いよいよ本格的に聖女扱いが濃厚になってきた
今日も今日とて慈善事業に明け暮れる。
もう『聖女さま』の噂は留まるところを知らず、エリュシオンや王都どころかラダマンティスの各地に広がっていたので助けを求めてくる人はかなり多い。
そして死んでさえいなければその全員を救えるので、もう評判はうなぎ登りだ。
目立ちたいわけではないんだけどなぁ…。
でもお陰で懐事情はポカポカだ。
今は一億と五百万と細かいお金がある。
おまけに人を助けられて、みんなに感謝もされるので気分はいい。
ハードワークに体が疲れる以外は問題はない。
…と、思っていたのだが。
「主人様、主人様を聖女さまって呼ぶ人ばっかりになってきましたね」
「主人様は聖女になる気はあるの?」
フェルくんとミカくんに問われて首を振る。
「ヤダ」
「だが、『聖女さま』の話はもはや現代の伝説のようになってきているぞ」
「それは…うん…」
いよいよ本格的に聖女扱いが濃厚になってきた。
どうしよう。
「まあ…教会も王家もここまで国に貢献している主人様に『聖女になれ』と要請してきても、無理強いはさすがにない…と思いたいですね」
「そうだね…」
無理強いはさすがにやめてほしい。
「まあ、なんとかなる、かな」
そう思っておこう、うん。
「…貢献しすぎて無視できない存在になっている、とは思うがな」
「んー…」
それを言われてしまうと如何ともし難い。
「気にしないでくれていいんだけどなぁ…」
「そうですね、それが主人様の願いであれば…なんとか、避けたいところなのですが」
「ねー…」
なんとかならないものだろうか。




