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ピアノを弾いてたらなんか、色々寄ってくるのですが、どうしたらいいと思います?〜悪役令嬢はもう何も考えたくない〜  作者: 序盤の村の村人


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第7話 朝活が失敗するとか信じたくないんだが? ②

 前から、違和感は感じていた。


 演奏会で聞いた私の前世での名前を呼ぶ声。


 何処かで聞いたことがあるような演奏。


 彼は、今私を桜と呼んだ。つまり彼もまた転生者。でも、一体全体誰なんだ。


 「ったく、何ですぐに誰だか出てこないんだよ、俺ら幼馴染だっただろうが。このピアノバカが」

 「痛った、ああ流歌か」

 

 なぜ、こうも私の幼馴染たちは、私の頭を叩いて記憶を思い出させようとするのだろうか。誰か私に優しくしてくれ……。やっぱり長く一緒にいたから、お互いに似てしまうのだろうか。


 ルイ様こと、鍵盤の貴公子様の中身は前世で私の隣の家に住んでいた幼馴染の白川流歌であった。


 成績優秀。スポーツ万能。しかも顔まで良い完璧幼馴染は、なぜか18年間彼女を作ることがなかった。否、一度作ったことはあったが2週間も続かなかった。もしかしたら、私の知らない欠陥があるのかもしれないけど。もしかして男好き?


 「お前、また失礼なこと考えただろ。はあー。ピアノなんてクソくらえと思ってたけど、これのおかげで桜がどこにいるか分かるなんて全く皮肉なもんだよな」

 「紗代もそういえば、ピアノの音を聞いて、私だって確信してたなあ」


 そんなに私のピアノの音って特徴的なのだろうか。あまり自分の演奏を録音して聞くことがないため、他の人との音の違いは分からない。


 「昨日、ピアノ触れてないだろ。桜なら絶対朝練習しに来るんじゃないかなと思ってさ。来てみたらやっぱりなって感じ。ていうか俺に感謝しろよ。昨日お前、レント王子の前で弾いたら絶対実力がバレてたぜ。あいつ俺の小さい弾き間違えでさえいつも見逃さないからな」

 「その節は、どうもありがとうございまして」

 「何で実力を隠したいのかは知らないけど。レント王子には実力をあまり見せない方がいいと思う。囲いかまれるぜ、多分」


 囲いこまれるとは……。私鳥にでもなったのだろうか。


 よく分からないが、絶対にレント王子の前では弾かないようにしよう。うんうん。何か恐ろしい物を感じる。


 「ていうか、桜がいるってことは、紗綾も転生してるのか」

 「してるね」

 「やっぱりか、また今世でも俺あいつに茶化されるのかよ。嫌なんだけど」 

 「何を?」

 「はぁ、何でもない」


 どういう事だか掘り下げようとしたが、思春期前の男には色々あるんだよとはぐらかされた。そして、流歌は、話題を変えるために口を開く。


 「ていうか、紗夜もいるなら1回3人で集まって話しようぜ。久しぶりに会いたいし」

 「いいよ、紗夜にも今日流歌に合ったこと言っておく」

 「場所は……。いや、今から桜の寮室に行こう。前世の話とか外でしにくいだろうし」

 「寮室は、男子禁制では?」

 「そんなん、バレなきゃいいんだよ。学生時代なんて如何にバレずに楽しむかなんだから」


 なかなかの悪だなあと思いながら、寮室に向かう。


 「俺、1階の窓から入るから、あとで集合な」


 寮室の場所を伝え、流歌とは寮の玄関前で分かれる。流歌が寮室にたどり着く前に先に寮室に向かわなくては、でないと紗綾の叫び声が響くかもしれない。想像しただけで恐ろしすぎる。


 私が早々と寮室に戻ると、紗綾とマリア嬢はすでに制服を着ていた。


 あ、マリアもいるの忘れてた。


 「あんた、ちょっとどこ行ってたのよ。 心配したんだからね」

 「ごめん、ちょっと朝活を」

 「朝活? 朝活って何ですの?」

 「ああ、そうね、私たちの言葉で言いかえると、ピアノを朝、弾きに行ったの略よ」

 「さすが、フィーネ様ですわ」


 いや、違うから。まあ、あながち間違いじゃないけどなあ。それより、早く説明をしなければ。


 「あの、紗綾話したいことがあるんだけど」

 「っと聞いてた部屋は、ここか。多分紗綾とあれもう一人いる」


  窓から軽々と入り込んだ流歌を見て、相変わらず今世も運動神経がいいんだなあ……。と考え、現実逃避をする。


 「ふ、不審者ですわ。 早く先生を」


  やったわ。やらかしたわ。


  私は、現実逃避をするために頭の中でクラッシック音楽を流した。





 ♪♫♪♬♪♪♫♪♬♪♪♫♪♬♪





 「確かに、この前演奏会でお見掛けした方に似てますわね、確かお名前は、ルイ様でしたかしら。あ、別にこの前の演奏が上手だったから覚えていた訳じゃなくってよ」


 落ち着いてきたのか、マリアは通常運転に戻ったようだ。流歌は、マリアの言動を見てこれが本物のツンデレかと感動していた。


 「そう、実は大昔にルイ様と合ったことがあって。私だけじゃなくてレガートもあったことがあるんだよね」

 「大昔ね、うまいこと言うわね。 そうよ面識はあるわ」

 「そんな、繋がりがあったなんて、知りませんでしたわ」


ゴリ押しで話始めたが、意外と順調に説明が出来たことに我ながら感心する。実は、 天才だったのかもしれない。

 

 「(ていうかもう、あんたこの際マリアにも前世の記憶があるって言っちゃえば? マリアなら周りに言いふらすこともないでしょ)」

 「(それもそうか。マリアなら信じてくれそうだし)」


 予想外の大ピンチのせいで、ついついほったらかしになってしまっている流歌は一旦置いといて、とりあえずマリアに説明をすることにした。


 内容としては、自分には、前世の記憶があって、紗夜と流歌は、前世で幼馴染であったこと。そして、いつの間にかその前世でしていた「かな恋」と呼ばれるゲームに転生したことについて話した。


 「なるほど……。時々、フィーネ様がレガート様のことを紗綾と呼ぶのは昔違う世界で出会った時の名前だったからなのですね。あ、別に羨ましいとか思ってないですわっ」

 「え、気づいてたの」 

 「時々、フィーネ様の口から洩れていたので、一種の愛称かと思ってましたわ」

 「桜……」


  紗綾に、呆れたような目を向けられる。確かに自分でも省みると心当たりがあるようなないような。


 「その、私も桜様、紗綾様と呼んでいいかしら。 私だけ仲間外れみたいで嫌でしたの」

「もちろん「いいよ」」

 「ていうかマリアって今度から読んでもいい? 前から他人行儀みたいでいやだったのよね、マリア嬢って」

 「ぜひ、そう呼んでいただけたら嬉しいですわ」

 「紗代がマリアって呼ぶなら私もそうするね」


 今後、人のいない所ではマリアも前世の名前で呼んでくれるみたいだし、私たちもマリアのことをマリアと呼ぶことになった。前よりも距離が縮んだような気がして嬉しいなあ。


 女子の絆を深めていると一部始終を聞いていた流歌が口を開く。


 「ていうか、ここやっぱりかな恋なのか」

「あれ? 流歌はこのゲームやったことあるんだっけ」


あまり、男の子がやるようなゲームではないので、意外だなーと思う。


 「紗綾に押し付けられたんだよ。 桜が好きな人がゲームの中にいるから学べばって」

 「あー。 そんなこともあったわね、忘れてたわ」

「元凶が忘れるなよ」

 「だれが、元凶よ」


 相変わらず、2人は仲が良いようだ。


 「あのゲーム内にいるってことは、桜は悪役令嬢なのか。ピアノの実力を出さないのもそれが理由?」

 「そうだね、急に上手くなったってバレたら別人だって怪しまれるかなって」

 「そこは、少しずつ実力を出せばよくないか? 丁度、ここは音楽を学ぶような場所だし、上達しても問題ないだろ。 ただここが乙女ゲームの世界なら急にストーリーを変えた場合どうなるか分からないからそこが心配だけどな」

 「確かに…」

 「まあ、後は桜がこの学園を卒業してからどうしたいかじゃないか」


 盲点だった。今まで実力を出したらいけないと思い込んでいたが少しずつ出せば問題はないのか。ヒロインには転生者だと言うことが確実にバレるとは思うが。その時には話をすればいい。


 『私がどうしたいか』か。


 ピアノは好き。ずっと弾いていたいし、色んなピアノに触ってみたい。今ままでその気持ちだけで行動をしてきた。でも。


 『髙橋 露木。私もこの人みたいになりたい。』


 小さい頃の私の気持ち。


 私が憧れた髙橋 露木みたいな存在に今度は私もなってみたい。誰かが私の音を聞いてピアノに興味を持って。ピアノを習い初めてそんな存在になってみたい。


 そのためには、この学園で少しずつピアノを弾けることをアピールする必要がある。


 「私は、決めた。 世界に名が轟くようなピアニストになる」

 「さすが、桜様ですわ」

 「桜ならできる、応援するわよ 桜がピアニストになるなら私は、プロの歌手よ」

 「まあ、そうなると思ったわ」

 「こうとなったら作戦会議よ」


 そのまま、私たちはお互いの夢について夜通し語り合った。次の日皆寝不足になったのは言うまでもない。


 


 



 

 


 


 


 

 


 


 

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