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トラゲール!  作者: hana♪
過去編
207/225

二度目の過ち

物凄い物音がした次の日からメイドさんが姿をあらわす日はなかった。

執事さんも心なしかやつれてきたし、訪ねてくる回数も減った。


…あぁ、殺されちゃったんだ。

あのメイドさん、いい人だったのに。


「紫音お嬢様」

「…執事さん!」


最近訪ねて来なかった執事さんがひょっこりと窓から顔を覗かせる。

その手にはこの部屋の鍵が…


「ここから出ましょう。山の奥に小屋を用意いたしましたのでそこに逃げましょう。」

「…うん!」


ベルセルクを抱いて、執事さんが用意した大きめのバックパックに身を隠す。

そのまま屋敷から出ようとしたその時だった。


「おい、何処へ行く?」

「ご主人様…」


一番見つかってはいけない。私の大嫌いな人、叔父様が私の執事さんを呼び止める。


怖い…バレたらどうしよう…またあの部屋に閉じ込められるのかな?それとも殺されるのかな…?

カチカチと音を立てて震える歯を抑え、息を殺す。

震える体を両手で抱きしめて小さく丸まる。


「この間訪ねてきた方がこれをお忘れになったので届けに参ろうかと…」

「ほう。中身を見せてみろ。」

「えっ…」

「中身を見せてみろ。」

「それは…」

「なぜだ?それは忘れ物なのだろう?」

「……。」


ぐっと押し黙る執事さん。

バックの中にいるので顔は見えないがきっと唇を噛み締めて悔しそうな顔をしているのだろう。

どうしよう…このままだと本当に…


「だんまりか。だんまりってことはその中は紫音だな。」

「っ…!」

「図星か。何故お前らは紫音に世話を焼く?不幸の子だぞ??お前らに不幸を招くかもしれないんだぞ!!なのに何故構うんだ?ほっといて餓死させれば良かったじゃ無いか!」


ドサッ、と床に叩きつけられる。執事さんの呻き声が上から聞こえる。

まずい…執事さんが死んじゃう!!助けないと…


何かないかとバックの中を漁る。すると見覚えのある銀色に輝くナイフが…


「執事さんから離れなさい!」

「紫音お嬢様…!」

「紫音お前…!」


ナイフを両手で握ってバックパックから飛び出し、叔父様の方は向ける。

叔父様は動揺し、目をこれでもかというほどに開いて後ずさる。


「なんでメイドさん殺したの?」

「お前に手を貸したからだ。」

「なんで私を殺さないでメイドさんを殺したの?」

「お前を軍に売れば金になると思ったからだ。送り込んだだけで勝手に相手の国が滅びる…素敵な兵器になるからだ。」

「ふぅん。そっか。」

「だからこいつも殺すんだよ。」


そう言って懐から拳銃を取り出す叔父様。

銃口を執事さんの方に向ける。


「ご主人様…!」

「執事さん!!」


執事さんは尻餅をついて後ずさる。しかし、後ろは壁だ。もう、逃げ場はない。


「死ね。」


そう、呟くのと同時に私は叔父様に向かって走った。

そのまま深々と太った横っ腹にナイフを刺した。

ぶつかった勢いで銃口はずれ、執事さんの頭上に発砲される。


「紫音お嬢様…」

「やったね!執事さん。邪魔者はいなくなったよ!」

「そう、ですね…」


偉いことをしたはずなのに執事さんの笑顔はぎこちなかった。

私、何か間違ったことしたかな?


ピクピク、と痙攣を繰り返す叔父様にとどめをさす。

死に際にボソッと「バケ、モノ…」と呟いていたが気にしない。


人を殺すことに抵抗はなかった。

人を殺すのに抵抗がないってヤバいやつやん

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