001 不本意な召喚
「だっるうう。ねえ、ルナ。この日差し、やばくない?」
ギャル仲間の1人が、ルナに日傘をかざす。
荒涼とした石の古代遺跡を修学旅行先に選んだ先生を恨んでも仕方がない。
ただひたすら、幅40m、長さ2kmの石畳の道を歩く。
『黄泉への道』と言うらしい。
日陰が全くない。太陽の陽が刺さる。眩しい。
正面の『月のピラミッド』を目指して、女子高生一同、重い足取りで進む。
ふらっとして両膝に手をつき前に屈むルナ。
目を閉じる。
目を開ける。
姿勢を正した時、ざあっと風がルナの長い髪を揺らした。
目の前には緑豊かな風景。
周囲には生成りの布を纏った人々。
美しい。
と思った。その時。
「いたぞー、こっちだ」
背後から男性の声。
ルナが振り返ると、槍を持った戦士っぽい男性陣が私を指差して迫ってくる。
ルナ、ダッシュ。
「おい、こら、待て」
「逃げるな」
理由は無くても、追いかけられたらつい逃げてしまうのが動物の本能。
槍持った男衆に追いかけられたら、誰でも逃げるでしょ。
ルナは月のピラミッドへ走る。
ごった返す人混みを押し除けて真っ直ぐ走る。
活気のある都市だな。
先ほどまで居た崩れかけた石の遺跡群とはかけ離れた景色。
月のピラミッドに真っ直ぐ続く『黄泉への道』。
白い漆喰の建物。緑豊かな街路樹。果物の甘い匂いが鼻をつく。
ルナは、うきうきしながらとりあえず逃げた。




