ひとりにしないで
佳奈視点です
…ひとりにしないで。
置いていかないでよ
「…っは」
聞こえた声は紛れもなく自分の声。
胸の奥がキュッと苦しい。人肌が恋しい。
あたりを見渡すが医務室にはだれもいない。
「…師匠」
自分の恩師である師匠。
ずっと師匠を探していた。
でも、心のどこかでわかってたんだ。
ーもうこの世には居ないってー
あの状況で生きているとは考えられない。
炎に包まれ、私を逃がすために魔力を使って…
あの時、一緒に死にたかった。1人にして欲しくなかった。
ずっと師匠と一緒に居たかった。
なのに…私1人を置いて先に逝ってしまった。
最後に見たのはいつもの優しい笑顔。でもどこか消えてしまいそうな笑顔でもあった。
結界を作って私を閉じ込めて空に飛ばした。
周りにも同じような状態で子供が浮かんでいたが、誰かに撃ち落とされていなくなる。
私のは師匠が作ったものだからそう簡単には壊れてくれなかった。
「ごめんなさい…師匠、せっかく助けてくれたのに。」
鋭いナイフを作り出す。
銀色に輝くナイフを高く振り上げて自分に振り下ろす。
「…ゴット。」
「何してるの?」
手首を掴まれ、地を這うような低い声で睨まれる。
普段見ない真剣な表情。
「ねぇ佳奈、何しようとしてたの?」
「ぁ…いや、その…」
威圧的な声に押され掠れ声がでる。
私の手首を掴む力が強くなる。
「死のうとしてたんでしょ?」
「…うん。」
容赦ない言葉に居たたまれなくなる。
率直な質問に目をそらす。
「佳奈、約束忘れたの?」
「…え?」
「私達、教会で誓い合ったじゃない。」
「あ…」
この国を作る前、ゴット、紫音、私で誓い合った約束。
『国民の皆を幸せにすること!あと、私達がずっと仲良しであること!』
満面の笑顔で幼いシオンが言ってたっけ…
「神前の約束は絶対。佳奈が死んだら守れないんだけど?」
「…ごめん。」
素直に謝れば、ゴットの威圧的な視線が緩む。
次の瞬間、私の体が温まりに包まれる。
「…絶対あんな真似はもう二度としないで。」
「うん。」
今にも泣きそうな震え声。
胸の奥にあった感情が溶けていく。
「泣け。思う存分。」
「…うん」
ポロポロと涙が溢れ出す。
久しぶりに声を上げて泣いた。
『…幸せに強く生きなさい。』
師匠の声が聞こえた気がした。
遅くなってすいません。
これからしばらくは1日一本だと思います。




