会話
私は現在、ようやく城の近くの森……というか、城の隣付近にある森にやって来た。
一応は私も魔法初心者なので、こういった森に行くのは分かる。
折角異世界に来たのだから冒険をしたいという、そんな期待を私はこの世界に来て早々得てしまったのだが……今は別な意味で、気になることが出来てしまった。
それはレイヴンの事だ。
一目惚れして私を選んだらしいとか、言っていたけれど……とても私に優しい気がする。
しかもイケメンであるわけで。
逆に不安になってしまう。
それこそ異性なので、し、下心があるからだ! と思ってもいいのだけれど、彼の場合はよりどりみどり……。
「レイヴン、一つ聞いていいかしら」
「何だ?」
「この世界の王子様は皆異世界から“嫁”の召喚を?」
「そうだな。俺の母も異世界人で、俺も随分成長したからと、ここ数か月殆ど冒険に出たまま家に帰ってこない」
「あ、はい、そうですか……」
「昔は俺も、母に連れられて冒険に旅立たされて父が追いかけてくることが何度もあって。あれを見て俺は、出来れば特殊能力を持たない人がいいと切実に思った。そう、幼いころから何度も」
遠い目をして呟いたレイヴンを見ながら私は、実は結構レイヴンにとっては重大な問題であったようだと思う。
ただそれを考えると、
「私にも特殊能力があるけれどいいの?」
「……そう気づいたとき絶望したが、能力があれでは普通に冒険に出たりは難しそうだから、安心した」
「そうですか……」
そう私はレイヴンの安堵した顔を見ながら、何か腑に落ちないものを感じたのだった。




