お姉様キャラ
ユラは、黒いブラウスに白いスカートを着ている。黒いタイツに、茶色の戦闘用革靴をはいている。髪は編み込みを入れ後ろで紫のリボンで結んでいる。
最後に、眼鏡を掛け王宮医療班の白衣を着る。
ヴァイスが、香水を持ってきた。しかし、香水は貴族の証でもある。平民が、香水を使うのは婚活や結婚の時だけ。あとは、娼婦が使うくらいなのだ。
なので、ヴァイスには悪いけど使わない事にした。一応、貴族が多い学園なのだが念のためにだ。ユラは、香水をヴァイスに返している。すると、メイドが化粧道具を持ってきた。学園に行くのだ、余りハデな化粧は控えナチュラルに程よいメイクを要望。
さすが、王宮から引き抜かれたメイドさん。メイクも、凄く丁寧でムラがなくてぎわも良い。
「ご主人様、化粧が終了致しました。」
「ありがとう。さすが、元王宮のメイドさんね。」
ユラが、そう純粋に笑えばメイドさんは嬉しそうに笑う。そして、髪を見てから真剣に言う。
「ご主人様、編み込みポニーテイルで行かれるのですか?少し、服装と合わないので…………」
と言うわけで、髪を下ろして編み込み直す。
「ごめん、遅くなったよ。」
クルトは、そう言ってユラを見て固まる。
「ん?クルト、どうし………」
オズは、固まったクルトを見てからユラを見た。
「おはよう、それじゃあ行きましょうか。」
「ユラ、なのか?」
「そうだよ、よろしくね2人とも。」
そして、着いたけど………だらしない。
「それでは、初めまして皆さん。私、エリザ・スワンですわ。王都では、医者をしていますの。」
「うっさい、早く出て行けよ!」
ユラは、ため息を吐き出してから言う。
「あら、だらしない。ウルティマ様の、娘だとは思えませんね。それでも、上級騎士階級の娘ですか?余りに、見苦しくて可哀想ですわね。」
ユラは、全ての生徒の事を調べている。ちなみに、ユラは伯爵の令嬢という設定である。
「何だと、クソババア!」
「あら、習わなかったかしら?目上に、喧嘩を売る事の無謀さを。口には、お気をつけなさい。私ですから、スルーしますけど。場合によっては、貴女の首ひとつでは済みませんのよ?貴女は、関係ない大好きな弟の未来まで奪うつもりかしら。ここでは、貴族との対話や礼儀も教えて貰うわよね?もし、本当に聞いてないなら……ちゃんと、習うべきだわ。」
ユラは、本当に真剣に言う。そして、心配そうに締め括る。すると、一部の生徒の目の色が変わった。
「やれるなら、やってみろクソババア!」
「ちなみに、私は伯爵令嬢なのですが。本当に、動いてしまえばウルティマ様は職を失い爵位も失いますわ。弟は、路頭に迷うか奴隷になるでしょう。貴女は、死刑になり両親は貧相な生活になりますわ。さて、もう一度言いますわ。良いですの?」
すると、全員が青ざめた勿論だがあの娘も。
「卑怯だ!爵位を盾に、恐喝するだなんて!」
「貴族社会は、基本ですが爵位が全てですわ。私のやる事が、遊びと思えるほど貴族社会を生きる者は容赦が有りませんの。ですから、その時に失敗して全てを失わないように、私は言ってるのですわ!」
これは、本当の事だ。ユラも、貴族社会で生きているので、そんな汚い事を知っている。
思わず、感情が高ぶり最後は強く言ってしまう。
その表情は、悲しみに辛そうに俯く。全員は、思った。この人は、本当に私達の事を思って必死だと。
「あの、エリザ先生。先生は、何故そんなに?」
「男性には、女性を道具として見る方もいますわ。基礎さえ、学園で習えば後は経験で、嫌でも貴族社会の闇を知る事になりますわ。知っていれば、危険や裏の貴族などの対応なんて簡単に出来ますのよ。学園は、容赦も慈悲もない貴族社会を、生きる術を習う場所でも有りますの。勿論、全てが全てとは言いませんわ。ですが、顔見知りの方が少しでも幸せになるため頑張って習いましょうね。」
すると、全員が頷いて………
『よろしくお願いします、エリザお姉様!』
そう言うと頭を下げた。
「ええ、よろしくお願いいたしますわ。」
「エリザお姉様、今日の授業はダンスからです。」
えっと、何故にお姉さま?まぁ、良いけどさ………。
ユラは、優しい笑顔で頷いてから言う。
「では、着替えて体育館に集まってくださる?」
『はい!』
全員が、更衣室に向かったのを見てため息をつく。
「お疲れ様、本当に凄かったな。さすが、ユラ。」
「まさか、本当に令嬢達に溶け込むなんて。」
オズとクルトが、称賛の声をかける。
「何で、先生からお姉さま?」
「「さあ?」」
ユラは、魔法で緑のドレスになる。髪がほどけて、新たに違う編み込みがされる。ユラは、呟く。
「さすが、小人族の精鋭。ありがとう………。」
すると、ユラの肩にちょこんと小人が座り笑う。そして、魔法を使ったのか姿が消えたのだった。
ユラは、体育館に入り少し困った。何故なら、ドレスに差が有りすぎるのだ。体育服の人も、いるし。
ユラは、肩に現れた小人を見る。任せろと、胸を張る小人を見てから異空間干渉を許す。すると、テンションが上がる小人達。ユラは、小さく呟いた。
「小人さん、お願いね。」
すると、布やリボンが空を舞い直ぐに全員に新しいドレスに変わった。ちなみに、古いドレスは綺麗に畳んで置いてある。ユラは、自分の古い鱗を小さな袋に入れた物を渡す。小人は、驚くと嬉しそうにはしゃいで袋を持って完全に帰った。
「これは、私からのプレゼントですわ。女の子だもの、可愛く着飾ってもよろしいでしょ?」
ユラが笑って、お茶目に可愛らしくウインクする。すると、生徒達は何故か女性なのに黄色い声で『お姉様ぁ~!』と言っている。少し、怖いので………慌てて軌道修正しようとする。
「では、2人グループを作って、男役を片方にして貰いましょう。では、インクスさん前へ。先ずは、私とインクスさんで手本を見せますわ。」
そう言うと、音楽を流して踊る。
「では、皆さんも実践してみましょうか。」
ユラは、笑顔で生徒にダンスを指導していった。




