ギルドで、絡まれるのはお約束
はぁ………。つくづく、この不幸体質が嫌になる。
ユラは、受け付けに向かいギルドカードの変更の為に酒場で待機していた。すると、若い3人に絡まれたのである。まぁ、貴族なのは格好でばれる。
でも、10年前までは平和だったのに………。
「おい、聞いてんのか!」
あー、凄く面倒だなぁ………。これ、殴って終わりになるとは思えない。うーん、どうしようかな。
「おい、無視してんじゃねぇ!」
「………………ギルドカードは?」
スルーして、受け付けの男に視線を向ける。受け付けの男は、複雑な表情をして視線を逸らした。
ふーん………。最近のギルドは、冒険者を売っちゃうんだね。まぁ、冒険者どうしのトラブルは自己責任だけどさ。それと、ギルドカードだけど………とっくに、変更が終わっているはずだよね?
これは、支援を切るか……。はっきり言って、ギルドがここまで腐っているなら支援しても意味がない。
「この、雑魚が!!」
男達は、武器を抜いて構える。うん、馬鹿だね。
「これは、いったい何事です?」
この声……、久しぶりだなぁー♪
「やぁ、コリアさん。」
「!?まさか、ユラさんですか!」
すると、コリアは嬉しそうに近づく。
「コリアさん、このギルドは普通に冒険者を売るんだね。それと、更新が15分たっても終わらないしさ。ちなみに僕、1時間後に約束が有るんだけど。間に合わないから、変更はキャンセルで良いよ。」
「は?」
すると、コリアから怒りの声が漏れる。
「だから、カードを返してくれない?」
「カードの変更なら、1分以内で可能ですが。」
ギルド内に、凍てついた雰囲気が広がる。ユラは、首を傾げて受け付けの男に視線を向ける。
「まさか、Sランク冒険者を15分も待たせた上に売るだなんて。本当に、申し訳ございません。」
コリアは、その場で深く頭を下げた。そして、ユラの正体を知った男達は青ざめて腰を抜かした。受け付けの男は、死んだような目でユラを見ている。
「我、フリーデン侯爵はギルドへの支援を、3年の期間だけ全て切る。勿論、異論は認めない。」
すると、その場の全員が青ざめて震えている。あれれ?すると、肩に手を置かれる。
「ユラ、落ち着け………。」
オズは、苦笑してからユラをなだめる。
「ユラ、神威が僅かに漏れてる。」
ラメルが、困ったようにため息を吐き出す。どうやら、ストレスで神威のコントロールが甘くなっていたらしい。ラメルは、苦笑してから言う。
「まぁ、ギルドが悪いから仕方ないんだけど。」
「オズ、それにしても早かったね。」
ユラは、少しだけ気まずくなったので話題を変える事にする。すると、オズは暢気な口調で頷く。
「楽しみで、つい早く来てしまった。」
「なるほど。後、心配させてごめんラメル。」
すると、ラメルは頷く。そして、姿を消した。
「まさか、神威を放つだなんて。僕も、年寄りになったし引退も考えとくかな。幸い、今の新人にも新たな芽が芽生えている事だし。侯爵も、孫に継がせるのも良いと思えてきた。と言うか、いい加減に僕に平和という名の日常をくれないかな?」
「「「「無理じゃない(か)?」」」」
暢気な口調で、真顔のままゲテル・クルト・冬馬・オズが言う。ユラは、『だよね~♪』と言いたげに笑うと落ち込む。それに、苦笑を返す四人。
「よっ、遅くなった。」
パゴンは、手を振って集まる。
「あっ、ユラ。久しぶりやなぁー!」
団長が、嬉しそうにはしゃいでいる。
「そうだね。」
「さて、全員揃ったな。」
「そうだね。」
コリアは、ギルドカードを手に近づいて来る。
「ユラさん、ランクアップおめでとうございます。ユラさんは、SSSランク冒険者となります。」
ユラは、驚いてから深いため息。からの、満面の笑みを浮かべてコリアを書物室に引きずって行った。
「コリアさん、少しあっちに行こっか♪」
「待ってください!ちょっ、ぎゃああっ!?」
ユラは、書物室から出てきてため息。コリアさん、後から出てきて苦笑してから暢気に言う。
「まったく、死ぬかと思いました。」
「僕に、依怙贔屓してない?」
すると、コリアは疲れたように言う。
「まさか、そんな事したら首が飛びます。」
「なら、良いけど。僕は、地位でランクを買ったなんて、もう言われたくないんだよ。ただでさえ、Sランクになる前から言われててうんざりなんだ。」
すると、同情するオズ達とギルドの人々。
「まぁ、なんだ………御愁傷様。」
「さて、予定より早いけどどうするの?」
「精霊樹のダンジョンに、もう行こうぜ♪」
ゲテルは、暢気に言うがコリアさんを含むギルドメンバーと冒険者達が驚いた表情である。
「まさか、三大難関ダンジョンに挑むのですか?」
「うん、現役の副団長5人に王城の精鋭衛兵。それに、異世界の迷い子1人って言うメンバーだし。」
クルトが、暢気に笑って言えば、他の人達は納得した表情で頷く。ユラは、ため息をついて眼鏡を外し髪を結ぶ。そして、オズとクルトを見る。
「それで、リーダーはクルトで良いのかな?」
すると、クルトは即答する。
「そこは、ユラにお任せするよ。このメンバーで、1番冒険者としての経験を持っているし。なより、君は最も古参の冒険者だから頼らせてよ。」
「でも、クルトが誘ったからリーダーは………」
すると、オズが満面な笑みで言う。
「この、力任せに仕切らせるな。死ぬぞ♪」
「オズ、過去に何かあったの?」
ユラは、少しだけ表情を強張らせて問う。
「まぁ……、色々(・・・・)な………。」
オズは、遠い目をして乾いた声で笑う。
「まぁ、クルトは魔法馬鹿で脳筋だからな。」
冬馬も、苦笑してから目を逸らした。
えぇー………、何があったのさ…………。何か、怖くて聞けない。いや、でもこの場合は聞くべきかな。
「なら、オズがやれば?僕より、先輩でしょ?」
「何が、先輩だ?知らない間に、あっさりランクも経験も知識も抜いた癖。だから、違うからな。」
オズは、困ったように笑っている。
「ユラ、諦めは何事にも肝心やで?」
「えっ、何?これって、僕がリーダーの流れ?」
すると、オズ達は笑顔で頷いてみせた。ユラは、深いため息を吐き出すと渋々と頷いた。




