願う範囲
好都合ですねというのはどういう意味なのか。
とそこで私を背後に隠すようにしてレイヴンが対峙する。
しかもそんなレイヴンを守る様に、護衛の人達が周りに散らばり……。
人数としては私達の方が多い。
だが彼らの余裕は何だろう?
そう私が疑問に思っているとそこで黒ローブの男が、
「すでにここに来たことで貴方方は罠にかかっているのですよ。ここの周囲に魔法をかけて貴方方の力は弱く、我々の方が強くなるようにしているのです」
「……こちらには武器もある」
レイヴンがそう告げると、彼らは更に嗤い、
「武器? そんなもの、貴方方の魔力がほとんど抑えられた状態で、意味があるとでも? 我々の魔法で、その武器ごと粉々に砕いてしまいましょう」
などと言っている。
それを聞きながら私はレイヴンに、
「魔法なしで、この二人はレイヴン達は倒せる?」
「もちろんだ。……なるほど」
そこで私の問いかけにレイヴンはすぐに察したらしかった。
そしてミスに貰った石を離れた後ろ側に放り投げて、
「特殊能力ってどう使えばいい?」
「ミキの願う範囲に効果は起こる」
「じゃあ、私を中心に半径1kmでよろしく」
そう私は願った。
同時に、目の前の黒ローブが杖を振り、勝利を確信した笑顔を浮かべている所だった。
だが何も起こらず、すぐに間抜けな顔を私達の方にさらしている。
「うん、上手くいったみたいだね」
「では、これからは我々の時間だ」
その時のレイヴンがやけに楽しそうだったのを私は覚えている。
そして、あれよあれよという間に二人は気絶させられて、倒されてしまう。
鮮やかな手口ではあるが、私の出番がない。
などと思っているうちに護衛と一緒にその敵? らしき人物を倒したレイヴンが笑顔で私に振り返った。
「これは、今回は共同作業だな!」
「た、確かにそうかも」
「この特殊能力であれば俺も活躍できる。これからも二人で頑張っていこう!」
嬉しそうなレイヴンを見ながら、これはこれでどうなんだろうと思いつつ、レイヴンが嬉しそうだからまあいいかと私は思う。
そんな私がレイヴンに恋心を自覚するのは、それほど長くはなかったのだった。
とりあえず甘めの異世界トリップ短編をと思って作ってみました。いかがでしょうか。楽しんで頂ければ幸いです。




