救いの手
国王視点です
…寒い。
床に広がっていた生暖かい赤はすっかり冷たくなってしまった…
なのにこいつらはまだ私にナイフを突き立てる。
飽きないのかな…さっきからずっと機械のように同じことしかしてないのに。
なんだか眠たい。血、流しすぎたかな…建物が…歪んで…見えて…
その時爆発音があたりに響く。
爆風が周りの男たちを吹っ飛ばす。鎖に繋がれているお陰で私は吹っ飛ばない。
砂埃が宙を舞う。視界が奪われ侵入者の姿は確認できない。
私には分かる。侵入者はあおだ。建物をぶっ壊して侵入だなんて大胆なことするもんだ。
「国王を返せぇぇぇぇえええええ!!!!」
鼓膜がビリビリするほどの大声。あの小さな体でよく出るもんだ。
砂埃の奥で人が倒れたような音がする。
「国王!大丈夫ですか?!」
目隠しがやっと外れる。突然の光に目が眩む。
ほっと安堵の息をつく。
「あお…」
「全く…今日は基地案内されるだけだったのに…帰ったらゴットマザー様から怒られといて下さい」
手際よく私の手錠やら鎖やらを壊していくあお。その表情は心配げで…
「ありがと。助けに来てくれて」
「…?当たり前じゃ無いですか。どうしたんですか…突然」
「…何でもない」
今できる精一杯の笑顔をあおに向ける。
そこで私の意識は暗転した。
そういえば少し前に出た魔法封じ石の説明してませんでした!すいません…まぁだいたい文字通りなんですけど。
魔法封じ石
魔力を閉じ込める石。つけられると魔法が使えなくなる。
魔法封じ石にもランクがあり、魔法使い上級者に小さな魔法封じ石をつけても壊されてしまう。
普段から国王はつけさせられている。




