第45話 天魔鉱
「まずいな。さすがに削り切れなかったか。」
「HP量が多すぎる。あと1割くらいのところまでは削れたけど。」
「仕方ないな。」
「いや、一つ手がないこともない。」
「マジで?何?」
「それじゃキョウヘイこれをあいつに向かって思いっきり投げてくれ。」
「ここにきて投擲かよ。確かに俺の方がSTRが高いから俺が投げるべきだろうけど、いいのか?これを投げたらお前メインの武器無くなるだろ?」
そう、俺が手渡したのは黒曜石の短剣。しょぼい武器では投擲をしたところで大したダメージは入れられないだろう。そこでこの武器なわけだ。そもそもこれは人間のプレイヤーに扮してたサタンが作ったものだし、持っておきたいというわけでもない。
「いいよ。サタンが作った武器だし、そろそろ切り捨て時でしょ。もうちょっとでゲルマのレベルもカンストするだろうし。」
「それはそうだが。この後の階層はどうする気なんだ?」
「それに関しては心配無用。モンスタードロップの中にもそこそこな武器はあったから。」
「そうか。わかったよ。」
キョウヘイがそう言って短剣を受け取り投げつける。もちろんこれでHPを削り切る気なんて俺たちにはない。ここで狙ったのはたった一つ。
王鷹の高度がわずかにだが下がった!狙い通り翼に傷を入れれたみたいだ。想定外の攻撃に動揺しているのか王鷹は俺たちから距離を取ろうと壁の方まで逃げていった。俺たちがいるのは中央。どこに逃げてもその先には壁がある。
それこそが俺たちの狙い壁なんてな向きを変えてしまえば地面なんだよ!
俺はさっきと同じ要領でキョウヘイに王鷹の近くの壁まで飛ぶ。そして宝箱の形の地面につく部分、要は蓋の逆側の面を壁に当てて壁で跳ね返る。その壁についた瞬間を狙って
「スキル{大地の覇者}」
もちろん俺は{神速}を使ってステルス状態なため王鷹は俺の存在にもスキルを使用したことにも気が付いていない。
{大地の覇者}は地面でなくても効果を発動できる。壁に横向きで張り付いたり、地面だけでなく岩があったりするとそれらの場所からも剣山大地が出現する。
声にならない悲鳴が聞こえ、王鷹が消滅した。さすがは20階。かなりの強敵だったな
「キョウヘイ、お疲れ!」
「お前こそな未空」
「それでどうする?この先もいく?集合時間まであと20分しかないんだよね。」
「それじゃ20分で攻略しようじゃねぇか。」
「やっぱりそう来る?」
キョウヘイと話しているとやっぱり楽しいな。似た者同士であり、全く違う面を持つ2人だからこそいいコンビネーションが出せる。ヴァルとミルナもその一例だ。あの2人のコンビネーションもなかなかのものだ。
「それじゃ次行くぞ!」
キョウヘイに連れられて21階へ、そしてどんどん突破していき、俺たちはついに24階を突破!残すは最上階25階のみとなった。先に入っていたプレイヤーはいないらしく、俺たちは待つことなく入ることができた。
『魔物の塔最上階ボスモンスター『天魔鉱』勝利条件は天魔鉱を破壊することです。』




