしてユニークユーザーも18000突破です! 本当に感謝です。何度でも言います。感謝感激です。今月で自分は小説を書き始めて一年にもなるわけですし……。盆と正月が一緒に来たようとは良く言ったものですね! 今にも号泣してしまいそうです。
うわあああん!
本文の手遅れのような気もするのはダレンだけではありません。
コトノ 多少(どころか完全に?)アオトに依存している節がある。
ダレン イケメンだが少々ドMな所も?
となっているので。
長々と今回も書かせてもらいましたが本当に感謝しております。作者涙袋に涙を溜め過ぎて画面が見づらいです。はい。最後に二言伝えさせてもらいます。
本っ当に感謝しています。有り難う御座いました(この話で感謝を十回使いました)。※この作品はまだまだ続きます。お間違えがないようにお願いします。
感想、ご指摘お待ちしております!




