058 ガルムちゃんの正体……!
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しばらくして、イッシキさんがひとまず調査を終えたのか、個室の奥から戻ってきた。
その結果、やっぱりあの塊は魔力の結晶体である可能性が高いらしい。
とはいえ、さすがに現時点では断定までできないらしく、さらに詳しい検査が必要なんだとか。
「では、お返しします」
パンさんはイッシキさんから魔力の結晶体を受け取ると、とりあえず元の小さな布袋へしまい込んだ。
「……もう少しちゃんとした入れ物に入れた方が良いですよ」
「ウチやってこれがそんなエラい代物やと知っとったら、こんな布袋に入れて持ち歩かんわ!……帰ったら買いに行かんと」
でも、あの塊が”神々の古代魔石”とかいう仰々しい名前の魔石と同じレベルの凄いアイテムだなんて思わないよね。
ガラスラの中から出てきただけのアイテムだし。
「まあなんにせよ、来てよかったわ! この塊だけやなくて、ガラスラの正体も分かったしな!」
「そうですね!」
──あ、そういえば。
私、もう一個気になることがあるんだよね。
「あの、ごめんなさい! もう一個だけ聞いてもいいですか?」
「何でしょう」
「実は、もう一匹、正体のよく分からない子がいて……」
「もう一匹、ですか。つまり、サキさんが召喚する異常個体の中に、正体の判明していないものが他にもいる、と」
「あ、はい! で、もし良かったらその子も見てもらってもいいですか?」
「構いません。私も興味があります」
「ありがとうございます! では──召喚しますね」
私がそう言うと、イッシキさんはわずかに目を見開いた。
……念のため、『ステータス』で召喚スキルを確認してから……っと。
よし、コレだね。
私はみんなから少し距離を取ると、広めの空いた場所まで移動して、息を整える。
「じゃあ、いきます! 【時短召喚術】【低魔召喚Ⅰ】──ガルム!」
私は久しぶりの【時短召喚術】とともに、あのガルムちゃんを召喚した。
そう、私が気になっていたのは、このガルムちゃんのこと。
だって、こんなに可愛いガルムなんて、異常個体に決まってるじゃん!!!
ガルムちゃんはお座りのポーズのまま、後ろ脚で耳のあたりをかいかいしていた。
その仕草も世界一可愛い!!!
グランベルジュのみんなも──
「な、なんや……この可愛い生き物は……」
「なんて愛らしさですの……」
「マスター。抱っこするご命令を」
ほら、みんなメロメロ。
けれど、一方のイッシキさんはというと──
「これは──ガルム……ですか?」
「はい!」
「…………」
イッシキさんはしばらく無言でガルムちゃんを見つめていた。
そして、何かを見極めるようにゆっくり歩み寄り、その場にしゃがみ込むと……
ガルムちゃんをモフモフし始めた。
モフモフ。
もふもふ。
もふもふ──
「イッシキさん……?」
「…………」
「イッシキさん!」
「──はっ!? 私としたことが……。何という愛らしさ、何というもふもふ感。この異常個体はまさか──」
ごくりっ……。
イッシキさんはガルムちゃんをそっと抱き上げると、そのまま立ち上がった。
そして腕の中のガルムちゃんと向かい合うように、しばらく無言でじっと見つめ合う。
「ただ可愛いだけの可能性が高いです」
「ええええええ!?」
「言うなれば──”愛玩種ガルム”」
「そ、そんな異常個体がいるんですね!?」
「いえ。私が今、命名しました」
「まぎらわしいわ!!」
私のツッコミも、パンさんと一緒にいるうちに磨かれてきたね、うん。
──じゃなくて!
ま、まさかガルムちゃんが可愛いだけだなんて!?
じゃあこの子は異常個体でもなくて、単にめちゃくちゃ可愛いガルムってこと……?
……まあ、私の【運】が良いからって、召喚した子がみんな異常個体だとは限らないよね。
よく考えたら、アルテミスもザラもとんでもなく強いけど、異常個体かって言われたら違う気がするし。
まあ、なんにせよ……
「ちょっとイッシキさん! いつまでモフってるのです! 次はわたくしの番ですわ!」
「ちょい待ち! 次はウチの番やろ! ギルドマスターなんやし!」
「どういう理屈ですの!?」
「マスター。早く抱っこのご命令を」
みんな楽しそうだし、いっか。
こうして、ひとしきりガルムちゃんをもふもふした後、私たちは黒塔を後にすることに。
再び箱型の魔導設備に乗り、一階の受付ホールまで降りる。
扉が開いた、その瞬間だった。
さっきまで静かだった白いホールの中央に、誰かが立っていた。
「マギド・ゼブラス……」
イッシキさんが、さっきまでとは少し違う、わずかに緊張をにじませた声でそう呟く。
……えっ、マギドって黒冥府の中核メンバーだったよね?
なんでそんな偉い人がここに!?
「……嘘やろ、タイミング悪っ! リンドールはん、ガラスラを後ろに!」
パンさんの声に、私は反射的に息をのんだ。
けれど──もう遅かった。
マギド・ゼブラスの視線は、こちらへ向いた瞬間にはすでに、リンドールさんの抱える鉄のトレイ──その中のガラスラくんへと向けられていた。
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