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ピアノを弾いてたらなんか、色々寄ってくるのですが、どうしたらいいと思います?〜悪役令嬢はもう何も考えたくない〜  作者: 序盤の村の村人


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第6話 王子と同じクラスなんて聞いてないんだが?②

 

「首席合格者、アンダンテ·レント。代表演奏」


 学園の制服を着たレント王子は、パッケージで見たままで違和感が全くない。もはやこちらが正装なのではとまで感じる。


 講堂の中には合格した200名の生徒が乱すことなく整列している。そして、その生徒の皆がこれから始まるであるであろう演奏に目を向けていた。


 そういえば、レント王子の演奏聞いたことなかったなあ。今まではヒロインの演奏しか気にしてなかったし。でも、他の人の演奏を聞くのも勉強になるからいい機会かな。


 さて、王子様の演奏はどんなものかなと私は吞気に考えていた。


 「・・・っ。」



 無意識に体が張るこの感じ。


 音で分かる、この人には敵わない。


 そう思わせるのは、軽やかさがあるのに音の主張もはっきりとある演奏のせいだろうか。音の主張が豪華さを生み出し、軽やかさがもっと聞きたいという中毒性を生み出している。



 それは、完璧な指先の技術と力強さ。


 そして、崩れることのない完璧なテンポと強弱のコントロール。

 



 『まるでピアノで周りの空気を支配するプリンス』




 誰一人、隣の友人と談笑をしようとする生徒はいない。なぜならば、動こうものなら周りの生徒に咎められてしまうことが意識的に分かるからだ。否、自分もこの演奏を聞くことを邪魔されるものなら一瞥してしまうだろう。


 完璧であり、ただの完璧だけではない(モノ)


 圧倒的な強者。


 気づいた時には、レント王子が椅子から立ち上がり、お辞儀をしている状態であった。それに遅れて、拍手の音がパラパラと続く。


 ヒロインの演奏しか今まで興味がなかったが、これは・・・。もしかすると今後一番のライバルになるのはこの人かもしれないな。音楽学園の王子という立ち位置は妥当であると感じた。


 面白い。


 そっちがプリンスならこちらは悪役として暴れてやろうではないか。


 「あんた、絶対今ピアノ弾きたいと思っているでしょ」

 「・・・。」


  紗綾には何でもお見通しらしい。滾る心を落ち着かせるために深呼吸をする。


 「もう、あんたこの今の状況で、ピアノが弾けるのバレたら大変なことになるの忘れないでよ」

 「そうだね、すべては、私の未来のピアノハッピーライフのために!」


 私こと、かな恋の悪役令嬢であるフィーネ・モデラートは、学園で一番酷い演奏をすることで有名である。ただ中身は日本という国から転生したただのピアノバカな音大生であることを除けばだが。

 



 



♪♩♬♩♬♩♬♩♬♩



「レント様の演奏とても素敵でしたわ! 今度、私の演奏を見て下さいませ」

「この学園でレント様の演奏が、聞ける機会があるなんて光栄ですわ」

「ありがとう。褒めてくれて嬉しいよ」



 レント王子の机を囲むように、女子生徒が集まっている。そして、レント王子はやはり慣れているのか1つ1つの質問に丁寧に答えていた。



「さすが、フィーネ様の婚約者ですわね! まだ始まったばかりなのにこんなに人気ですわ」

「本当ですわね」



 マリア嬢が私の尊敬している人の婚約者すごい、と言う目で見てくるため、口が裂けても婚約破棄をされる予定だとは言えない......。



 どうして、私はレント王子と同じクラスなのだろうか。そしてなぜ隣なのか。


 現実逃避をしたいなあ。



 私は、ゆっくり窓の外を眺める。私の席は学生に人気の高い、一番後ろの窓側の席という最高のポジションである。しかし、真横にレント王子の席であることにより、机が押され、体も女子生徒にと押されと悪霊物件になりそうである。そう、つまり女子からの視線が怖い席なのだ。



 とばっちりすぎるんだがなあ。勘弁してくれ......。



 いったい全体平和な学校生活はどこへ。



 ここは一年Sクラス。学年で最も優秀な生徒だけが入れるクラスである。そして、レント王子による混雑が起きる不運なクラスである。


 まあ、あとでピアノが弾ければどうでもいいか。



 「なんだ、あんた達もう来てたのね」

「あ、紗、レガート譲!!!」

 「まあ、レガート様、来るのが遅すぎますわ。待ってましたわよ!」

 「ごめんごめん、2度寝したら遅れた」



紗綾は、前世では集合場所に5分遅れることを繰り返す常習犯であり、時間にルーズな所があった。今回もそこは変わらないらしい。



 「それにしても、あんた達似合ってるわね制服。このゲームをやり込んでいた私としてはこの世界観を感じるだけで涙が出てきそうだわ」

「ま、まあ?似合ってるかは分からないですけど?伝統的な王都鳳凰学園の制服を身に纏うことが出来て幸せですわ」

 「へー」

「本当にあんたは相変わらずねフィーネ譲、なにか感想はないの?」

 「強いて言うなら、腕の裾丈がもっと短い方がピアノが弾きやすいかなあ」

「もうあんたは黙ってて」



でも確かにこの学園の制服は、ワンピースに似たデザインだったから、思い返せば、着やすく、毎日着るのも悪くないなあと思った。リボンを結ばなければならないのが面倒だけど、服の生地は紺色。リボンは紅色と落ち着いた色で意外と気に入ってる。



制服についてお互いに語っていた所、教室のドアを開け小柄の女が教卓の前に立った。女が口を開く前には、全員が席についており、さすがAクラスに選ばれた生徒だと思った。



 「それでは、これからオリエンテーションを始めます。私は、Cクラス担任のダカーポです。オリエンテーションの一貫として皆様には自己紹介をしていただきます」



 ダカーポ教諭は、メガネをかけており見た目は弱々しい印象であったが、声がとても透き通っており、一つ一つの言葉が聞き取りやすく感じる。もしかすると唱歌の担当かもしれないなあ。



「それでは、番号1番の方からお願いいたします。自己紹介の際は、選択楽器、名前等は必ず言うように。他は好きに話して構いません。それでは始めてください」

「は、はい。1番、~です。選択楽器は、~で、何歳の頃から触ってます、好きな曲は~です。よろしくお願いいたします」



 椅子を引く音が手を叩く音で書き消される。1人の生徒が終わると、次の生徒が立ってまた話を始めているようだった。



 自己紹介は、廊下側の先頭から始まっているから、私の番が来るまではまだ長そうだなあ。時間を潰すために頭の中でクラシック音楽でも流そう。

 


 2、3曲、頭の中でクラシック音楽を流しているといつの間にか紗綾の番になっていた。


 「12番、ロベルト·ルイはコンクール出場のため欠席。13番よろしくお願いいたします」

 「13番、ソナール·レガートです。選択楽器はクラリネットです。合奏など誰かと一緒に演奏することが好きです。よろしくお願いいたします」



 そう、紗綾は前世で合唱部部に所属しており、とても声の使い方が上手い。カラオケでは、採点結果の五角形が綺麗に大きく開くのだ。今回Sクラスへ配属となったのは彼女の実力による采配である。



 ちなみに、マリア嬢はピアノ科を専攻していた。理由は憧れのフィーネ嬢と同じ楽器を演奏したいとのことだ。本当に可愛すぎる。今回は、彼女の努力が実を結びSクラスを手にしている。



余談だが、マリア嬢がフィーネに憧れているきっかけは、フィーネが身の毛が立つような演奏をするという噂を鳥肌が立つような演奏であると聞き間違えて憧れを抱いていたようだった。聞いた時はとても驚いたなあ。聞き間違えるマリア嬢は相変わらず可愛いけど。



 そしてこんな風に紗綾、マリア嬢と自己紹介が終わり、遂にあと2人まで終了という所来ていた。



「36番。アンダンテ·レントと申します。ピアノを選択しています」



「きゃーかっこいいわ」

「残念、ピアノなのね」



 この不協和音の女子の悲鳴さえ、これさえ、乗りきれればピアノが.....。



「私は、フィーネ嬢と婚約破棄をします。そして、私の前で○リーゼのためにを弾いていた人を探しているので、ぜひ私だという人は名乗り出てほしい」


 

 背景に薔薇が飛び散りそうな笑顔を振り撒きながらレント王子は、着席した。


「婚約破棄どういうこと?」

「もしかして、私達にもチャンスが」



 油断していたら、最後にとんでもない爆弾が飛んできた。次は私の自己紹介なのだが。どうしてくれる。



 




 







 


 


 

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