032 強豪ギルドの仲間入り……?
パラッパ・レード同盟軍とのギルドバトルに勝利した私たちは、勝利の余韻に浸る間もなく、ギルド集会所の一室にいた。
向かいの席には、レードさん、ヴィオラさん、クランクさんの三人が座っている。
ギルド運営の職員さんも立会人として同席し、淡々と書類を準備していた。
その目的は──パラッパ・レードたちから何を貰うか、決めるため。
「というわけで、アンタらのギルドポイントは全部没収──」
「う、うわーん!!!」
「……とかやと流石に可哀想やから、今回はやめといたる──」
「マジで!? 神様、仏様、グランベルジュさま──」
「……というのはウソやねーん! もちろん全部もらうわ! ざまあ!」
「う、うわーん!!!!!」
──こんなやりとりを、もう何度も繰り返していた……。
「ふふっ、パンったら、今まで見た中で一番楽しそうね」
ペールルージュさんは微笑ましく二人のやり取りを見ているけど、私たちはもう飽きて雑談をしていた。
「本当に凄い召喚術だった……。どこで覚えてきたの?」
ヴィオラさんがため息交じりに聞いてくる。
そりゃ、ため息もつきたくなるよね……。
ゴブリンズがあんな数出てくるとは思わなかっただろうし。
「ど、独学……かな?」
……「異世界転生するときに、ノヨカさんっていう女神様からもらいました!」なんて言えないよね。
「す、すごい才能ね……どうして五大ギルドに入らなかったの?」
「ステータス制限で引っかかって……」
「ど、どういうことなの……」
──そうだ、ステータスはどうなったんだろう。
装備品で底上げした魔力を、ゴブリンズ召喚で全部使い切っちゃったけど……。
そう思い、『ステータス』を見てみると。
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人間 召喚士 Lv. 10
【体 力】 16
【魔 力】 -28(24)
【持久力】 17
【攻撃力】 1
【防御力】 1
【 運 】 999
【速 度】 1
【知 力】 1
【精神力】 1
【スキル】
亜人召喚Ⅰ 低魔召喚Ⅰ 時短召喚術
獲得経験値増Ⅰ
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おっ、レベルが4も上がってる……けどステータスひくっ!?
もはや何か理由があるんじゃ……。
とにかくステータスが低いのはひじょーに不服だけど、一番気になるのはやっぱり【魔力】。
これ、マイナス……だよね。
自分の限界を超えて魔力を使ったらこうなるんだ……。
-28ってことは、あと一ヵ月くらいはずっとマイナスのままってことになる。
じゃあ、当分召喚はできない……けど仕方ないか。
どうしても召喚したくなったら、またいっぱい装備すればいいしね。
そんなことを思っていると、クランクさんがそういえば、と声を上げる。
「凄さで言えば、ヴィオラ殿の弓の腕も凄かったですな! あの距離を射貫くとは……!」
「そうですよ! ビックリしました!!」
「ありがとう。不意打ちしてごめんなさい。……まあ、貴女の召喚獣には効かなかったけどね」
「あ、あはは……アルテミスはめちゃくちゃなんで」
アルテミス、エルフに弓は効かないとか言ってたけど、後で聞いたら普通にエルフに弓は効くらしい。
どういうことなの……。
そんな感じでみんなでおしゃべりしている間に、パンさんとレードさんの話し合いも終わったみたい。
「──ほな、三つのギルドがもっとるポイントを半分ずつと、アンタのとこの錬金術師をウチにもらうってことで」
……えっ、ギルドメンバー強奪!?
確かにパンさんは錬金術師を欲しがってたけど……そんなのアリなんだ。
「……うぃっす。一応、リンちゃんに話を通させてくれ」
そう言って、レードさんは部屋を出ていった。
リンちゃんは、その錬金術師の名前かな。
名前からして、女の子だよね。
なんだかちょっと安心……。
しばらくすると、レードさんが長い銀髪が目を引く女の子を連れて戻ってきた。
「この子が、リンドール。で、こっちがグランベルジュのギルドマスターのパンさん」
レードさんがお互いを紹介すると、リンドールさんは少し戸惑いながら挨拶を返す。
「初めまして、リンドール・ファン=エデルシュタインと申しますわ。この度、グランベルジュ様にお世話になることに……あの、錬金術の設備はございますの?」
「あー、これから用意するつもりや。これからたんまりもらえるギルドポイントでなぁ!」
そう言ってレードさんの肩をパンパンと叩く。
「……ああ。実はうちにも大した設備が無くて。良いの買ってやってほしい」
「い、いや、何か言い返してもらわなウチがめっちゃワルモンみたいやん……」
実際、そう見える……。
「ま、まあええわ。リンはん、よろしく頼むわ!」
「……よろしくお願いいたしますわ?」
こうして、グランベルジュに錬金術師のメンバーが増えることに。
まだどんな人か掴めないけど、少なくとも悪い人では無さそうで一安心。
私も錬金術にすごい興味あるし、今度いろいろ教えてもらおうっと。
「ほな、次はギルドポイントや。それぞれのギルドがもっとるポイントはいくらや?……誤魔化さんようにな」
「パラッパ・レードは、だいたい25,000くらいっすね」
「私のところは、114,200──といっても、アマリリイさんが大半なんだけど……」
「ええっと、76,700ですかな」
「っちゅうことは、足し合わせると………………」
パンさんが指を折って計算中。
私も頭の中で計算してみるけど…………。
……知力1だから仕方ないよね?
「215,900ね」
ペールルージュさんがさらりと答える。
「……その半分は……………………」
「107,950ギルドポイント。パン、どうする? 私たち、もうこの街の最上位クラスよ」
「……マジかいな」
たった三人の野良ギルドだったグランベルジュは、今やこの街でも十本の指に入る強豪ギルドになった。




