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 本当は……俺は君のことが好きだった。



 でも、



 だけど―――


 *


 「今日だっけ、同窓会」



 妻がそう尋ねる声に、後ろめたさなんて微塵もないはずなのに言葉に詰まった。



 「……あぁ、そう、だけど」



 いつもよりどこか歯切れの悪い俺の返答に、敏感に感づいた彼女が少しばかり拗ねた表情で近づいてきた。



 「何よ」


 「え?」


 「やましいことでもあるの?」


 「いや、ないけど」


 「ふぅーん」



 女性の嗅覚は鋭いというけど、まさにこういう時だよな……と思って苦笑した。



 「何も、ないから」


  「本当に?」


  「本当に本気で。神に誓って」



 わざとらしく宣誓ポーズをとってそう言ったけど、彼女の顔はまだ曇ったままだ。



 ―――そんなカオ、しなくてもいいのに。



 大事な彼女を凹ませてしまった事に参った……と思いつつ、そっと肩を引き寄せて抱きしめた。



 「ごめん、勘違いさせるような態度とって」


 「……うん」


 「お前以上に大事な奴、いないから」



 ぎゅっと力を込めて抱きしめながら言うと



 「……バカ」




 ちょっぴりだけど和らいだ彼女の声が返ってきた。





 ―――本当に何もないんだ。本当に。





 何もなさすぎて、それが切なく自分の中に残ってるだけで。



 だから。



 本当に何もないんだ。



 これまでも。



 そして君がいる以上、これからも。




 そっと右耳に髪をかけ、彼女の唇にキスをした。




 伝われと祈りながら、気持ちを込めて……




 *

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