1
本当は……俺は君のことが好きだった。
でも、
だけど―――
*
「今日だっけ、同窓会」
妻がそう尋ねる声に、後ろめたさなんて微塵もないはずなのに言葉に詰まった。
「……あぁ、そう、だけど」
いつもよりどこか歯切れの悪い俺の返答に、敏感に感づいた彼女が少しばかり拗ねた表情で近づいてきた。
「何よ」
「え?」
「やましいことでもあるの?」
「いや、ないけど」
「ふぅーん」
女性の嗅覚は鋭いというけど、まさにこういう時だよな……と思って苦笑した。
「何も、ないから」
「本当に?」
「本当に本気で。神に誓って」
わざとらしく宣誓ポーズをとってそう言ったけど、彼女の顔はまだ曇ったままだ。
―――そんなカオ、しなくてもいいのに。
大事な彼女を凹ませてしまった事に参った……と思いつつ、そっと肩を引き寄せて抱きしめた。
「ごめん、勘違いさせるような態度とって」
「……うん」
「お前以上に大事な奴、いないから」
ぎゅっと力を込めて抱きしめながら言うと
「……バカ」
ちょっぴりだけど和らいだ彼女の声が返ってきた。
―――本当に何もないんだ。本当に。
何もなさすぎて、それが切なく自分の中に残ってるだけで。
だから。
本当に何もないんだ。
これまでも。
そして君がいる以上、これからも。
そっと右耳に髪をかけ、彼女の唇にキスをした。
伝われと祈りながら、気持ちを込めて……
*




