神殿からの真っ赤な呼び出し状
タイトルを変更しました。新タイトルは『聖女試験で零点を取りました ~リハビリ計画を立てろと言われたので、患者の両足を再生したら失格になりました~』です。今後ともよろしくお願いします
「神殿から確認したいことがあるので来てくださいって手紙が、セラフィーナ様宛に届いてますよ」
アルノーがそう言いながら、手元にある手紙の束をぱたぱたと揺らした。
「また来たの? そこへ置いておいて」
セラフィーナは机の上の書類から目を離すこともなく、気だるげに手をひらひらと振る。そのいかにも面倒くさそうな態度に、アルノーは深い溜め息を吐き出した。
「最近は封筒が赤色になっていますけど、本当に放っておいて大丈夫ですか」
「まあ、いいんじゃない?」
「知りませんよ。そのうち本当に人が来ますよ。神殿だって一応は権力なんですから、最悪、拘引されちゃうかもですよ」
「それは嫌ねぇ……」
棒読みで返すセラフィーナに、アルノーは諦めたように肩をすくめる。手元にある、いかにも「警告」といった風情の真っ赤な封筒を見つめた。
「――開けてもいいですか?」
「呪いが掛かっていないか、ちゃんとチェックしてね」
「そんなことあるんですか!?」
アルノーが目を丸くすると、セラフィーナはふんと鼻を鳴らし、ようやく顔を上げた。
「私を聖女にしなかった敵よ? どんな陰湿な攻撃を仕掛けてくるか分かったもんじゃないわ」
「……はいはい。じゃあ開けますよ」
アルノーは慣れた手つきでペーパーナイフを差し込み、封を破る。中から出てきた上質な紙に目を走らせ、その内容を読み上げた。
「何々……『最近、聖女失格者セラフィーナの悪い評判が神殿にまで届いている。詳細を確認したいので、神殿まで出頭せよ』――って書いてありますよ」
それを聞いた瞬間、セラフィーナの美しい眉が不機嫌そうに跳ね上がった。
「一々気に食わないわね。『聖女失格者』って何よ。けが人を直さずに書類を作るのが神殿の聖女だったらこちらから願い下げよ。失格者こそ聖女だわ」
「それは単なる開き直りにしか聞こえませんよ! むしろ立場が悪くなっているじゃないですか!」
アルノーのキレのあるツッコミを、セラフィーナは綺麗にスルーする。そして、椅子から立ち上がると、軽く伸びをした。
「そんじゃ、神殿に行ってみるか」
「え、行くんですか?」と驚くアルノーを置き去りにして。
セラフィーナはまるで、天気の良い日に近所へ散歩にでも出かけるような軽い足取りで、神殿へと向かったのだった。




