本音
「アナスタシアさん泣いてたね」
「樹里に会えて、うれしかったんだよ」
「違うでしょ?」
「?」
思わず強くなってしまった樹里の口調にも、
レオンは首を傾げただけで、無反応。
それが余計に樹里の苛立ちを掻き立てる。
「心配なんだよ、レオンのことが。
色々、話してくれたよ、今までのことも!
そういうの全部、レオンの口から聞きたかった」
「話したらきっと、樹里は責任感じるだろうから」
樹里のイヤミを込めた言葉に、レオンは気づかないフリをして、
やりすごそうとしている。
だけど今回は、引き下がらないと決めている樹里は、食い下がった。
「だってそのとおりなんだもん。私のせいでしょ、全部」
「そんなことないよ。
オレが勝手にやったことだから」
樹里が踏み込もうとしても、当たり障りのない返答で、
あっさりかわされる。
その繰り返しに、樹里は最終手段にでた。
「いろんなこと、諦めたって聞いたよ?
それって何のため?
政略結婚、断るため?
それとも童貞捨てるため?」
「何言い出すの、樹里、オレはっ…」
ちょっとカゲキな言葉を使うことで、
樹里の思惑通り、レオンは動揺を見せた。
「あー、わかった!
この世界から逃げ出したかったからでしょ?
王様なんてめんどくさいもんね。
そういうことなら、最初から言ってくれれば、」
「樹里!
聞いて!」
ヒートアップする樹里のあえての暴言に、
黙っていられなくなったレオンが、
樹里の手首をつかむ。
「ヤダ!聞きたくない!」
「樹里!」
「はなして!
聞きたくない!
本音じゃないなら聞く意味ない!」
レオンの手をふり払って、思ってることを一気に言い終えた樹里は、
はあはあと息を荒げた。
やっと言えた。
そう思ったらわけのわからない涙が噴き出して、
ぼたぼたと床に落ちた。
「樹里、ごめん、泣かないで」
涙に驚いたレオンが、樹里をぐっと引き寄せて抱きしめる。
一瞬で腕の中に閉じ込められた樹里は、
その顔を見たくて上を向こうとするけれど、
それは許されなかった。




