壊された反動
さて、怒ってるね。でも、仕方ない事だよ。
「ユラ、そろそろ教えて?」
「ん?あ、主がカリオスだって言った事?それは、主が国王だと戦争問題とか複雑に………っ!?」
別の答えを、言おうとして言葉に詰まる。カリオスは、とても悲しい表情をしていた。終わった事だとしても、友人を悲しませても言いたくない。
「僕らは、神々関連では力になれないの?」
「カリオスは、充分に力になっているよ。」
カリオスは、無言で部屋から出ていった。ユラは、悲しげに笑って机に辛そうに突っ伏した。
「ユラ様?」
ヴァイスは、心配するようにユラを見る。ユラは、立ち上がると苦笑しながら言う。
「ごめん、少し寝るから2人が来たら起こして。」
ユラは、そう言うとベッドで眠ってしまった。
数時間経過し、ついに主神達が現れる。
「ユラ様、主神樣達が到着なさいました。」
ユラは、素早く準備して椅子に座る。
「ユラ、カリオスは気づいたぞ。教会の神書を、どうやら解読したらしい。つまり、お前の命が危険にさらされたのを知った事になる。」
ついに、ばれたか。でも、早すぎる。うーん、スルーしなければ。それにしても、本題はなんだろ?
「それと、ユラに命令だ。長寿の水と、不死の欠片そして神聖薬を混ぜた薬だ。今のお前は、要神殿が壊された反動で疲れやすく暴走しやすい。拒否権はなんて、無いからな?しっかり飲め。」
「ユラには、医療神に診察を受けてもらう。本当ならば、数ヶ月に1度だが週に1度通うのだ。」
これは、カリオス達には確実にばれるね。にしも、薬の内容からして飲みたくない。これじゃあ、絶対に死ねない身体になる。それだけは、嫌なのに。
「お前は、下界の神々をまとめる神王だ。つまり、お前に死なれれば天地どちらも平和は失われる。だから、お前には死なれると困る。」
「ですが、代わりならいくらでも………」
ユラは、反射的に言ってしまった。ずっと、言われてきたのだ。まぁ、仕方ないだろう。
「いいや、お前の代わりなんていないぞ。皆、お前だから信じてついて行くんだ。もう一度言う、お前の代わりなんていない。お前は、お前でしかないからな。他の奴が、お前みたいに神々をまとめられるかよ。絶対、普通は無理なことなんだぜ?」
しかし、ユラは認めないで苦笑している。
「薬は、飲み続ける必要がある。神の肉体は、薬が効きにくいからな。最悪、神々の主として手段を選ばない予定だ。それと、毒を飲むなんてやめろ!こっちは、ハラハラしたんだからな?」
「はーい、毒は飲まない事にします。」
ユラは、毒の件だけ頷いた。
「1週間以内、それを過ぎたら手段は選ばない。」
「じゃあ、今飲んで1週間後に………」
そうすれば、薬の効果が消えてしまうからだ。
「もしかして、薬は嫌いか?違うよな?」
「ユラよ、諦めてくれぬか?」
ユラは、嫌だと態度で示す。
「パーシェマが、下界の神王に代わるって言ってました。数年後には、お払い箱なのに飲む意味は……」
急激に怒ったせいか、目眩がして気持ち悪さに思わず小さく呻く。今のユラは、本調子ではないのだ。
「おい!?」
「ユラ!?」
思わず、主神とリューは立ち上がり驚く。
「あー、大丈夫です。とにかく、飲んで寝ることにしますね。その方が、安心があるでしょうし。」
「リュー、天界の仕事を任せて良いか?」
「うむ、任せるがよい。」
リューは、笑顔で頷いて帰っていく。
「ヴァイス、暫くはユラから離れんから。」
「…………かしこまりました。」
主神樣は、真剣に言うとヴァイスも頷いた。
「まぁ、そうなるよね。」
ユラも、諦めたように言うのであった。




