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勇者のさようならパーティー その1

わお、気づいたら凄い長さに………すみません。


(;・∀・)!?

さて、2日が過ぎて城に行く。まずは、依頼主である、教皇様に会わなければならない。はっきり言おう、気が重いんだけど。もう、帰りたいよ。


「失礼します、教皇陛下。」


「へぇー、噂とは信用ならないね。」


ユラは、内心だが首をかしげる。がっ、スルーして無表情で丁寧に凛とした声で言う。


「お初に、御目にかかります。ユラと、申します。それで、依頼についてなのですが……。」


「ふふっ、よろしくとは言わないんだね。」


ユラは、無表情で素っ気なく本音を言う。

 

「以後、よろしくする予定はございませんから。」


「おい!貴様、教皇陛下に失礼だぞ!」


御付きの者が、怒鳴ったのだが暢気に言う。


「これは、失礼いたしました。それでは、これ以上の長居は他の者に迷惑ですので失礼します。」


「待ちなよ。流石だね、私からそんなに離れたいのかい?従者を、言葉巧みに怒らせて去る切っ掛けを作るだなんて。頭が、かなり良いのかな?」


教皇は、ユラに優しく笑いかける。


「教皇陛下、痛まぬ腹を探られても何とも思いませんが良い気はいたしません。では、失礼します。」


「無礼者がぁっ!?此方は、教皇陛下であるぞ!」


うん、だから?僕には、関係ないよね?


ユラの首もとに剣の刃が向けられる。動けば、間違いなく怪我をする。だが、青ざめたのは予想外にも教皇陛下だった。うん、怪我しても良いかも。


「馬鹿者!急ぎ、剣を引け!」


「ですが、この無礼者を許せません!」


ユラは、剣の刃を指で軽くつまみ押し返す。だが、男は剣をユラに押し返しユラは指を軽く切る。


教皇は、椅子から慌てて立ち上がり自ら手当しようとする。ユラは、苦笑して部屋から去る。神様の、怒りを感じたからだ。ある意味、教皇を守る為でもある。男は、教皇から説教を受けて何処かに連れられる。たぶん、帰るように命じられたのだろう。


「主神様が、とてつもなくお怒りだ………。隣では、竜神様だろうか?凄まじい、怒りを感じる。」


すると、御付きの者達は驚き青ざめる。


「これは、参ったなぁ……。天罰が下るだろう。」


教皇陛下は、疲れたようにため息を吐き出した。




ユラは、魔法で指の傷を治す。そして、パーティー会場に入る。すると、カリオスが心配そうに言う。


「今日は、随分ギリギリだね。どうしたの?」


「門に並んでいたら、今の時間になってしまいました。遅くなり、申し訳ございません。」


今は、社交場なのでカリオスに敬語で返す。


「君って、そんな言葉使いも出来るんだね。じゃなくて、何で顔パスで来ないのさ。」


「それは、毒殺犯が誰やも分からない現状で相手を怒らせる事は無いかと思いまして。」


そう言うと、勇者の皆に向かって歩き出す。  


「こんにちは、異世界の勇者様!」


すると、貴族達がムッとした表情になる。


「えっと、こんにちは?」


「さて、緊張しなくて良いよ。僕の名字を、さかきと申します。暫く、皆のお世話係兼護衛をやらせていただきます。元異世界人だし、気軽に声をかけてねぇー。こっちでは、ユラって名前だからユラって呼んで欲しいかな。まぁ、強制はしないけどね。」


すると、会場全体が驚いてざわめく。


「じゃあ、ユラさんの異世界での出身地を聞いて良いかな?えっと、名前からして日本人だよな?」


瀬利園せりぞのくんと、同じ出身地だよ。」


すると、勇者陣がキョトンとして全員が驚く。


「えっと、異世界で俺と会ったことがあるのか?」


「さて、どうだろう。でも、こう言えばわかるだろうか。そのくん、相変わらずしっかり者だね。」


すると、勇者全員が驚く声がする。


「えっ、まさか……あの、さかきさんですか!?」


「あのって?僕は、知らないけど。」


ユラは、素っ気ない雰囲気で大人の姿になる。


さかきさん、お久しぶりです!』


「うん、綺麗にスルーされたね。」


そう言うと、子供の姿に戻る。


「さか……ユラさんは、子供なの?」


「一応、こっちでは13歳だよ。」


その言葉で、カリオスが振り向く。


「そう言えば、ユラの誕生日って!?」


「ふぇっ、11月11日が僕の誕生日。」


すると、カリオス達まだ来ていないのを確認してホッとする。うん、分かりやすくて面白い。


「日本で言う、ポッキー&プリッツの日だな。」


「そうなんだよね。」


暢気に、会話しながら笑う。


「ユラ殿、護衛はこの武器を使ってください。」


ユラは、短刀を抜いて手に当てる。切れない。


「こんな、切れない短刀で護衛をしろと?」


カリオスは、思わず怒ったように言う。


「この場には、血が苦手なお子様も居るのです。なので、仕方ない対処でございますよ。」


男は、ニヤニヤとユラを見ている。これで、勇者が傷つくまたは死ねばユラは断罪されるだろう。それが、カリオスも分かっているので更に食い下がる。


「だが、これでは勇者を守りきれない。」


「聞くには、Aランク冒険者とか?ならば、それくらいやってのけるでしょう。それに、カリオス様も実力は認めていらっしゃるとか。」


カリオスは、プチッと何かが切れる音がした。カリオスは、何か言おうとして黙る。ユラが、カリオスの右の服の袖を掴んだからだ。


「ユラ?」


「カリオス様、無駄でございます。」


ユラは、自分の剣を腰から抜き男に渡す。


「ふっ、Aランク冒険者と聞いていたが鉄の剣とは……。流石は、カリオス様のお友達ですなぁー。」


ユラは、薄く笑みを浮かべる。


「何がおかしい!」


「いっ、いいえ何も……。クッ、クスクスッ……。」


すると、教皇が呆れながら言う。


「君の目は、節穴かね?この剣には、高度な隠蔽がほどこされている。これは、ヒイイロカネかい?」


すると、全員が驚き男は雑に扱っていた剣の正体を聞き机に置く。ユラが、顔をそらし肩を震わせ笑いを堪えているのを見てカリオスは呆れてる。


「ユラ、取り敢えず落ち着きなよ。」


「ごっ、ごめ……リアクションが………。」


プルプルと、笑いを堪えながら言う。


「ユラさん、取り敢えず飲み物を飲んで落ち着きましょう。カリオスさん、ユラさんお借りします。」


勇者の一人が、オレンジジュースをグラスに入れて渡す。ユラは、一瞬グラスを見て鑑定してからお礼を言ってゆっくり飲む。そして、深呼吸をする。


「大変、失礼しました。もう、大丈夫です。」


ユラは、切れない短刀を腰のベルトにさして言う。


「ユラ、剣は預けてて良いの?」


「はい、良いですよ。ちなみに、その剣は主神様が直々に私にくださったものです。なので、盗まれたり傷付けたりしないでくださいね。まぁ、剣を預かっていて盗まれるなどあってはならぬ事。ですが、正体を知って欲しがらない者は果たして何人でしょかね。ふふっ、結末が楽しみですね。ちなみに、預からない選択肢はありません。貴方から、言った事ですからね。それとも、誇り高き王城の兵士は自分の言葉すら実行出来ないのでしょうか?」


「これは、知らなかったのです!わっ、私は悪くない!こんなの、いじめだ!卑怯者!」


すると、ユラは凍えるような冷たい笑みで言う。


「お前は、何を言ってるんだい?少しは、自分の立場を考えたら?それに、喧嘩を売ったのはお前の方だよ?僕は、それを親切に買ってやっただけだ。と言うか、どんだけ頭の中がお花畑なのさ。」


その言葉に、思わずカリオスさえ固まってしまう。


「うっ、わぁー。ユラさん、ガチ切れしてる。」


勇者全員が、青ざめて目を逸らしている。


「良く、昔は怒られたよなー。」


「しかも、指摘が的確だから更にたちが悪くて。」


「まぁ、ぶっちゃけ俺らが悪いんだけとさ。」


カリオスは、それを聞いて首を傾げる。


「えっと、ユラと知り合いなの?」


「はい。榊さん……ユラさんは、俺達の仕事場での上司でした。俺達より、お偉いさんで優秀な人でしたよ。榊さんが、死んでしまって俺達が困るほど。」


すると、カリオスは驚いてユラを見る。クルトやオズ達も、驚いて言葉を聞いている。


「さて、本題に入りますか。」


そう言うと、ユラの右腕を掴む。


「ユラさん!いや、榊さん。僕達と一緒に、異世界へ帰りませんか?と言うか、お願いします。」


『お願いします!』


カリオス達は、少しだけ困惑する。いくら、ユラが帰らないと言っても相手はユラの知り合いだ。だから、不安だったのだが………


「え?いや、帰らないよ?」


「何でですか!?」


「僕はもう、この世界の人間だ。この世界が、僕の生きる世界だ。それに、そちらに行くには大切な人達をつくりすぎた。だから、僕は行かないよ。」


榊もといユラは、優しい声で明るい笑みを向ける。


「そうですか。」


「あっ、あの………!」


黙っていた勇者が、ユラに何か言おうとして瀬利園くんが遮る。ユラは、どうするか迷ってしまう。


「ユラさん、その男は放置してお酒でもどう?」


「護衛の依頼が、終わったらね。」


そう言うと、切れない短刀を構えるのだった。

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