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Robotech Touchdown ─ロボテック タッチダウン―  作者: 芳川 見浪
第十三章
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Preliminary Contest ⑪

『最初のボールキープはインビクタスアムトです!』

『攻めていきたい彼らとしては、初手を取れたのは大きいですね』

 

 ボールを手にしたジックバロンは、まず後ろ手に投げて炉々のヘイクロウへパスしてから前にいるセンターフロントと組み合おうとするが。

 

『なんと、バジリスクはフロント機体含めて後ろへ下がった!』

 

 バジリスクは後方へ下がってとことん守備を固めるつもりのようだ。これには祭も焦燥の色を隠せない。

 

「九重さん、どう攻める? 僕が行く?」

『正直どう攻めても無駄に終わりかねないわ』

 

 だが攻めないと点は取れない、またいつまでも攻めないでいると試合妨害と見なされペナルティを受けてしまう。

 攻め手が無くても攻めなくてはならない、開始数分でそのような状況に追い込まれてしまった。

 

『あっちがとことん守るなら、こっちはとことん攻めるわよ……私とクリシナとライドルを残して全員前にでるのよ』


 所謂総力戦、矛と盾、どちらが勝るかの勝負だ。

 エルザレイスがハミルトンへパスをする。ハミルトンが攻めるということなのだが。

 

『宇佐美君、まずは他の皆が相手と衝突するのを待って、それから走る速度は抑え目、まだリミッターが外れている事を知られたくないわ』

「わかった」


 リミッターは任意で付けれるので、もう一度ONにして昨日までと同じ状態にしておく。

 またこのやり取りの間に敵陣地で衝突が始まり、フロントとバックスが揃ってハミルトンの道を作ろうとしていた。

 

『今よ、行って』

「うん!」

 

 リミッターが付いていることを再度確認してから宇佐美は走り出す。リミッターがついていても速いものは速い。ものの数秒で味方と敵が組み合っているラインへと辿り着く。

 自分の一・五倍の大きさもある機体ばかりで自分の視界範囲外の様子がわからない。

 ハミルトンにレーダーは無いのでこの辺りの確認は非常に困難だ。

 団子を避けて横から行けばいいと思い立ち、そうするが。流石に敵もそれを読んでいたのか、フリー状態の敵が立ちはだかる。タイトエンドの機体だ。

 

 こちらは三機残しているので、向こうはその分フリーにできる機体が多いのだ。

 ハミルトンと敵のタイトエンドが向き合う。

 敵のフリー状態の機体は四機、うち一機はハミルトンと向き合い、一機はフルバック。残りの二機の動向が気になるが、宇佐美はここで一気に攻めることを選んだ。

 既に五分が経過している。これ以上時間をかけられない。

 

「行きます!」

 

 ハミルトンが掛ける。爆速の機体を前にして相手は果敢に防ごうとするが、速度の乗ったショルダータックルをモロに受けて怯み、その隙にハミルトンが横を抜ける。

 瞬間、脇から別のフリー状態の敵が襲いかかってきた。

 

「来ると思った!」

 

 心構えはできている。おそらくもう一機でてくるだろうと思ったら反対方向から更に一機でてきた。

 だがこの二機は待機していた場所が悪かった。ハミルトンとは数メートル離れた距離、普通の機体なら充分取り押さえる事のできる距離だろう。

 しかし、ハミルトンの速度は別格だ。宇佐美は強くフィールドを蹴って最高速度で走りながら二機を躱す。

 急速に速度を上げる事によって、二機からはハミルトンが消えたように見えただろう。

 

「あと一機」

 

 残すはフルバックのみ、この機体は大きめの設計で腕が長い。リーチが長い分躱すのも大変だ。特にフルバックは捕まえるのが得意な人が選ばれる事が多いため、宇佐美は速度を落とさず脇を強行する作戦にでた。

 ただの賭けであるが、賭けには成功してエンドラインを超える。

 

『タッチダーーウン! 先制点を決めたのはインビクタスアムトぉ!』

『しかしハミルトンの重量は規定を満たしていないので半分の点数となります』

 

 つまり三点、次のキックで一点入れて四点。

 キックのため各機体がそれぞれ所定のポイントへ移動する間に、宇佐美は全員へ向けて先の攻撃中に感じた事を伝える。

 

「ねえ、何か相手弱くない?」

『それワイも思ったわ』

『どうにも手応えがないの気持ち悪くてやんなっちゃう!』

 

 やはり全員何かしらの違和感を抱えているようだ。

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