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第十四話 苦手な◯◯◯

 えー、本格的に試験週間に入りましたので更新が途絶える可能性があります。一週間程で終わるのでそれまではご理解してくだされば嬉しい限りです。

「……ごめん」

「許さない」

「ごめん」

「許さない」

「ごめんって言ってるだろ!」

「なんでアオトが切れるの!?」

「……何となく」


 こんな会話から始まった理由は言うまでもないが先程のアオトがレンを蹴って、ひっこ抜いてを繰り返したからである。


「……もういいからさっさとこの階層を攻略しようよ」

「ま、そうするか」


 埒が明かないと言わんばかりにレンはアオトにこの先に進む事を提案するがアオトのあまりにもあっさり過ぎる反応に苛つきを覚えた。それでもレンがアオトに怒りを面に出さないのは少しでも自制心が働いているからである。そんな自制心などいらないのだがこれでもアオトはレンの主にあたるのだから。


「それにしても何か不気味なんだよね」

「そうか? 確かにボロい所が所々にあるけど唯の老朽化したでかい家のように考えれば良いだろ」

「だと良いんだけど」


 アオトの言うように唯老朽化しただけの家的な雰囲気ならまだましだろう。だが、ここは薄暗いわ、魔物は出るわ、罠はあるわと良く言っても不気味な雰囲気漂う墓地と良い勝負だ。危険度で言ったら比べ物にならないが。それに陰謀も直ぐ近くに隠れているのだ。


「それにしてもここの魔物はどうなってんだ? あんなに騒いだのに一匹も姿が見えないし」

「あー、いるかも」

「何がだよ」

「魔物が」

「は?」


 言われて周りを見渡すが近くに何かがいるというわけでもない。そう、見えないのだ。魔物が。目には。


「ゴースト系モンスター」

「え?」


 レンは見た。アオトの体が一瞬震えてアオトの強張った表情を。


「目には見えないような上位のゴースト系モンスターの“死霊”」


 死霊

 命を落とした人々が生を望み、生きた者を恨む事で生まれる事がある霊。取り付く事で体力と魔力を奪い、そのものの命を奪うと言われる上位のゴースト系の魔物である。


「嫌だ嫌だ……。そう言えば俺には霊召喚魔法があるんだ。それで召喚して遠くに行くように命令しておけば……」

「無理だよ。それに出来たとしてもどうやって全ての死霊を従えるの?」

「ああああああ」


 狂ったようにいや、全てを拒絶するように耳を抑え、目を閉じて聴覚と視覚をシャットダウンする。その間に何故か霊召還魔法の詠唱を唱えているのだが効果は一切ない。


 残念ながらアオトの霊召喚魔法は霊を操る事が出来るがそれは正真正銘の霊だけである。魔物と化した霊は対象には入らない。


 アオトにはもうお気の毒に、としか言いようがない。


「もう仕方ないなー。全てを照らすその力 今解き放ち辺りを照らせ……《照明》」


 火魔法《照明》

 この魔法は光魔法にも存在し、同様の力を発揮する。だが、光魔法の方が一回の継続時間は長いので効率で言えば光魔法で唱える方が良いと言える。レンは光の属性に適性がないので仕方ないが。


「目を開けてみて」

「なんで?」

「いいから」


 そう言われては目を開けてしまうアオトは少しレンを信用し過ぎな所があるのかもしれない。


「……ぁぁぁあああああ!」


 悲鳴を上げた理由はアオトの目の前にあった光景である。レンの魔法で出来た揺れる火の光で照らし出された光景は辺りを埋め尽くさんとばかりにいる骨だけで黒いローブをかぶった足の無い幽霊だったのだから。


「これは流石に数が多いね」

「幽霊は嫌だあああああ!」

「幽霊って僕もだよ?」

「……」


 黙ったのはなにも今更気が付いたからではない。レンは人の顔をしていて、足はないが、普通に喋っているからだ。だが、今アオトの目の前にいるゴーストは―――


「「「ウオオオン!」」」


 ―――言葉ではない只の叫び声で自分たちを襲って来るもう只のゾンビと言っても変わっている所がない者共ばかりだった。


 そして知恵を振り絞って出したアオトの決断は……魔法を唱える事だった。


「わ、我は光を統治する者なり。我が魔力を糧とし、邪を消し去る聖なる光を今解き放つ。……“光天”」


 光魔法“光天”

 光を圧縮した極限の光量を誇る一撃を放つ魔法。邪なる者以外には効果は一切効果がない。聖魔法には及ばないものの浄化の力を有す。


「「「ウオオオン!?」」」


 どこから取り出したのか死霊達は大きな鎌を持ち、アオトとレンに向かって振り下ろす。だが、死霊達の姿は光によって刻一刻と消し去られており鎌も同時に光の粒子となって消えていった。


 そんな死霊達の姿を見て満更でもないような笑みを浮かべるアオトにレンの反応は分かりやすいものだった。


「そんなに嫌だったの?」


 声をかけられたのに反応がないアオトに不信感と抱きつつあるレンは揺すってみるが反応はなく―――


 ―――そのまま前のめりに倒れてしまった。


「……そこまで怖いの!?」


 締まらないその姿は誰が見ても同じ事を思うだろう。

 アオトの苦手なものはお化けでした。これは最強になっても克服させる気はありません。序でにお化けとは言ってもレンみたいな人間な感じが漂うのはオッケーです(笑)。

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