26話
戸井の自殺未遂による会見は、終わり俺は、伯父がいる宅地の目の前にいる。
そしてインターホンを間隔を開けて数度鳴らす。
出ない。
粘ることもできるが、出てくることを期待していないので合鍵を使用する。
管理人に事情(建前)を話してすぐに承諾された。
便利だよな家族って。冗談だ。非常に面倒だ。
利用するだけだ。
ドアを開けて伯父を探す。
リビングのソファーへ横たわっていた。
「よぉ、一年振り」
「…なにしに来た?」
伯父の目には生気というものは感じられず、廃人のようだった。
「テレビ見てない? 弁護士になりたいから助手にさせてよ」
「見たさ。すんなり受け入れると思ったか?」
「何? 恨んでるの? 筋違いだろ。伯父さんの方から裏切った自業自得だろ」
「あれが正当な報復なわけがあるかっ! !あの報道の後、事務所に何度も何度も取材と言うなの責任追及に押し掛けられて、私生活もままならない。世間の目もあり素性をさらせず、死んだ様に生きる人生。人として終わったんだ俺は」
「4500万。裏切って盗んだ額だ。良心や道徳なんて機能しない程の事をした。報復が怖いなら裏切るなよ。本題に戻す。俺を助手にしろ」
返答はなく代わりに袋包みの何かを投げられた。
「何?」
「やるからもう関わるな」
中身は金だった。ざっと2000万といったところ。
手切れ金のつもりか?
笑えない。誰の金だと、思っている。
元々俺のものだった金だし、それ以下の額だ。
貸し出しの利息分上乗せして返すのが筋だ。
出切れ金ですらない。
お前がその気なら、伯父のよしみとか考えるだけ無駄だ。
というか、期待などしていなかった。
「よし、伯父の考えはよくわかった。けど本当にそれでいいのか?」
「どういうことだ?」
「俺はあんたに頼みを断られた。もちろん世間にこの旨は公表する。そうしていたいけな少年の出来上がりさ。トラウマを克服しようとしている子を蔑ろにした伯父さんを世間はどう見るだろうね」
「ヒッ」
想像以上に怯えてくれた。
余程、記者関係の押しかけが堪えたのだろう。
正直、嬉しいよ。今までの鬱憤を晴らせられると思うと。
「断ってもいいよ。ただその場合、責任追及を徹底的にさせてもらうよ。どんな所に逃げようとね。で、俺の頼みを受けるの? 受けないの?」
「ヒィ…ヒッ」
恐怖でまともに受け答えも出来ないのか。
うずくまっている伯父の元へ足を出した。
「頭を俺の足の下へ。それで肯定ととらえる。10秒以内に決めろ」
5秒程で、頭を差し出した。俺はそれを踏みつけた。地面に汚物をこすりつけるように。
その行動に大した意義は無かったが、ただ清清した。こうした欲求を不満と感じる者たちへ発散したいと思った。
傀儡が一つ完成した。




