第222話 面倒な予感
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日本卍会が株式会社異世界転移に宣戦布告をしました。
日本卍会がパンケーキ戦線に宣戦布告をしました。
日本卍会が日本人ですが何か?に宣戦布告をしました。
日本卍会が転生しなかった件に宣戦布告をしました。
日本卍会がこの世界にはチートがない問題に宣戦布告をしました。
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そんな世界ログが流れた翌朝、シュンタがナツキとトモハルを連れて、ミズトの部屋を訪れていた。
改まって三人と話すのは、救出した日以来だった。
「朝から悪いね」
「おはようございます。どうぞ中へ」
ミズトはシュンタに答えると、神妙な雰囲気を読み取り、三人を室内に通して椅子をすすめた。
「降臨の日の話題は大変なことになってるね」
「降臨の日ですか?」
「うん。知らない?」
「はい」
「はは、張本人が知らないとは、さすがミズト君!」
シュンタは楽しそうに言うと、ミズトが『グレイガント大回廊』を消滅させた影響を説明した。
「そんなことになっているのですね……」
【あの日は、世界中の宗教で神が降臨した特別な日として崇められ、教義にも加えられています】
(……)
エデンが余計な補足を入れた。
「ところで、昨夜のログは見たかい?」
シュンタがマジメな顔で言った。
「はい、日本卍会の件ですね」
(やっぱりそっちが本題だろうな)
本当は朝から訪問者なんて面倒なのだが、シュンタたちの気持ちを考えると、とてもそんな態度は見せられないので、ミズトは親身な態度で答えた。
「うん、まさかあんな目に遭っておいて、日本卍会がまだ懲りずにクラン戦を仕掛けるとはね」
「おっしゃる通りです。ジンではなく違う人物にマスターが変わったりしたのでしょうか」
「いや、俺らは日本卍会のクラン掲示板が見えるから分かるけど、クラマスは変わってないし、勢力を広げようとしているのはジンだよ。ランクを上げようと必死みたい」
シュンタたちの所属は、未だに『日本卍会』のままだった。
(好きに抜けられるわけじゃないって話だったな……)
クランから脱退するには、所属クランマスターの承認、クランの解散、他クランへの移籍、のどれかが必要だった。
「シュンタさんたちは、他のクランに移籍はしないのですか?」
「ん~、それも考えたけど、移籍先のクランに迷惑掛かるかもしれないし、あいつらの動向が分かるから、とりあえずはいいかなって」
「そうですか……」
そうは言うものの、酷い目に遭わされたクランに所属したままなのは、本当は嫌なんじゃないかと思う。
だからと言ってミズトにできそうなことは思いつかないので、それ以上は何も言わないことにした。
「でも――――」
シュンタが表情を崩して話を続けた。
「もし、ミズト君がクランを結成するようなことがあれば、俺らを入れてくれないかな? ミズト君のクランならぜひ入れてもらいたい!」
「入る! 入る!」
「俺も頼む」
シュンタの提案に他の二人も乗っかった。
「そ、そういうことがあれば……」
クランを結成するつもりなど毛頭ないが、無下に拒絶もできず、ミズトは濁すように言った。
少なくとも、三人の所属がこのままでいいとは、ミズトも思っていなかった。
「はは、約束だよ! で、朝から来た用件なんだけど」
(…………日本卍会の件じゃないんかい)
「昨日、ウィルさんと会った?」
「ウィルさんと? いえ、ウィルさんとはあれから会ってないですね」
ミズトがシュンタたちを『日本卍会』から救出してから半月ほどが経っていた。
その間、たまたまタイミングがずれたのか、タクマの店でもウィルと会ったことはなかった。
「そっか。実は昨夜、タクマさんの店でウィルさんと会って、ミズト君を探してたんだよね。ミズト君に相談したいことがあるから、今日の昼にでももう一度来るみたい。それを伝えようと思ってね」
「私に相談……?」
面倒な予感しかしなかった。
「じゃあ、伝えたから。ウィルさんはあんなになっちゃったから、きっと大変なんだろうね!」
シュンタは席を立つと、そう言ってから部屋を出ていった。
ナツキとトモハルもシュンタに続くが、ナツキは足元にクロを見つけると、抱き上げてキスをしてから部屋を出た。
「クゥゥゥン……」
(ウィルがあんなになっちゃった?)
ミズトは、クロの切なそうな鳴き声を耳にしながら、シュンタの言葉を考えた。
【ミズトさんはお気づきになっていませんが、後程ウィルさんとお会いすれば分かります】
エデンがミズトの疑問に答えた。
(ん~…………)
相談事には気が進まないが、シュンタたちに言われて無視もできない。どちらにしても昼はタクマの店に行くので、ミズトに選択の余地はなかった。




