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見習い研修生ハイリヒ

癒し系、毒舌見習い研修生ハイリヒ頑張ります!

(* ´ ▽ ` *)ノ


※正体は、ユラです。ネタバレ、すみません!

さて、お仕事の初日。ユラは、変装して見習いとしてお城の医療班の部屋に行く。


「初めまして、見習いとして研修する事になりましたハイリヒと言います。未熟者ですが、精一杯に努力しますので、よろしくお願いいたします。」


ユラは、誰もが魅了するような笑顔で言う。シアンは、思わず笑っていたがユラは無視する事にする。


「よろしく、君の教育係りのベガだ。良く、厳しいとか口煩いと言われるが我慢して欲しいな。」


「はい、よろしくお願いしますベガ先輩。」


ベガは、少し恥ずかしそうに笑って頷く。


「さて、ハイリヒ君は薬草学が得意とか?」


「はい、ですが中級クラスしか出来なくって……。」


すると、ベガは驚いてから優しく笑う。


「君は、凄いね。先輩達でも、初級しか居ないのにさ。やっぱり、シアン様がスカウトするだけの技術を持っているんだね。羨ましいよ………。」


ユラは、神聖医学術師として思わず一瞬だけ眉をひそめる。余りにも、レベルが低い……低すぎるのだ。


「ですが、それしか取り柄が無いので。」


そこで、ユラはディスクに案内される。


「ここが、君の席だよ。相談事は、僕に言って。」


ユラは、さっそう去ったベガを見てため息をつく。なるほど、ここがレレット王国の医療を司る場所なのか。にしても、無駄な人件費だと思うな。


さっきから、机でチェスや麻雀をする人達。


居れば、給料が入ってくると思っているのか。シアンさんが、ため息を吐き出すのも理解できるな。これでは、他の長達に非難されてしまう。


さて、先ずは自分のノルマだけでも終わらせるか。


ユラは、真剣な表情で筆をスラスラと動かす。それを、その場の全員が見ている事に気づきながら。


「ごめん、ハイリヒ君。少しだけ、良いかな?」


「はい?」


ユラは、手元の書類の処理が殆ど終わっている。なので、キョトンとしてベガさんを見る。


「えっと、随分と書類を書くの手慣れてるね。」


「ああ、実は私は元薬草師の助手を経験した事が有りまして。その人が、書類処理が苦手で私が代わりに書いていたんです。今は、禁止されているので書いては居ませんが、染みついた感覚が中々離れないんです。その、何か粗相を致しましたか?」


下から、いかにも不安ですという雰囲気にベガはあっさりと矛を納めた。ユラは、表情には出さないが苦笑していた。この人、騙されやすいなぁ………。


「いいや、今回は優等生が来て安心しただけ。」


「………ハイリヒ、お前は何者だ?」


冷たい感じの、青年が隣に座り小さく呟く。どうやら、医学術師の中にも優秀な人は居たらしい。


「シアン様に、スカウトされた優秀な医学術師ですよ。別に、悪い事をするつもりは全く有りません。僕が、信じられないですか?困りましたね………。」


ユラは、真剣な表情で少し困ったように言う。


「………分かった、お前を信じよう。悪かった。」


それだけ言うと、隣で書類を書き出す。丁寧なまとめ方で、とても読みやすく詳細も事細かく処理して書かれている。うん、この人は優秀な人材だね。


ユラは、残りの書類を書き出した。


「ふぅ………、やっと終わったぁ~。」


「俺は、ヘルズだ。少し、書類を確認しても?」


「はい、よろしくお願いします。」


すると、ベガもヘルズの隣から書類を覗き込む。ユラは、背伸びしてガチガチの筋肉を伸ばす。2人は暫く、書類を真剣な表情で見つめてから、軽く視線で会話をして頷き合う。そして、ユラを見つめる。


「ハイリヒの、見習い研修は今日で終了する。」


「へ?………えぇーっ!?どっ、どどど……どうしたんですか?えっと、何かおかしく有りません?」


すると、2人は苦笑して動揺した振りのユラを見ている。書類には、おかしい所は1つもなく完璧だったはず………。となると、何が原因だろうか?


「ハイリヒ、お前の処理能力と文面理解力………そして、自己判断力での的確なまとめには驚くな。」


「君を研修者にしとくのは、余りにも勿体なさ過ぎる。と言うか、普通は誤字の1つや文面ミスは有るものだよ?かつてない、優秀な医学術師なんだ。」


すると、シアンは耐えられず爆笑している。


「あー、笑った笑った。それなら、国際医療同盟から引き抜いた価値は有ったな。」


すると、その場の全員が驚愕の表情でユラを見る。


国際医療同盟は、医療の最先端にして、医療の先導者ユラをはじめとした数々の天才医学術師が存在する場所だ。ランキング外でも、加盟医学術師ならば充分に信頼に値する。


期待の視線の、2人に対して馬鹿達は不愉快そうにユラをギラギラと睨んだ。


その他の、優秀な医学術師達は呆れた視線を馬鹿達に向けていた。そして、ユラには可哀想な気遣うような視線を向けシアンを見る。


ユラは、視線に勿論だが気づいて思わずため息をつく。そこで、2人は周りの反応に気づく。


「良いぞ、ハイリヒも研究を頑張れよ。」


シアンも、苦笑して声をかける。


ユラとしては、国際医療同盟の事は伏せていて欲しかった。まぁ、今更ながら嘘とは言えない。となると、いじめとか有るのだろうなとユラは思う。


そして、ノアとの時間も少なくなるだろうし。仕方ない、仕事を放り出せるような状況でもないし、正体を明かしたときに覚えてろよ?って心の内で思う事にしようかな。はぁ………、精神的に疲れるな。


ユラは、シアンが団長会議に行ったのを見送る。


さて、命の危機が無い限りは手を出す予定はない。ユラは、苦笑して書類をファイルに入れる。


「おっ、間違えて水を溢しちまった。」


濡れた書類は、インクが滲み何が書いてあるかわからない。まぁ、別に困らないけどさ。ユラは、修繕の魔法を器用に使って書類を復元する。


「お気になさらず、修繕は得意です。いやはや、懐かしいですね。同盟でも、同じような嫌がらせをされた事が有りまして。ああ、別に貴方がわざとやったんじゃ無いのは、充分に理解してますよ。」


ユラは、やんわりと毒を吐きながら冷たく笑う。


「はっ、分かったなら………」


「それで、席の離れてる貴方がコップを持って、ここで何をしているんですか?洗面所は、反対側ですし、理由もなく水を溢すなんて器用なんですね。」


ユラが、盛大な皮肉を言った瞬間に爆笑するベガとヘルズ。どうやら、彼らはユラを舐めていた。だがしかし、2人は本能的にユラ……もとい、ハイリヒと敵対するのは回避すべきだと理解していた。


「何だと、新人ごときが俺に文句有るのか!」


「えっ、先輩?いや、麻雀して遊んでる人が?ふふふっ、笑わせないでください。呆れた。」


ユラは、あえて挑発する。さて、反応次第では優しく出来ないよ?勿論、手加減もしないよ?


「てめぇ、馬鹿にしやがって!」


「そう言うなら、先輩らしく実力と成果で僕を黙らせてください。このままじゃ、確実に医療班のお荷物です。いっそ、クビにされても文句は言えない立場だと理解した方が良いのでは?来月に、同盟の視察があります。もし、役立たずの烙印を押されれば大変ですよ。あっ、因みに視察にはあの医療の先導者であるユラ様も来られるので気を付けて。」


すると、全員が驚いてユラを見ている。


「何で、お前は知っているんだ?」


「僕は、元々は同盟の人間ですよ?今日、ここに入ったのですから、それ以前の情報は知ってます。」


全員、それで納得する。うん、チョロいです。


「ちっ、良いだろう!黙らせてやる!」


そう言うと、先輩はディスクに戻っていった。


やれやれ、叩き直すにも骨が折れる。まぁ、他の連中は無理だよね。ここは、バッサリとクビになって貰いますか。皆さん、もう視察は始まってますよ。


ユラは、内心はニヤリと笑う。さて、次の嫌がらせは何かな。まぁ、頑張りますか………。

ルシアの名前を、シアンに変更します。少しずつ、訂正する予定です。d(>∇<;)

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