ウェンディ
私は、一体今まで何をしてきたというのだろうか。
誰かに必要とされてきただろうか。
自分の気持ちさえ信じられずに、ただ茫然と歩き続けてここまで来た。
誰かが歩いた道をなぞって。
幼い頃は特別な何かを目指していたはずなのに。
どうして今はその情熱をなくしてしまったのだろう。
埋もれていることが嫌だったはずなのに。
どうして今は安心感を覚えるのだろう。
たまにどうしようもなく泣けてきて、洗いざらい吐き出してしまいたくなるのに、なぜか我慢して呑み込んでしまう。
お腹の中に溜まった思いはいつか消えて無くなる日がくるのだろうか。
夕焼けを見たときは、私が唯一の私になれた心地がする。
だけどやっぱり、この小さな部屋の中ではちっぽけな高校生でしかない。
まだ17年もろくに生きていないのに、この世界のことを分かったような気でいる私。
ただ自分で貼ったレッテルを剥がすためにもがいている。
将来の夢なんて分からない。
やりたいことなんかない。
「今」が楽しくて仕方ない。
ずっと子供でいられたらいいのに。
大人になんかならなくたっていい。
ずっと、永遠の島に行きたいと思っていた。
永遠の少年に会って、妖精の粉で空を飛んで、鍵爪の手を持った船長を倒すんだ、そう思っていた。
だけどもう、私は子供じゃない。
きっと少年は私を島へ連れて行かない。
大人にもなれない私の居場所はどこにあるのだろう。