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9話

 坂井一輝。僕は阿多谷と共に、校長室にいた。

ことの顛末は。


「校長と話をしよう」


「いきなりどうした」


計画とも言えない、第一声を僕が話、阿多谷が訝しげに、反応した。


「向井間君の企みを止めるには、この学校に協力者が必要だ」


「否定はしません。しかし立場を考えてください。僕らが訴えた所で、まともに取り合って貰えない。いじめをしていた側の人間なのだから」


「それでも、可能性があればやる価値はある」


「勝手にしてください」


「いや、阿多谷も必要」


「は?」


「僕より頭もいいし、弁が立つでしょ?」


「能力の問題じゃないです。立場の問題だと、言いました。お前はいいですが、僕はいじめの張本人です。事実は多少違くても、そう世間で納得させられている」


「だとしてもだよ。仮に僕一人だけで、交渉したして、校長に阿多谷がいないのは、いじめの張本人だからと。後ろめたいからだろと詮索されたら、言い返せない。その懸念を気にするくらいなら、寧ろいた方がいいよ。それとも、過去の汚点をあることないこと言われるのに、怖じ気づいたの?」


「ふん。どうなっても知りませんよ」



 

 そして今に至る。

校長に本題の話をする。


「校長先生。今回話場を設けてくれて、ありがとうございます。単刀直入に言います。向井間君は、良からぬ事を企んでいます」


「随分いきなりだね。それに、坂井君だけでなく、阿多谷君もいるんだね」


当然の反応を校長がする。阿多谷もには、少なからず、いじめの主犯を怪しむ心情があるように見える。


「阿多谷もその協力者です。信じられないかもしれないですが、どうか信じてもらいたいです」


「いやぁ、それは無理があるよね。君達は、向井間君を いじめていた よね? そんな君達が向井間君を陥れているようにしか聞こえないよ。阿多谷君とは、親しくないのかな? 阿多谷君が坂井君に無理やり協力させられているようにも見えるよ。懲りてないのかな。それとも、向井間君がそんな証拠があるの?」


「そ、それは……。これから見つけます」


「話にならないね」


 本当の事を言っても、信じて貰えないだろう。阿多谷との関係性も不審がられている。

だったら、どうすれば……。いきなり駄目元すぎたか。


「校長先生もう少し話をさせて貰います」


戸惑った僕を見かねて、阿多谷が話し出す。


「向井間……君が、良からぬことをする断言できるのは、経緯があります。過去の話をさせて貰います。中学生の時のことです。僕はいじめをしていました。向井間君へいじめをしていたことは、事実です。ですが、その前に坂井君をいじめていました。理由はくだらない劣等感の延長線です。親しくないのはそのせいですので、どうか気にしないでください。それを庇う為に向井間君は僕にいじめられるように仕向けました。例の報道を見ていたら、わかるように彼はいじめを許さない人間です。そもそも、許さないから、坂井君を庇いました。しかしだとすれば、この学校へ登校するは変なんです。いじめを許さない学校を選択。一見おかしくないようにも思えますが、彼はいじめを許さない。正義が行き届いてている学校にわざわざ進学するのは彼の信念に相応しくない。極めつけは、今の彼の様子。中学生と比べて弱々しい。おかしいんです。いじめを食い止めようとした彼が急に変わってしまった。妙だと思いませんか? だから思うんです。もしかしたら、今までが仕組まれた物なのではないのかと。僕の立場から言うのは、説得力はないかもしれません。ただ、違和感が存在するのも事実です。僕は、中学生での件で、彼に目を覚まさせられました。過ちを犯すような真似はして欲しくないとそう今は思うんです。だから杞憂で終わるように、協力してくれませんか? 校長先生」


「言わんとしていることはわかったよ。だからと言って、はいそうですかとはならない。君達の疑念が晴れる訳では無い。それよりも、君達の心配をするべきだ。いじめを許さないをモットーにしているんだ。君達のイメージは良くない。まぁ、いじめに良いイメージは無いよね」


「脅しいるのですか? だとしたら、この校風に沿わなくないですか?」


「逆に、聞きたい。君達は、どうしていじめをした存在でここへ来た? いや、向井間君を止めたいということなのだろうが、それでも、自覚が足りない。君達は、ここにいるべき存在でない。とそう生徒達に思われている。それは紛れもない事実だよ。勿論報復は、されないだろうし、させない。しかしそう思われている元で、覚悟をもってのことなのかい?」


「はい」    「……はい」

 

「そうか。なら、君達は、いじめ撲滅委員会に立候補するべきだ」


「! ?」「…」


「驚くのは片方だけなんだ。まぁいい。君達は謂わば、招かるざる者たちだ。いじめをしたという過去がある。信用を求めるなら、その覚悟を示せ。示せたと判断出来たら、私もわかるように示そう。立候補するしないは、自由だが、しなければ、信用もしない。別に従わなかったからといって、どうこうするつもりもない。それは校風に沿わないからね。安心してくれ。話はこれで終わりだ。健闘を祈ってるよ」


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