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前世で裏切られたので王族との結婚は望みません  作者: gacchi(がっち)


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4.こんなところで初めまして

「ロージー先生、ちょっといいかい?」


「はーい」


「学校長が呼んでるみたいだから行ってくれる?」


「学校長がですか?わかりました」


明後日から学校が始まると、入学準備に追われていた時だった。


光属性と水属性の担当として、授業の下準備や実習場所の確認など、

新米講師としてやることだらけだった。


学校長とは何度も会っているが、わざわざ呼び出される理由がわからない。


今になって何だろうと思いながら学校長室をノックすると、中から返事があった。


「あぁ、ロージー君かな。入っていいよ~」


のんびりした声に気が抜けてしまいそうになる。


王弟殿下でもある学校長だが、私が唯一苦手じゃない高位貴族の人だった。


おっとりしていて王政とは関わらないとはっきり言っている。

王子時代からそうだったらしく、魔術を研究することにしか興味がないそうだ。


独身だが、結婚する気は無いと神殿に誓約しているらしい。


陛下も下手に結婚されて子どもが産まれても、

王位争いがめんどくさいと思われたのか、誓約を認めているそうだ。


学校長室に入ると、ローブ姿の男性も一緒に座っていた。誰だろう。

入ると座るように勧められたので、向かい合わせのソファーに座った。


「学校長、お呼びだと聞いたのですが?」


「ああ。座ってくれる~。ロージー君に頼みたいことがあってね。

 ここにいる生徒を一人、個別で面倒を見てほしんだ」


「個別でですか?」


座っている男性を見ると、かぶっていたフードを外した。

悲鳴をあげなかった自分をほめたくなってしまった。


「ゆ、ユリアス様ぁ?」


「私を知っていたのですか?あぁ、様はいりません。勘当されてきました。

 ここではただの生徒です。ユリアスでお願いします」


「ええぇ?学校長、どういうことですか??」


「うん、婚約破棄騒動はロージー君も知っているよね?

 卒業生としてその場にいただろう?

 あれでユリアスは側近をやめたんだが、それだけじゃなく騎士もやめてしまった。

 知っている通り、ハンドウイル伯爵家は騎士以外は認めない家だ。

 当然勘当されて、ここにいる。魔術師になりたいそうだ」


「……え?学園で魔術の授業を受けてますよね?

 わざわざここに入学しなくても魔術師になれるのでは……」


私が魔術師としてここで講師ができるように、

学園では基礎から応用まで学ぶことができる。


卒業した時点で魔術師になるための授業は終わっているので、後は才能次第だ。

同じ学園にいたユリアス様が魔術師学校に来る意味がわからない。


「実はハンドウイル伯爵家は魔力測定を拒否している。

 そのため学園でも魔術の授業を取らず、剣技の授業に振り替えていたそうだ」


「魔術の授業を受けないなんて、そんなことできるんですか?」


「ハンドウイル家だけだね。そんな剣技馬鹿は」


あ、騎士の家を剣技馬鹿って言っちゃった。学校長じゃなかったら問題になるところだ。


「だけどね、ユリアスは本当は魔術師になりたかったんだって。

 ほら、見てわかる通り光属性だろう。もったいないよね。

 だから俺が後見になって、魔術師学校に入学させたんだ。

 甥っ子のことで迷惑かけた分の慰謝料ってことでね」


あぁ、納得。王家からの詫びも兼ねてってことですね。


あの婚約破棄騒ぎは、いくらなんでもひどすぎだ。

長年側近として仕えていてくれた臣下の婚約者を取るだなんて。


きっと他国にも悪評が伝わっているはずだ。

これ以上揉めないように、最大限できることをしたってことなんだろう。


「ユリアス様がここに入学した理由はわかりました。

 でも、私が個別で見るというのはどういうことですか?」


「うん、この学校の最初の2年は一般教養が半分だろう?

 でもユリアスに一般教養は必要ないよね。

 もっと高度な教養を身に着けているんだから」


「それはそうですね。受けるだけ無駄です」


「だから、もう専門科生として入学させるから、ロージー君の研究室付きにして?

 他の先生たちはみんな研究室付きの子がいるし、

 ロージー君なら同じ光属性だから教えやすいでしょう?」


「あーなるほど。そういうことでしたか」


今年入ってきた講師は私だけだった。

それ以外の先生はもう数年務めているから、教え子も多い。


卒業後にもっと研究したい生徒を研究室付きとして数名雇うことができるので、

ほとんどの講師は雇っていると聞いた。


「研究室付きが一人もいない状態だと、

 授業の準備も大変だし、組になって見本を見せることもできない。

 ちょうどいいだろう?男手があった方が物を運んでくれたり便利だぞ。

 それにさ……一応、ロージー君は子爵家の令嬢だろう?

 護衛も兼ねてユリアスにいてもらった方が良いんじゃなかって思うんだ」


「護衛ですか……。令嬢扱いはしなくて大丈夫なのですが。

 まぁ、たしかに助手にいてもらった方が良いのはわかります。

 今も準備していて大変だったので、手伝ってもらえるならありがたいです」


「じゃあいいよね?

 研究室付きにすると一応給料も出るし、住むとこもできる。

 俺は全部面倒見ても良かったんだけど、ユリアスが遠慮するからさ~。

 手続きはこっちでやっておくから、もう連れて行っていいよ。頼んだよ~」


「わかりました。……じゃあ、ユリアス様、研究室に行きましょうか?」


「はい」



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