疲労の訳
シリアスだ………。重い…………。( ´;゜;∀;゜;)
ユラは、自室で椅子に身を任せ小さくため息を吐き出した。そして、眼鏡を外して目を閉じる。
すると、ノックがしてラメルが足早に入って来て、カリオスそしてルシアが後から入って来る。
「お邪魔するよ?」
「うん、どうかしたの?」
少し驚いて、目を開きキョトンとラメルを見る。すると、書類を乱暴に机に置くラメル。
「もう!どうして、書類を暗号で書くのさ。」
「ん?あっ、ごめん。つい、癖になっちゃって。」
ユラは、茶化すように笑って言う。
「とにかく、今すぐ書き直して!」
「当然だけど、だがしかし断る!(キリッ✨)」
急かすラメルに、冗談を通すユラ。
「ダァ~、もう!なら、僕が書き直すから良い!」
すると、ユラは笑顔を消して低い声で言う。
「それは、止めといた方が良いよ。」
すると、カリオスとルシアは驚いてユラを見る。
「だろうね。君は、4分の1はおふざけが本音と言ったけど、4分の3は教えてくれなかった。聞いても良い?君が、やる事に無意味なものは無い。」
すると、ユラは困った表情で笑う。
「しいて言うなら、安全対策と事故防止だよ。」
すると、ルシアは何か引っ掛かったのか首を傾げ、カリオスは意味が分からないのか黙っている。
「どう言う事?」
すると、慌ただしい足音と声がする。
「ユラ様、失礼します。あの、ルシア様!大変です。ホーナン様の、研究結果をラタン君が………」
シアンは、椅子から立って青年を見る。
「紛失したのか?」
「実行して、失敗して全身大火傷です。」
ユラは、悲しそうに目を伏せる。それを、カリオスは見ながらも黙ってルシアを見守る。
「それで、何がどうなって………」
「魔草学で、有名なホーナン様の研究資料を見て、好奇心からやってしまったと。自分は、悪くない。そもそも、下にこんな資料を持って行かせるのと、読めるように書かれているのが悪いと。」
ルシアは、何故ユラが研究資料を暗号化したのか理解した。ユラは、いつかこれが起こるのを予想していた。だが、ユラだけが心がけても………
「なるほど………。それで、安全対策と事故防止なわけね。医療で、一番有名なユラが実行すれば素早く広がる。そうやって、守ろうとしたのか。」
「はぁ………、間に合わなかったけどね。」
ユラは、ため息を吐き出し苦々しく呟く。それを見て、ルシアは慰めるように優しく言う。
「それは、ユラのせいじゃないだろ?」
「……………そうだね。でも、本来なら最初の犠牲者はラタンではなくラメルの駒使いのソーンだった。」
すると、入って来た青年も含めて驚く。そして、カリオスが言いにくそうに言う。
「………ユラ、どう言うこと?」
「ソーンは、錬金術師でもある。僕が、暗号化していなければ、実行して死んでた。主神が、僕の知恵で人が死ぬのは、見過ごせないと教えてきた。」
ユラは、沈痛な表情で思わず俯く。
「なるほど、ユラには辛い思いだったね。」
「でも、さっきも言ったけど、ユラのせいじゃないだろ?ユラは、気にしすぎだろ。」
ラメルは、無言でユラを見ている。
「うん、そうだね。最近は、疲れてて心が弱気になっちゃってるんだ。気にしないで………。」
青年は、素早く部屋を退室して去る。
「さて、僕は別の書類を…………ひゃうんっ!?」
「ユラ、最近だけど働き過ぎ。これ以上、書類を書くならノア君を召喚からのお・し・お・き☆」
カリオスは、満面の笑みで言う。ユラは、ぐったりと机に突っ伏す。シアンは、隣で笑っている。
「僕が居ると、休めないだろうし行くね。」
ラメルは、そう言うと足早にユラの部屋から去ってしまった。ユラは、苦笑している。
「ユラ、お茶しない?」
「ん?別に、良いけど?」
ユラは、ヴァイスに頼んでお茶を用意して貰う。ちなみに、ユラは何度か自分で紅茶をいれようとしてヴァイスに止められている。今では、台所は立ち入り禁止になっており本人は困っている。
「うん、美味しい。」
ユラは、無意識に笑顔で呟く。その言葉に、後ろでヴァイスがとても嬉しげに笑っている。ちなみに、反対側のソファーのカリオスとシアンにはバッチリヴァイスの笑顔が見えている。
「さて、ユラ。君の5年間、教えて欲しいな。」
「医学術師として、いろんな知識や技術を身につける為に国際医療同盟に加盟した。そして、まずは研究資料など読み猛勉強して………技術も、実力者に頼んで見せて貰ったりして学んだ。そして、2年経過しいつの間にかトップの成績を叩き出していた。」
ユラは、簡単に言っているが生半可な覚悟では到達出来ない過酷な道だ。勿論、堕落して道を諦める者が殆どで、生き残るのは一握りしかいない。まぁ、その一握りさえ振るいに落とされ………最悪、誰も認められない事だって有り得るのだ。
シアンも、それが分かる為に目を丸くする。
「俺も、聖医学術師までの試験しか出来なかった。だから、お前の実力が凄いのは良く分かるよ。」
「でも、良くめげなかったね?」
カリオスは、優しく褒めるように言う。ユラは、少しだけ驚いてから、恥ずかしそうに言う。
「僕にも、目的が有ったからね。言えないけど。」
「えぇー、凄く気になる。」
だが、シアンは何か感じたのかカリオスを止める。
「まぁ、悪い事じゃなさそうだ。カリオス、人には秘密の1つや2つは有るんだし追求してやるな。」
「まぁ、良いけど。それで?」
カリオスは、意外とあっさり引っ込み続きを促す。
「その後、ずっと戦場でバトルドクターしてた。そして、帝国に目をつけられてさ………。レレット王国に一時帰宅して、戻ってすぐにずっと戦場に居て……帝国にノアを人質にされて………。それで、薬を飲まされ意識が鈍くなって………禍々しい魔方陣に……そこから意識の中に狂気と殺戮願望が芽生えて気づいたら………。その場の人を、皆殺しにしてた。」
ユラは、青ざめて僅かに震えている。
「ユラ………。」
「邪竜としての、本能が一時的に解放され暴走したと主神様は言っていた。今の僕は、不安定で……そのうち、身体にも不具合が応じるとも言われた。」
すると、シアンは真剣な表情で言う。
「まぁ、そうだろうな。何せ、生け贄を使うような大規模な禁忌魔法だ。神である、お前を3ヶ月も縛り苦しめ………封じられた、邪竜の本能を呼び覚まさせるくらいだ。当然、魔力の波長も乱れるし身体にも大きな影響を受けるだろうさ。」
「…………………。」
カリオスは、心配そうにユラを見ている。
「そのせいで、今の僕は神力を使う事が全く出来ない。だから、ステータスは並みの人より少し上くらいなんだ。まぁ、技術でカバーしているから大丈夫だけどね。シアンさんには、迷惑をかけます。」
「お前の迷惑なら、喜んで受けてやる。けど、その代わり個人の時は敬語はやめてくれ。」
シアンは、笑って暢気に言う。
「分かった。さて、僕の話は終わりだよ。僕も、皆の話を聞きたいな。だから、入って来て良いよ。」
すると、クルト達が入ってくる。そして、賑やかな時間を過ごすのであった。




