第47話 魔天鉱と敗北
俺は天魔鉱に攻撃をし、天魔鉱からの攻撃をいなして5分間ダメージを与え続けた。{反撃領域}の効果が終了し、俺はキョウヘイのいるところまで下がった。
「キョウヘイ、結構ダメージが入った。多分だけど、あいつのカウンターで出てきた攻撃を弾くことでダメージが入るようになってるみたいだ。HPの概念が存在しないからあとどのくらいで倒せるかはわからないけど。」
「見た目からしてもそこそこ崩壊が進んでるな。あと半分ってとこじゃないか?ただ、ダメージ的なことで考えたときの半分が何かのトリガーになる可能性もあるからもう{反撃領域}は無しだな。」
「オッケー。それじゃもうちょっと削ってみるな。」
今さっきの{反撃領域}で弾いた回数が大体150回ってところだから、多分300で設定されてるな。
「あ、そうだ。キョウヘイ、ギルドのみんなに遅れるって連絡しといて。そろそろ時間でしょ?」
「もう連絡してあるから大丈夫だ。ミクはそっちに集中してくれ。」
「ありがと。それじゃ行ってくるよ。」
俺は再び天魔鉱に接近。攻撃を仕掛ける。
本来このゲームでエリアなどに設置してあるアイテムや宝箱のようにHPゲージが存在しないものは壊せないようになっている。武器などは耐久値が設定されているから壊すことができるが、鉱石はそれがないから本来は壊すことができないはずだ。つまりこいつは自壊するスキルを持っているということ。ただ、それだけだとここまでの難易度とみあっていない。おそらくまだ何かある。
さて、どんなギミックが用意されているのやら。
俺が攻撃を加え、相手のカウンターを弾く。これを10回ほど繰り返した時だった。
天魔鉱が異常なほどの光を放ち始めた。その色、光方は変わらずに光量だけが異常なほどまでに上昇、そしてしばらくして落ち着いた。いったい何だったんだ?
変化といえば天魔鉱の光り方が先ほどよりも魔によっているというかなんというか紫の要素が強くなっている。
『勝利条件変更。勝利条件が『魔天鉱』を破壊することに変更されました。』
なるほど。物質として変質したわけか。ここからどんな変化があるのやら。
「キョウヘイどう思う?」
「さぁ。今回はお前の方が勘がさえてるから俺はお前の意見を聞きたいかな。」
「俺としては2つ仮説がある。1つ目は魔に寄ったことでその性質が反転している。2つ目はこっちが行動し始めたら、これまでと違って能動的に行動してくる。」
「俺は前者しか思い浮かんでなかったわ。前者だと考えると、こっちの攻撃に対する反撃を受けることで向こうが自壊する、もしくは反撃ではなく攻撃を吸収する効果を持つって感じか。後者は分からんな。」
「そうだな。後者の場合は臨機応変に対応するしかなさそうだ。」
さて、とりあえず少し動いてみるか。
俺が動き出した瞬間魔天鉱から大量の黒いビームが打ち出された。しかも断続的にビームを操っている。これはかなり大変だな。俺の場合はおそらくそこまでダメージが入らなそうだし、回避もたやすいが、キョウヘイは回避しきれないはずだ。どうにか耐えてくれればいいが。
ただ、能動的に動いてきているということは普通に攻撃が入る、もしくはさっきまでと変わっていない可能性が高い。
俺は即座に接近して剣で攻撃をする。カウンターはない。これはどうなんだ?そもそも基準となる値がないからわからない。とにかく攻撃を叩き込み続けるしかない!
なんだ⁉また光り始めたぞ。今度は何だっていうんだ?
光が収まるとさっきまでのビームは嘘のように消え去り、魔天鉱も天魔鉱に戻っていた。
『勝利条件変更。勝利条件が天魔鉱を破壊することに変更されました。』
もしかしてダメージを吸収して耐久値を回復していたのか?厳密には耐久値があるわけではないが、便宜上耐久値と考えていいだろう。
「なぁ、キョウヘイ、これってクリアできないんじゃないか?」
「俺もそんな気がする。おそらく耐久が半分になるまではカウンターをし、それを弾くことで耐久が減少する。半分を切ったらすべてが反転して能動的に攻撃を仕掛け、敵の攻撃はすべて吸収して耐久を回復するって感じだよな。」
「多分その解釈であってるよな。リタイアしてみんなのとこに行くか。これを繰り返しても遅くなるだけだし。また対策を考えよう。」
「そうだな。それじゃリタイア申請だな。お前は口調気をつけろよ。」
「わかってるよ。それじゃホームに帰ろっか。」
俺たちはリタイア申請をし、ギルドホームまで転移したのだった。




