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ゴッドブレス・ミー  作者: tonton
第二章 学園編
39/50

第38話 スライディング

更新が遅れ、申し訳ありません。

「それでは…始め!!!」



 ラムダさんの掛け声で、決闘が始まった。

 互いに木剣を構える俺とブリッツ。



「さーーーあ!!!いよいよ決闘開始です!現1年生ではこれが最初の決闘となります!!!司会は私、放送部2年、シャーリィがお送りします!解説は筋肉部4年、ジョーワン先輩です!」

「よろしくお願いします。筋肉…鍛えてますか?」



 そして、何故か始まる実況中継。闘技場に大音量が響き渡る。観客席の最前列、大きな水晶の前にピンク髪の幼女とガチムキの色黒男が座っている。おそらくあの2人がシャーリィとジョーワンだろう。あの水晶で声を闘技場に広げているのか。

 シャーリィは、幼女というと失礼かもしれないが、2年には見えない。どう見ても4、5歳くらいだ。

 ジョーワンは肌と正反対な真っ白な歯が印象的で、爽やかに笑っている。胸の筋肉をビクビクいわしてるせいで、すごい不快だが。

 放送部…?は何となく分かるけど筋肉部って何だ。「筋肉鍛えてますか」の問い掛けも謎を加速させている。俺はさほど鍛えてません、先輩。


 生徒達からすればお祭りみたいなものなのだろう、観客も実況に大いに盛り上がっている。

 


「いくぞ、平民!」

「はいはい。」



 よそ見をする俺に声を掛けるブリッツ。不意打ちしないところを見ると意外と戦いには真剣なのだろう。まあ、許す許さないには関係ないけどな。


 横凪ぎに振るわれた木剣を後ろに下がりやり過ごした。この年齢の子供にしてはやはり速いのか、周囲の見物客が騒いでいる。



「ふっ、上手く避けたな。だがまぐれは続かんぞ!」

「そうだな。」



 さて、どうしようか。

 一晩考えたが決着の方法は結局思い付かなかった。圧倒的な差で勝ってしまうと目立ち過ぎる。まあこんな決闘してる時点で目立っちゃってるんだけどね。

 かと言って僅差で勝ってもコイツは平民への態度を改めないだろう。周囲からは僅差で、コイツからは圧倒的な差を感じる勝ち方が理想だ。オオイさんに相談してみたが『考える事も成長には必要だよ』と返され、知恵は借りられなかった。



「何をぼさっとしている!」

「おっと。」


「アシュレー選手、防戦一方!対するブリッツ選手は凄まじい猛攻だ!いつまで凌げるのかー!」

「ブリッツ選手、鍛えてますね。筋肉…鍛えてますね。」



 うるせえよ、ジョーワン。それしか言わんのか。ブリッツが繰り出す攻撃を可能な限りオーバーアクションで避けていく。見切ってる風に見られたらまずいからな。

 だけど避け続けたらそれはそれで不審に思われるだろう。とりあえず相手の戦力分析だな。


 オオイさんプレゼンツ、ステータス偽装指ぬきグローブ、隠匿(ハイド)コートに続く第3弾の初お目見えだ。まあ見るのは俺だけだが。



「…〈解析(アナライズ)〉。」



 詠唱により魔法が発現する。

 そして俺の目の前、メガネのレンズ(・・・)に解析結果が映し出される。そう、これが神様特製装備第3弾、解析メガネだ!…そのまんまだ!

 今の俺の戦い方は基本的に〈解析(アナライズ)〉からの〈神の心臓〉の起動、そして攻撃魔法の流れだ。ただ、この戦い方は〈解析(アナライズ)〉の使用のせいで、相手に魔法が使える事をばらしてしまう戦い方だ。

 その弱点を克服するためにオオイさんから授けられた(アインから貰ったメガネに加護を与えた)のが、このメガネだ。オオイさんは『野菜の星の戦闘民族と頭脳は大人の少年探偵にインスピレーションを受けた、というかパクった。』と言っていた。

 意味は理解できなかったがおそらくまたアニメだろう。しかもこのメガネ、〈神の心臓〉の起動を任意で選択出来るのだ。

 ステータスを3倍にする必要がある場面はそうそう無いだろうし、MP消費1000を抑えられるのは大変ありがたい。まずはこの男、ブリッツのステータス確認だ。


NAME ブリッツ・ミーデル

      人間

     (男爵家 次男)

 H P 9/9

 M P 5/5

 STR 5

 VIT 4

 DEX 4

 AGI 4

 INT 4


 SKL 戦闘術

     [剣/槍]

     属性魔法

     [火]



「…」



 うん、心臓の起動は必要ないね。分かってはいたんだ。大人の平均でもステータスは10くらいだって聞いてたし。

 コイツも10歳にしては高いステータスなんだろう。だけど目で見て確認すると一際俺のステータスの異常っぷりが際立つな。ちなみに先週ステータスの確認をしたところ、俺のステータスはーーー



NAME アシュレー・シーグラム

      半魔人

     (加護を受けし隠れ貴族)

 H P 120/120

 M P 17880/17880

 STR 125

 VIT 116

 DEX 130

 AGI 133

 INT 148


 SKL 知神の加護

     戦神の加護

     戦闘術

     [剣/槍/斧/弓]

     属性魔法

     [火/水/風/土/雷/光/闇]

     補助魔法

     [回復/強化/解析/補助]

     神の心臓

     後光     

     Unkoun



だった。


 強くなっていた。俺ってば子供だし、そりゃあ育てば強くなるよね。それにあんな大蛇倒して成長が無い方が傷付くわ。

 まあ、今俺のステータスの事はどうでもいい。大事なのはコイツとの決着方法だ。…よし、ベタだけどコイツに体勢を崩してもらって(はた目にはこいつが体勢を崩したように見えるように技を掛けて)から、木剣を突き付けて終わり、の流れにしよう。

 相手が実力差を感じるかは分からんが、もうこれ以上は思い着かない。



「はあぁ!!!」



 丁度良い感じの攻撃が来た。上段からの振り下ろし。時間も十分掛けたし、そろそろ終わりにしよう。



「うわぁっ!」



 焦りながら手にした木剣で必死に防ぐフリ(・・)をする。そして剣同士がぶつかった瞬間、俺は行動を開始する。

 剣を持つ手首を捻り、相手の剣を巻き込む。更に相手の攻撃で剣が弾かれたように見せかけ、流すように勢いを後方へ逃がす。ダメ押しに相手の踏み込んだ足に偶然を装える程度の、軽い足払い。

 一瞬で行われる3つの動作。



「ぶぼべべべべべっ!!!」



 相手は勢いそのまま、地面へ向けて顔面を強打。地面を華麗にスライディングしていった。い、痛そう…

 


「おーっと!ここでブリッツ選手、体勢を大きく崩し転倒だー!これは痛いぃぃ!」

「うむ、顔面は鍛えにくいからな。」



 砂を巻き上げながらの痛々しい滑走は5メートル程進んで止まった。…巻き込みが強すぎたか。滑走距離が明らかに不自然になってしまった。

 現にラムダさんは俺に驚愕の視線を向けている。ま、まあやってしまった事はしょうがない。倒れるブリッツに剣を突き付ける。



「降参しろ。この体勢から逆転は出来ない。」



 剣も手放してしまっているし逆転の芽は全くない。これで終わりだろう。



「…って…」

「…?」

「舐めやがってぇ、平民がぁー!!!」

「!?」



 怒りの叫びの直後、ブリッツの右手から炎が噴き出した。俺のステータスならダメージはほぼ受けないのだろうが直撃を受ける訳にもいかない。全力で後方へ飛び退き、10メートル程距離を開ける。



「こ、これは…魔法だー!!!ブリッツ選手、魔法を使いました!選ばれた血筋の者だけが使えるという魔法!私、初めて見ましたー!」

「ううむ…炎の鍛え具合は分からん。」



 ぶれないな、ジョーワン。ただ観客は派手なブリッツの魔法に気を取られ、俺の地味な10メートル飛び退きには意識がいってないみたいだ。

 助かっ…



「…(ジーッ)」



 おふっ、ラムダさん、メッチャこっち見てる。こりゃ実力隠してるのばれたな。だがこっちの対応は後だ。今重要なのは大変ご立腹されているあちらの貴族様だ。



「よくも…よくもこの僕に血を流させたなぁぁぁ!!!」

「いや、自分でこけたんじゃん。」

「ガァーーー!!!」



 マジ泣きしてらっしゃる。顔面は擦り傷と流血でグチャグチャだ。服もスライディングで土と砂まみれ。ちょっと上流階級には見えない。



「ちょっと!そんなの卑怯よ!」

「ズッコイぞ!正々堂々戦え!」



 ユキカゼとテッドが大声で抗議する。観客席のほとんどもブーイングの嵐だ。だが決闘のルールでは禁止されていない。

 叔父さんのA組設立の裏話で出てきた”貴族の圧力”とやらで決まった抜け穴なのだろう。胸糞悪い。



「黙れぇ!!!我ら貴族と貴様ら平民は能力からして平等ではないのだ!魔法もその1つ!貴族の力なのだぁ!」



 はいはい、家にある本読んで頑張って覚えたんでしょ。しかも無詠唱の上にこの火力…MP5のこいつがこれほどの魔法を使える訳がない。

 怪しいのは右手中指の指輪…マジックアイテムか何かだろう。埋め込まれた赤い石が怪しく輝いている。



「我が力の前にひれ伏せぇ!!!」



 さて、どうするか。いよいよ加減が出来なくなってきた。

 


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