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10話

 校長への直談判は、成功か失敗かは何とも言えない結果となった。

阿多谷と今後の展望を話し合う。


「校長に協力してもらうには、いじめ撲滅委員会に立候補しないといけないね」


「そうですね。しかし別に悪い状況ではない。どのみち、立候補するつもりでした」


「どうして?」


「向井間が立候補する可能性が高いです。理由として、大きな権力を有する組織だから。組織に入れば、計画の舵取りもしやすいし、バックボーンで、選任しやすいでしょう。阻止したいところだが、望み薄です。本命としては、向井間の仕込みの有無を調べる為です。過去のことを考えれば、体育館に下準備をしている可能性が高い」


「それなら、向井間君がいない時のほうがいいのでは?」


「牽制兼、僕らを軽視しているかの確認。対応の仕方を考えるためにもです。計画の核は定かではないですが、中学の時のような事を行い、体育館で、何かしら発言をする可能性が高い。そして、気になるのは、何故この学校を選んだのか。世間から見れば何もおかしくないでしょうが、いじめから利益を生み出していた彼が、いじめに潔癖な学校に進学するのは不自然です。中学生の時とは趣旨が違うと見ていいでしょう。いじめを許さない校風である必要があった。若しくは、独自のシステム、いじめ撲滅委員会の存在があったから。いずれにしても、意図があったに違いありません。これをふまえて、ある仮説が出来ました。彼は、この学校で尚、いじめを引き起こそうとしている。そして、それを踏み台にして、更にいじめの凄惨さを訴えて、計画の一端に組み込む」


「どうしてそんな結論に」


「いじめから利益を得ようとする彼が、この学校を選ぶのは、普通に考えたら意図がわからない。いじめが【起きない】様にされているのだから。しかし逆に純粋な利益を得ようとしていないのだと考えれば、おおよその推測はできます。いじめを良しとしないと吟っている学校にいじめが起きた。それを食い止め、いじめを根絶やすパイオニアになると言った具合に。不安を煽り、大義名分にうってつけです。一例に過ぎませんが、近しいことをやるでしょう。そして、その標的は 戸井満(といみちる) 」


「どうして? 戸井君はいじめをゆるさない人だ。現に、僕と向井間君が話そうとしたら、止めようとした」


「いじめられている人間だから」


「! ?」


「戸井君はいじめを許さない。何故なら、いじめられていたから。納得いきませんか。関連性はありますよ。…仕方ない説明します。それに至った動機としては、彼の言動と行動です。僕らが罪悪感を感じていると、決めつけた。その言動は向井間を守るのであれば、必要ないものだ。いじめのしたものとは関わりたくないのだから。直ちに、形式的な話を終わるように、振る舞うべきだった。いじめをゆるさない正義感で行ったというのなら、行動と言動が一貫していないです。決めつけには、立場の優位性の誇示と私怨の憂さ憂さ晴らしが見え透いてる。罪悪感が無いといけない、あるべきだ。と言っている。そんな人がいじめを受けていないわけがない。彼の行動原理はそれでしかない。そしてそもそも…」


「そもそも? 」


「いしめを止められず憎んでいる者がこの学校には来ません。いじめが起こらないのだから」


「なるほど。それじゃあ、今後の展望としては、いじめ撲滅委員会の立候補と戸井君に注意だね。僕も立候補するよ」


「選任は、無理ですよ」


「阿多谷よりは望みあるよ」


「なっ! ?」


「ほらほら、素が出ちゃってる。いい加減戻った方が楽じゃない? 」


「結構です。気にしないで下さい」


 阿多谷が頼りになるのは、わかっていた。

中学生三年と始め迄は憧れていたのだから。

僕1人では、向井間君を食い止められない所か、なす術は無い。

それでも、あの時の善悪がわからなくなるような感覚の事が何度も起こったり、無視してはいけないと思った。

()めよう。


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