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246 理解する???

 門から大量に背丈がある人の様なものが現れた。

 そいつらの皮膚は弛んでおり、目の部分は閉じられていたが、口が時々開いてそこから目が見えた。

 俺は楽しそうにしながら横を歩くカーミラに質問する。


「こいつらはなんだ?」


「罪人よぉ」


「そういえばこの世界にいる者は全員罪人と言ってたな」


「そう、こいつらはねぇ、罪を作った最初の罪人。だから、こうなってるのよ」


 カーミラは俺達の存在に気づいていない様子の罪人を見てニヤニヤ笑う。


「最初に罪を犯した者か……」


 俺はそう呟いたその時、俺の魔王の部分の記憶が何かを思いだす。

 しかし、どうやら、キリクという冒険者の記憶が強すぎて掻き消えてしまった。


 ふむ、勇者の加護だけで闇の力に抗い続けたわけではなさそうだな。

 人というのはここまで可能性があるというのか……。

 だが、それも今日で終わる。

 この世界が滅びれば全てが終わり無になるはずだ。

 そしたら、私も消えてなくなろう……。

 私も罪を犯した者なのだからな。


 俺はそんな事を考えながら歩いていると、異界の門が見えてきた。


「ただの錆びたでかい門だな……」


「だからこそ、閉じないのよねぇ」


「なるほどな」


 俺は完全に開いてしまっている門を眺めていると、そこから一際、大きい司祭の格好をした罪人が出てきた。

 それを見たカーミラは忌々しげにその罪人を見つめながら呟く。


「馬鹿な事を考えた連中……」


「やるか?」


「いいえ、苦しんでるのに邪魔しちゃ駄目よぉ」


「……そうか」


「ええ、でも、もう少しで楽になっちゃうのよねぇ、残念ねえ」


 カーミラはそう言いながら罪人を見ていると、ヨトスが声をかけてくる。


『ギギギ、サア行クガイイ。ソシテ伝エロ、我ノ世界ヲ作レト』


『良いわよ、じゃあ、ステフと一緒にお留守番をお願いするわねぇ』


 カーミラがそう言うとどこからともなく、闇人のステフが現れ何度も頭を下げる。


「良い子にしてますよぉーー!」


「じゃあ、行きましょうか」


 カーミラは俺と巨人の右腕を見て言ってきたので俺達は頷く。

 そして、異界の門へとゆっくり進み始めようとした時、突然、近くに真っ暗い空間が現れ、そこから頭が八つある巨大な蛇が現れ、あっという間にヨトスに絡みついた。


「ぎゃははっ!たいした事ねえなこいつは!あらよっと!」


 頭が八つある巨大な蛇は八つ頭で同時にそう言うと、ヨトスを巻きつける力を強めたのかヨトスの甲殻が割れる音が響いた。


ベキベキベキバキッ‼︎


『ギギャーーーーー‼︎』


「はい、終わりっと‼︎そんじゃあ、もうひと暴れと言いたいとこだが、アンクルに怒られる前に戻るか……」


 頭が八つある巨大な蛇はそう呟くとヨトスに絡んだまま真っ暗い空間に入って消えてしまった。

 俺達はそのあっという間の出来事に反応ができなかった。

 しかも、去った後の地面には潰れているステフがいて、既に死んでいるようだった。

 すると、我に返ったカーミラが歯軋りしだし、三つ目の扉の方を睨む。

 俺もそっちに目がいき、集中すると何か巨大な力が二つ現れたのがわかった。

 その力の一つはすぐにネルガンという不死の住人だとわかり、俺はカーミラを見ると同じく気づいたカーミラは焦った表情になって言ってきた。


「あいつらがなんで?いや、まさか神々が手を貸した……まずいわ。急ぎましょう」


 カーミラはそう言って足早に門の中に入っていく為、俺達も後を追って門の中に入るとすぐに視界が切り替わる。

 そこは長く暗いトンネルだった。

 そのトンネルの向こうから次々と罪人が列をなしてこちらに向かって歩いてきていた。

 そんな中、カーミラは血走った目をしながら自分の爪を噛み、ぶつぶつと呟く。


「もうすぐよ……。絶対に誰にも邪魔させない。みんな死ねばいい。私にあんな事をした奴らも、こんな世界を作ったアステリアも……」


 カーミラ……。

 いや、アステリアの半身が砕け散ったものの欠片か。

 俺が本来殺したい存在の欠片……。

 だが、今は共に目的を同じにしている。

 あんな事がなければ母なる存在だった。

 こんな風に考えられる様になるとはな……。


 俺は自分の胸の上に手を置く。


 お前は俺と同じ思いをした。

 大切な存在を奪われた。

 そして、奪ったのは……私だ……。

 私が奪ったのか。

 アステリアと同じように……。

 私が……。

 

 その時、私の見たあの光景と、俺が見たあの光景が重なってしまった。


 同じ事をしていたのか……。

 だが、もう引き返せない。

 そうだ、もう引き返せないんだ。


「カーミラ、必ずやり遂げるぞ」


 俺がそう言ってカーミラを見ると、はっとした表情になり、すぐに笑みを浮かべた。


「期待してるわよぉ、私の騎士様ぁ」


「ああ、終わらせよう。全てな……」


 俺はそう自分に言い聞かせるように呟くのだった。


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