第46話 魔物の塔最上階
天魔鉱、そんなモンスターの名前聞いたこともなければ、見た目からしてもモンスターなのかどうかさえ怪しい。それにアナウンスの発言も気になる。
「なんだあれ?」
キョウヘイも同じみたいだな。
「あれってモンスターなのか?」
「そうなんじゃないか?」
俺の質問に対しても疑問形で返してくる。
「俺はモンスターじゃないと思うんだよな。理不尽な攻撃を仕掛けてくるオブジェクト的な奴だと思ってる。」
「根拠は?」
「アナウンスの勝利条件がこれまでと違っていた。これまでは撃破することだったのに、こいつは破壊することだ。つまりこいつは生物ではないと思う。」
「確かに。モンスターなら撃破するでいいもんな。向こうが動く気配はないがどうする?」
天魔鉱は不気味な輝きを放ってただ浮遊している。形は宝石の原石のようでごつごつした感じで色は何とも言えない不思議な感じだ。無色透明にも見えるが、白く輝くようにも邪悪そうな紫色のオーラを放つようにも見える。
その2つの光が混ざり合って不気味さが倍増しているのだろう。
「キョウヘイ、まずは俺が攻撃してみる。そこから何でもいいから情報を読み取ってくれ。俺もできる限り情報収集に努める。」
「わかった。」
あいつの本質は鉱石だろうからまず斬撃系の武器は効かない。見た目的に魔法系統も無意味だろう。{大地の覇者}でも地面より相手の硬度の方が高そうだからダメージは通らないだろう。デメリットのある武器だが、あれを使うか。
俺が装備したのは粉砕の大槌という武器。これは使用回数が限られていて、俺が獲得したときにはすでに残り1回まで使われていた。一見するとただの大槌でしかないのだが、この武器には一つ特殊効果が付与されている。
それは2本の腕で装備した際に威力が倍になるというもの。しかもこれ俺からしたらものすごく都合がいい。この腕2本でというのは正しくない。正確にはこの装備を装備する際に割いた腕のスロット数に応じて威力が上昇するというもの。しかも基本は1本増えるごとに2倍、腕が10本だから9本分で18倍というわけではない。この武器のダメージ計算は足すのではなくすべてをかけるのだ。つまり俺が全ての腕で攻撃をした際に出るダメージは{俺のSTR}×{2の9乗}となるわけだ。すぐに計算はできないが、10万は軽く超えてそうだな。
「キョウヘイ、676×2の9乗って何?」
「急になんだ?大体30万~35万くらいじゃないか?」
さすがキョウヘイ、計算が速い。2の9乗がすぐに出てくるあたりやっぱりゲーマーだな。
「それじゃ今からあいつにそのくらいの威力で攻撃を入れるな。」
「えぐいな。今更驚かないけど。それにその大槌って粉砕の大槌だろ?それなら確かに納得の威力だな。」
「あぁ。それじゃよく見といてくれよ。多分これじゃ倒せないだろうし。」
俺は一気に天魔鉱に接近し、思いっきり殴りつける。威力30万越えの攻撃、これに対してどういうリアクションが来るか。
俺の攻撃は見事に命中!しかし、天魔鉱は表面がわずかにかけた程度。そして俺の粉砕の大槌は砕け散る。それなのに俺の目の前には粉砕の大槌がある。どこからともなくわいてきた。しかも勝手に動いている。これが天魔鉱の能力なのか?だが、これなら。
俺はすぐさま腕を引っ込めて動きを停止した。これで体は動いていても動かしてはいないので{不壊}が発動してノーダメージに抑えられるはず。
大槌による横なぎでの攻撃!そのインパクトの瞬間、世界がぼやけて見えた。そして次に目を開けたときには魔物の塔の屋上エリアの最端部まで飛ばされていた。俺にダメージは通っていない。このゲームではダメージが通らなければ物理法則も無効化されるはずなのになぜだ⁉
慌ててキョウヘイが駆け寄ってくる。天魔鉱は相変わらず動かない。
「大丈夫か?」
「ダメージはないんだけど、それを無視して物理法則を適応できるみたいだね。たぶん自分に対する物理法則も変更できると思う。」
「物理法則を操り、圧倒的な防御力を誇る。そしてこっちの攻撃と同じものをカウンターで返してくる。厄介だな。」
「それにさっきの攻撃でも表面がほんの少し欠けた程度だった。多分何か壊す方法が他に用意されてると思う。」
「俺も同意見だ。それで何か策はないか?俺は全く思いついてない。」
「試したいことがあるからさ、これをあいつになげつけてくれない?」
「なんだこれただの石じゃねぇか。」
それは本当にただの石。道端とかに落ちているような石だ。
不思議そうな表情を浮かべながらもキョウヘイが石を投げつける。もちろん標的が動かないから外すこともなく無事命中する。そして向こうから同じ大きさ同じ形の石が飛んでくる。
俺はその石を手に装備していた剣で切り捨てる。
武器の攻撃は武器を具象化、飛び道具のようなものを使った攻撃はその物質を具象化できるのか。バフ関連のスキルに関しては干渉できないとみていいな。これで石が実体を持たずに帰ってきたらどうしようかと思ってた。こっちに当たるときは実態を持つものとして扱われ、こっちから干渉は出来ないとなったらもうあきらめるしかない。でもこれなら
「キョウヘイ、5分待ってて。俺の体感時間ではもっと長いけど。」
「何か策があるのか?」
「あぁ。」
俺は天魔鉱にゆっくりと近づき、構えをとる。そして・・・
「スキル{反撃領域}」
一見すると馬鹿だと思われるかもしれない。すべての攻撃を反射してくる相手にこのスキルを使うということは。しかし、このスキルの本質はあくまでもバフだ。こいつの能力はあくまでも実態のあるものを反射するものだと考えられる。バフには実体がない。
案の定こいつは反射をしてこない。俺は一撃目を入れる。もちろんこれは反射されるが、今の俺はAGI無限なので問題なくはじくことができる。武器が壊れては取り換えてを繰り返し、天魔鉱に少しずつではあるがダメージが蓄積されていく。ここで俺はとあることに気が付く。
なぜさっきはSTR30万でダメージが大して通ってなかったのに今やってる攻撃は効いているのかと。
もしかして・・・・・・




